キャリア20年超。ずっとプログラマで生き延びている女のコラム。

反応の悪いプログラマのいいわけ

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 玄米茶さんの「気難しいプログラマ:4.あなたの問いかけに反応が悪いとき」を読ませていただきまして、おもわず「分かる分かる~」とつぶやいてしまいました(苦笑)。

 ということは、わたしこそが「不機嫌なプログラマ」に違いありません。なんかもう、あっちこっちに向かって「ごめんなさい」といいまくらなければいけないような気がしてきました……。

 コーディングは脳内リソースを食い散らかすので、集中してロジックを考えたりコードをタイプしているときに割り込みが発生すると、頭の中で展開中のものがグチャッとなって、なんとか収拾つけようとしてかる~くパニックをおこし、その結果、反応がえらく鈍くなります。あれですよ、CPU使用率が100%になったまま天井にはりついちゃってる感じですよ。

 この動きが止まっている状態をみて「反応が悪い」=「機嫌が悪い」ととられることがままあるようなのです。ていうか、正直なところ、本当に機嫌が悪くなってる場合もあります。集中をぶっちぎられると、反射的にむかっとくるのです。抑えてるつもりなんですけど、それが相手に通じちゃってるのかもしれません。

 一度、その反応の悪さをリーダーに厳重注意されたことがあって、そういったメカニズムを説明してみたら「いいわけをするな! 人に話しかけられてるときはそれに集中しろ! それでも社会人か!」といわれました。

 取りあえずコーディングにのめりこまないように努力してみたところ、プログラマとしての生産能力は落ちましたけど、表面上はきびきび動くようになったので、リーダーは満足したようでした。わたしはストレスたまりまくりでしたけど。

 プログラマとしての性能と、円滑な人間関係をてんびんにかけるのはどうなんだ、とは思いました。わたしはその両立がどうしてもできませんでした。もしかしたら、コントロールがヘタなだけで、他の人たちはもっとうまくリソースのやりくりをしているのかもしれません。まあ、「スキル不足」といわれたらそれまでなんですけどね。

 その反対に、わたしの動きがたびたび止まることに、とても寛容なリーダーもいました。動きを止めては「すみませんでした」というわたしに、笑いながら「うん、それでね」と何ごともなかったかのように話を続ける方でした。

 1対1で打ち合わせをしていたときに、説明してもらった仕様のコーディングをその場ではじめてしまった(←もちろん脳内で)ことがありました。はっと気付いたら、やっぱり笑って待っててくれていて「これはさすがにひど過ぎる」と思い謝ったら、「コーディング終わった?」と聞かれました。……バレバレでした(苦笑)。

 「待ってもらうことが多くて申し訳ない」と謝ったことがあったんですが、そのとき、リーダーはこんな言葉をかけてくれました。

 「きみはとても集中力が高いし、いつも骨惜しみなく働いてくれる。黙っていても仕事をきちんと仕上げてくれるから、おれはなんの不安もなく任せっきりにできるよ。楽させてもらってありがたいと思ってる」

 わたしは心の中で叫んでいました。

 「許してくれてありがとう! 思う存分、コーディングにのめりこませてくれてありがとう~!」

 そんなリーダーも、緊急の際には割り込みをかけてきます。仕事上、配慮をふっとばさなければならない場面はいくらでも発生します。そういうときは「いつも気を遣ってくれるこの人が割り込むくらいだから、最優先にしなければ」と思って、脳内のコードをきっぱりあきらめて捨てていました。

 結局のところ、こういったお互いに折り合いをつけるということが重要なのかと思います。

 とかいって、実はリーダーにものすごい忍耐を強いていたのかもしれません。あまえすぎていたのかもしれません。いまになって、なんか申し訳ない気持ちになってきました(←遅過ぎるからっ)。

 さて、ここまで読んでくださったみなさまの中には「自分に都合のいいことばっかいってんじゃない」とお考えの方がいらっしゃるかもしれません。まったくもってその通りです。わたしはわたしの都合しかいってません。

 そして、そんなプログラマの都合をきいて、どう対応するかは、各人の考え方次第。「プログラマとしてより、社会人としてちゃんとしようよ」というのも、「プログラマとしてちゃんと働いてくれるのなら、多少の不都合には目をつぶる」というのも、それぞれに理があって、それぞれに正しいんだと思います。

