@IT自分戦略研究所 編集部が独断と愛によって選んだ「テーマ別コラム」をピックアップして紹介します。

「あ、まずい」と思ったら――メンタルヘルス駆け込み寺

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 本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。

 ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「メンタルヘルスケア」

 ITエンジニアは、何かとストレスが多い仕事だ。だからこそ、「心の調子」には気を配りたい。「心の病」の予防法や対処法、普段から使えるメンタルヘルスのTipsを紹介する。

「逃げるしかない」――仕事を愛していたのに仕事を辞めたエンジニア

 まずは、心が病んだエンジニアの物語を紹介しよう。元エンジニアX氏の『デスマーチで嫁(い)き遅れました』は、元エンジニアX氏=老婆がかつてエンジニアだったころの思い出を語る物語である。

 「……長い長い間、エンジニアをやってたんだ」と、元エンジニアX氏は語り出す。エンジニアだったころは、仕事が大好きだったという。何度もデスマーチを経験したにもかかわらず、お客さんに喜んでもらえるのがうれしくて、仕事に全力を注いだ。だが、つかの幸せは、部下の提案を反逆とみなす上司の登場によって終わりを迎える。

 「考えるな! 本なんか読むな!」「生意気なことをするな」――上司は怒鳴る。自分の思い通りに動かない人間に対して、男はむき出しの敵意を向けた。さらに、仕事が佳境に入っているときに「残業は21時まで。休日出勤は禁止」という命令を出した。ありえないスケジュールのために仕事の効率は落ち、上司は日々暴力的な言葉を投げつけてくる。元エンジニアX氏は心を病み、ついには「逃げるしかない」というところまで追い詰められる。

 物語は全10回。ぜひ、初回「忘れない日々」から読んでみてほしい。

心の調子を崩した元プログラマ

 もう1つ、心の調子を崩した元プログラマの物語を紹介しよう。テストエンジニアの第3バイオリン氏は、かつてプログラマだった。そのころの話を、『冬の終わり』という小説にまとめている。

 第3バイオリン氏は、学生時代の専攻を生かしてプログラマになった。新人のころは必死になってコーディングを覚えた。だが、3年目にもなると、「プログラマは自分にあまり向いていない」ということに気が付いてしまう。自分がどうなりたいのかが分からない、やりたいことが見つからない――第3バイオリン氏は次第にふさぎ込むようになる。

 このままではいけないと思い、第3バイオリン氏は病院に行き、薬をもらった。「現代型うつ」について、第3バイオリン氏は下記の症状を挙げている。

  1. 20代~30代の若年層に多い
  2. 自分ではなく他人を責める
  3. 自分の趣味、好きなことはできるが、嫌いなことや苦手なことはやる気にならない
  4. 自覚症状がある。自分から病院に行きたがる
  5. ストレス耐性が低い。自傷行為に走ることもある

 やがて第3バイオリン氏は、音楽とテストエンジニアという新しい仕事を得て、「冬の終わり=再生」に向かっていく。連載は全5回。バックナンバーは下記のとおり。

心の病を予防するために必要なのは「メリハリ」と「余暇」

 2つの物語から分かるように、エンジニアはさまざまな理由で心の調子を崩すことがある。まずは「予防法」から考えよう。

 『エンジニアの年輪』の山﨑靖之氏は、「心の病」を予防する手段として「メリハリをつけた働き方をする」ことと「余暇を上手に使う」ことを推奨している。

 特に忙しくなると、疲れがたまって心の調子を崩しがちになる。山崎氏は「平日に徹夜したら休日はしっかり休む」など、「やるときはやり、やらないときはやらない」とはっきりさせることによって、慢性的な疲労を緩和できるのではと、提案している。

 また、余暇を上手に使うことが重要だ。余暇では「疲れた身体を休める」「心をリフレッシュさせる」「楽しむ」ことを心掛けるとよい。

 「能力を十分に発揮するためには、心身ともに健全な状態を作ることが重要だ。そのためには定期的な休養を取り、余暇を上手に使って自分をリセットすることが必要」と、山崎氏は語る。

うつ病1歩手前で、逆転サバイバル!

 いくら自分が予防していても、それだけでは十分ではない。なぜならストレスや心労は、仕事環境やチームメンバーなどの「外的要因」によるところも大きいからである。

 『紅一点! 生産管理ガテン系SE☆』のSARA氏は、上司の暴言に耐えかねて、心療内科に通っていた。だが、上司は態度を改善する気配がまるでない。「これではうつ病になってしまう」と危機感を感じたSARA氏は、上司の「権力に弱い」性格をうまく利用した。保健所に相談し、部長と課長を味方にして見事、異動を果たしたのである。

 「1日は40時間ではないし、設計ミスはプログラマのせいではない。悩んでいる人に『あなたは悪くない』と伝えたい」と、SARA氏は主張する。SARA氏のサバイバル意識と行動力に、見習うところは多い。

 バックナンバーはこちら。

メンタルヘルスケアのTipsまとめ

 最後に、「メンタルヘルスの理論と実践」を日々行っているエンジニアのアドバイスを聞こう。

 『It’s Party Time!』のあずK氏は、「自分はメンタルが弱い人間だ」と語る。かつては、愚痴をいう、かんしゃくを起こす、八つ当たりする、自分をとにかく責めてしまうなど、うまく感情をコントロールできなかったという。あずK氏は自分の弱さを認めたうえで、その弱さと上手に付き合う方法=セルフケア方法を学んできた。

 ここに、あずK氏が学んできたメンタルヘルス方法をまとめて紹介しよう。

マインドフルネス瞑想でメンタルヘルスケア

 不安感がいつもある人向け。「失敗したらどうしよう……」といった不安を軽減するためには、マインドフルネスという考え方が有効だ。不安に対して、余計な思考を挟まない方法だ。マインドフルネスには、7つの基本姿勢がある。

  1. 判断しない
  2. 忍耐強くなる
  3. 初心を忘れない
  4. 自分を信じる
  5. 努力しない
  6. 受け入れる
  7. とらわれない

笑ってメンタルヘルスケア

 イライラしがちな人向け。嫌なことがあったときに、つい「むっ」とした顔をしてしまうことがある。だが、嫌なことがあったときにあえて「笑う」と、自分のイライラが軽減できる。あずK氏は、いつでも笑っている先輩から、このことを学んだという。

アサーティブな生活でメンタルヘルスケア

 コミュニケーション不全で悩んでいる人向け。コミュニケーションの形には、3パターンある。「アグレッシブ(攻撃的)」「ノンアサーティブ(非自己主張的)」「アサーティブ(自己主張的)」だ。この中で、「相手を立てつつも、自分の意見を伝えるアサーティブ・コミュニケーション」を取ると、コミュニケーションがうまくいくという。

ABC理論でメンタルヘルスケア

 感情を上手にコントロールしたい向け。「ABC理論」とは、「A:Activating event(起こっている出来事)」「B:Belief(信念)」「C:Consequence(結果)」の頭文字を取ったものである。イライラの原因となる、「~せねばならない」「~するべきだ」という信念や考え方を変えようとする方法である。

ストロークの法則でメンタルヘルスケア

 人とよりよいコミュニケーションを取りたい人向け。ストロークとは、「他者に対する自分の表現」のことだ。「ストロークの法則」とは、「人はみんなOKである」という精神のもと、人に対して「プラスの表現」を行うようにしていく考え方である。

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