実践できてる? エンジニアが考える「リーダーの視点」
本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。
ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「リーダーの視点」。
リーダーにとって必要なものとは何か。リーダーが持つべき視点とはどのようなものか。エンジニアを束ねるリーダーに求められるものについてのコラムをピックアップした。
かつて「気難しいプログラマ」だったリーダーたちへ
『気難しいプログラマ』を執筆する玄米茶氏は、自身が「気難しいプログラマ」でありながら、同時に「気難しいプログラマを束ねるリーダー」でもある。両方の視点を持つ筆者なりに、リーダーはプログラマとどう接するべきかを述べている。例えば、
- 不具合があったときだけプログラマに話し掛けるようなリーダーにはならない
- 軽々しく「バグ」という言葉を使わない
- 話し掛けるタイミングに注意する。コーディングに集中しているときは話し掛けない
- コミュニケーション=飲み会、と考えない
- ミスを頭ごなしにしからず、自らフォローを買って出る
- 依頼に反論されたら、「そうせざるを得ない理由」を正直に話す
- 仕様変更に抵抗されたら、プログラマの感じている「嫌な予感」に耳を傾ける
などである。
「プログラマは時として、リーダーが思いも寄らなかったことを口にする。でも、そういったことを含めてプログラマと接することを面白がらなければ、真のリーダーとはいえない」――筆者はそうまとめている。かつてプログラマだった経験を持つリーダーであるならば、きっとこの言葉が理解できるはずだ。
●連載「気難しいプログラマとの人間関係に必要ないくつかのポイント」インデックス
- はじめに
- 不具合の話しかしない、嫌な奴
- バグと不具合の違い
- あなたの問いかけに反応が悪いとき
- わりと嫌われる飲み会への誘い
- 説教してはいけません
- あなたの依頼に反論するとき
- 奇妙な態度で仕様変更に抵抗するとき
- 自分の価値観が揺るがされる
リーダーに求められること、いくつできていますか?
エムズ・ネット・スクエアの講師陣が執筆する『新任リーダー明日香のマネージャへの道』では、中堅IT企業にて若手リーダーとなった主人公、明日香の奮闘を通じて、リーダーに求められる姿勢や視点を解説している。
毎回、テーマに沿ってストーリーが進み、最後にチェック項目がまとめられている。いくつか例を挙げよう。
- メンバーが仕事の状況を定期的にメールや文書で報告する仕組みがありますか?
- 面談時はメンバーに話をさせるように意識していますか?
- リーダーから積極的にコミュニケーションをとっていますか?
- 担当者が不在時にバックアップ体制がとれるようになっていますか?
- スキルの育成を計画的に行っていますか?
- リーダーとして部署のビジョン(理想像)を策定していますか?
- メンバーにビジョンを伝える機会をつくる努力をしていますか?
- メンバーの状況に関心をもっていますか?
- モチベーションが下がっているときに、どうしたらモチベーションが上がるかを考えていますか?
どれも言葉にしてみると当たり前のように思えるが、実践できるかは別問題である。日々の行動を振り返り、リーダーとして実践できているかどうかを確認してみよう。
●『新任リーダー明日香のマネージャへの道』インデックス
- プロローグ:昼食後のひととき~ランチルームにて
- 明日香リーダーになる
- リーダーはメンバーの状況を理解しよう
- コミュニケーションの活発なチームにしよう!(上)
- コミュニケーションの活発なチームにしよう!(下)
- 個人商店の集まりをチームにしよう!
- リーダーの想いをメンバーに伝えよう!
- “運用部門の若手メンバーの疲弊”の巻~モチベーションを上げるには(上)
- “運用部門の若手メンバーの疲弊”の巻~モチベーションを上げるには(下)
リーダーの条件
北海道で働くエンジニアのAhf氏は、リーダーという立場について「メンバーが自主的に活動する環境づくり」「メンバーそれぞれに合った作業内容の割り振り」「メンバーに合わせた努力目標の設定」など、難しい仕事が多く、大変なポジションであると語る。だが、同時に「自分が整えた環境でメンバーが精力的に活動できたら、それは非常にうれしいことではないか」とも付け加える。
コラムでAhf氏は特に「メンバー内で技術レベルにばらつきが存在した場合、どこに基準をおくか」という難しい問題について考察している。この問題に限らず、リーダーには、1人のメンバーとして働いていたときとは異なる視点が求められる。「視点を変えてみることで新たな楽しみを感じることができると思う」とAhf氏はまとめている。
テストエンジニアの第3バイオリン氏は、ソフトウェアテスト・ワークショップ「WACATE」に参加した際、グループワークでチームリーダー役を引き受けた。「リーダーの条件」について考える第3バイオリン氏に対し、グループの1人は次のように発言する。
「リーダーは最終的な責任を取るのが仕事です。それさえできれば、メンバーにはあれこれいわなくても指示ひとつ出して『あとは任せた!』でOK、ということです」
メンバーに任せられることは任せて、メンバーだけではどうにもならないことがあったときには素早くフォローする。それが理想のリーダー像ではないか、というのが第3バイオリン氏の考えだ。
もちろん、メンバーに任せるためには、メンバー全員がチームの目的を共有している必要がある。それを示すのもまた、リーダーの役目だ。
こんなリーダーはイヤだ!
最後に「反面教師」の例も挙げておこう。ギャルプログラマの森姫氏は、「ある日リーダーが会社に来なくなった」という恐ろしい体験を告白している。
多くの仕事を抱えたまま失踪したリーダー。残されたメンバーでは分からなかったり、権限がなかったりする業務が山積していたため、プロジェクトはストップし、顧客は激怒した。
「1人で何もかも抱えこむんじゃない!」と森姫氏は語る。リーダーが仕事を抱え、しかもそれが属人化してしまうという事態は避けるべきであろう。
『30過ぎで5社目でした。』を執筆するエンジニアのけいいちっく氏は、上に立つものとして「それはいかがなものか」と思った発言を紹介している。
プロジェクトマネージャとしてアサインされた上司が、顧客と納期について話している際、「任せてください、ベンダをギュウギュウ絞りますから」と発言。けいいちっく氏は「この人は下請けや部下をこのようにしか見てないのか……」と残念に思ったという。
リーダーは、下にいる者の気持ちを考えて発言してほしい。せめて邪魔をしないでほしいし、余計なことをいってやる気を削がないでほしい――そうけいいちっく氏はまとめている。
あなたはこうした「反面教師」なリーダーになっていないだろうか。自分がメンバーだったころのことを思い出して、「イヤなリーダー」にならないよう気を付けよう。
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