世界中のデータ利活用に関する事例を、chatGPT等と共著でご紹介しています

第13回:光と影のハンドリング~ブラジル~

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夏と言えばブラジル。そして、個人的に好きな映画、『未来世紀ブラジル』。ふとそれを思い出し、今回はブラジルにフォーカスを当てることにした。南米最大の経済大国ブラジルでも、データ利活用は急速に進展しており、特に民間企業がその牽引役となっている。巨大な国内市場と多様な社会課題を背景に、データは単なるビジネス効率化ツールに留まらず、顧客体験の向上新規事業創出、さらには社会的インパクトの実現にまで貢献している。例えば、ブラジル観光の象徴ともいえるリオのカーニバルは、毎年数百万人が訪れる世界最大級のイベントだ。この熱狂的な祭典を支える裏側では、データ利活用が観光客の体験向上と、常に懸念される治安問題への対策の両面で重要な役割を担っている。

航空業界では、リオのカーニバル期間中の膨大な需要をいかに捉えるかがカギとなる。座席供給と運賃設定を最適化するため、LATAM Airlines Brazil等の大手航空会社は、生成AIを用いて、過去の予約データ検索トレンド、さらにはソーシャルメディアの言及数までを詳細に分析ている。これにより、カーニバル期間中の航空券を効率的に販売し、旅行客がスムーズにリオデジャネイロに到着できるよう努めている。また、特にカーニバル期間中は、国内外からの訪問客が急増するため、空港から市街地への移動や、サンバ会場(サンバドローム)周辺の移動に関する安全情報を、搭乗客向けのアプリや機内アナウンスを通じて積極的に提供する事例も見られる。これは、データに基づき混雑状況や過去のインシデント発生傾向を分析した結果、特に注意を促す必要のあるエリアや時間帯を特定しているからだ。

ホテル業界もまた、カーニバル期間のデータ活用に余念がない。リオの高級ホテルから手頃な宿泊施設まで、各ホテルは過去の稼働率、予約経路、顧客の国籍や滞在期間といったデータを分析し、最も収益性の高い料金設定とマーケティング戦略を策定している。Accorのようなグローバルチェーンのホテルでも、データマネージメント系企業とのパートナーシップを結ぶ等を通して、この時期のみならず、データ活用を経営の重要課題として取り組んでいる

オンライン旅行代理店(OTA)も、カーニバル関連のデータ分析に注力中。ブラジル国内のOTAや国際的なOTAのブラジル拠点等は、カーニバルへの関心が高いユーザーの検索履歴や予約傾向を分析し、最も魅力的なツアーパッケージや個別のアクティビティ(サンバスクール訪問、カーニバル衣装レンタルなど)を提案。カーニバル期間の治安に関する懸念は高まるため、一部のOTAでは、過去のユーザーレビューや治安情報を独自に集約し、「カーニバル期間中の注意点」としてウェブサイト上で公開したり、特定のエリアにおける宿泊施設の安全スコアを提示したりする取り組みも見られる。これにより、観光客は情報に基づいた賢明な選択が可能となり、より安全で充実したカーニバル体験を計画することができる。

リオのカーニバルは、単なる祭典ではなくデータ利活用によって観光客の安全性と満足度を両立させようとするブラジル観光産業の挑戦を象徴している。治安という課題と向き合いながら、いかにデータを活用して来場客に忘れられない体験を提供できるか、社会的な光と影のせめぎあいを如何にマネージしているか、我々としても学ぶところは大きい。

■参照:

Sabre Air Price IQ: Transforming Airline Revenue with AI-Powered Dynamic Pricing « Sabre

Latam Airlines « Sabre

Travel Trends Q2 2024: Global Insights, Top Destinations, and Future Travel Planning | Expedia Group Blog

Latam Airlines betting on genAI to gain customers and efficiency - BNamericas

Accor joins the groundbreaking data management technology partnership launched by Pernod Ricard and JCDecaux - Accor - Newsroom

Brazilian mobile networks remain robust during this year's Carnival | Opensignal

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