コミュ力不足なわけじゃない! PGが不機嫌になる本当の理由
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ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「リーダーとプログラマの人間関係」。
不機嫌なプログラマ、話し掛けると反応が悪いプログラマがいる。しかし、彼らには彼らなりの理由があるのだ。「プログラマはコミュニケーション能力が不足している」と一蹴せず、彼らとの関係をよりよくするための考え方を紹介しよう。
なぜプログラマは話し掛けると反応が悪いのか
リーダー「ねえ、ちょっといい?」
プログラマ「……え、……何ですか?」
こんな光景を見たことがある人は少なくないかもしれない。なぜ、話し掛けるとプログラマの反応が悪いのか。『気難しいプログラマ』を執筆する玄米茶氏は「集中しているときに話し掛けられれば、不機嫌になるのは当然」と、理由を説明している。
プログラミングは、非常に集中力を使う作業だ。頭の中でロジックを組んでいるときに話し掛けられると、集中力がぶっつりと途切れてしまう。下手すれば、「脳内コーディング」を最初からやり直し……なんてことにもなりかねない。玄米茶氏はプログラマの集中力が途切れることは、「エクセルで作った資料を保存せずに終了してしまった」ことと同じぐらいストレスが溜まると説明している。
しかし、チームで開発している以上、話し掛けないわけにはいかない。リーダーはいつ話し掛ければいいのだろうか。玄米茶氏は「タイミングを見ること」が重要だと説いている。プログラマが休憩を入れるタイミングを見計らって話し掛けるとよいだろう。例えば、煙草休憩のとき、席を立つときや席に戻るときなどだ。
玄米茶氏は「プログラマの不機嫌を『コミュニケーション能力不足』という一言で片付けないでほしい」と訴える。ほか、玄米茶氏は「不具合の話ばかりしない」「説教は禁物」など、プログラマとの人間関係を改善するためのTipsを紹介している。プログラマとの人間関係に悩むリーダーはぜひ参考にしてほしい。
プログラマ側の意見「集中が切れると生産性が下がる」
玄米茶氏の主張について「まさにその通り!」と語るのは、『プログラマで、生きている』のひでみ氏だ。ひでみ氏は、キャリア20年超のベテランプログラマである。プログラマ目線で「なぜ話し掛けられると反応が悪くなるのか」について説明している。
ひでみ氏は、「脳内でコーディングをしている最中に話し掛けられると軽いパニック状態になり、動きが止まってしまう」という。結果として不機嫌な対応になってしまうことがしばしばある。
そんなとき、リーダーの反応には大きく分けて2種類あったという。1つは「人に話し掛けられたら話に集中しろ! それでも社会人か!」というタイプ。もう1つは「プログラマとしてちゃんと働いてくれるなら、多少の不都合には目をつぶる」というタイプ。
ひでみ氏としては後者、自分が集中してコーディングしているときには待っていてくれるリーダーの方が一緒に仕事をしやすかったようだ。リーダーが話し掛けてくる場合は「いつも待っていてくれるリーダーが話し掛けるなんて、よほどのことなんだろう」と思い、最優先で話を聞くようになったという。
「社会人としてきちんと対応すること」と「プログラマとして生産性を向上させること」を両立させることはなかなか難しいと、ひでみ氏は語る。集中すれば生産性は上がるが、話を聞きにくくなる。いつでも話を聞くようにすると、生産性が落ちる。どちらも必要なことなので、うまくバランスを取ることが重要なのだが、それがなかなか難しい。
親密なコミュニケーションが生産性を上げる
一方、「コミュニケーションがプログラマの生産性を上げる」という意見もある。『下流から見たIT業界』の後藤和彦氏は、「プログラミングはコミュニケーションだ」と主張する。
後藤氏は、「プログラマが同僚と話をしたりミーティングで話し合う」のが理想的なプログラミングであると語る。話をしている間に、プログラマは情報交換を行い、意見をすり合わせる。結果的に、チーム内の生産性が上がるという。
リーダーの役割は「気軽で親密なコミュニケーションができる環境」を整えることだ。皆が黙々と作業して話し掛けづらいと、チーム全体の生産性は向上しない。
後藤氏の意見は、玄米茶氏やひでみ氏の意見と必ずしもぶつからない。玄米茶氏も「不具合のときだけプログラマに話し掛けるのはやめよう」と提言している。大事なのは、リーダーとプログラマ、お互いへの気遣いではないだろうか。リーダーもプログラマも、自分とチーム両方のパフォーマンスを向上させるためにお互い意見をすり合わせることが大事なのかもしれない。
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