 「黙って我慢してるのに察してくれない」というのは、意外にたちが悪いです。黙ってるのなら耐え続けるべきで、それがいやなら話し合うべきでしょう(話し合うのもいやだから逃げる、というパターンもありますけど)。

 もっとも、集中するとかなり固まりやすいプログラマだったわたしも、さすがに年月を経て並列処理がうまくなって、前ほどは止まらなくなりました。……とかいって、みんなが黙って耐えてくれてるだけで実はいまも反応が悪いままかもしれません(苦笑)。

Comment(9)

コメント

インドリ

あるある。
私も脳内でプログラムが飛び交っているマトリックス空間にいる時、一瞬日本語が理解できなくなる場合すらあります。
「割り込み不可!」と書いた旗(割り込み許可フラグ)を揚げ下げしたいなと思います。

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。

インドリさん。

私は、日本語は理解できてるけど、それに反応しなければならない、という気持ちが発生しない、といった状態になることがあります。本当に失礼な話です。

いっそのこと、決まりごとをつくったらどうでしょうかね。
カチューチャをしてる時は割り込み禁止! とか(笑)。

玄米茶

ひでみさん、はじめまして。

私も割り込みには非常に弱いタイプで、問いかけに反応はできるんですが、反応した時点で脳内のコードはほぼ壊滅してしまいます。
しかも年を追うごとに集中状態そのものが持続しなくなってきて、1日にできるコーディングの量は減っていく一方です。
35歳定年説とは、実はこの辺りのことなのかな、とも思ったり。

私の場合、集中してコーディングをしているときは、思考過程を口に出してブツクサと独り言をつぶやきながらやってますね。
集中を保つ、というよりも防御に効果あります。
気味悪がって誰も話しかけてきません;;

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。

玄米茶さん。はじめまして。

私は集中力の低下とかはそんなに感じませんねえ。
まあ、それを感じてないから、「ずっとプログラマでいる!」とか言い張れているんですけど。
けれど、定時を過ぎた途端にプシューッて感じで集中力が消えうせます。
昔はそうでもなかったんですけど。

> 思考過程を口に出してブツクサと独り言をつぶやきながらやってますね。
> 集中を保つ、というよりも防御に効果あります。

私はやりませんよっ(笑)。とかいって、実は無意識のうちにぶつぶつ言ってたりして……こわいなあ。

TASUKU

そういえば、昔、会社でこんな話題がありましたね。

Aさん「こんどの、新人、変なんだよ。」
Bさん「どう、変なの。」
Aさん「プログラミング中に、独り言を一言も発しないんだ。」
一同 「それは、変だ!」

当時のメンバーは、みんな独り言派でした....。

わたしは、話しかけれたほうが全然いいです。

もっと怖いこと上司からメールで業務の進捗状況や不具合の報告について回答を要求されたときです。

仲澤@失業者

もろに自慢になりますが(笑)、自分はコーディング中に話しかけられても、
ちっとも気になりませんし即座に相手に対応できます。

そもそもコーディング中には集中も緊張もしていませんし、難しいことは
何も考えていません。事前に設計したストーリーに沿ってチャッチャッと
書くだけです。むしろリラックスした雑談モードかもしれません。

んで、コーディングはどのような状態でも中断できます。
昼飯のチャイムがなると即座に座席を立ちますが、このとき変数名が
書きかけの状態であろうが、漢字変換の途中であろうがそのままにします(笑)。
で、帰ってきて、さっきのモードに戻れるなら、そのまま書き続け、
戻れない場合はいきなりコンパイルをかけて、発生したエラーから
直していきます。C++ならそれで十分なわけです。

ですが、込み入ったデバッグ中に話しかけられた場合はやはりだめです。
即座にデバッグを中断してから、相手に対応します。
まぁ、最近は、ウオッチとにらめっこしている自分には誰も話しかけて
こなくなりました。周りはほぼすべてプログラマなので、
この辺は以心伝心というか、バリバリにしびれて近づけないようです(笑)。

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。

仲澤@失業者さん。

> もろに自慢になりますが(笑)、自分はコーディング中に話しかけられても、
> ちっとも気になりませんし即座に相手に対応できます。

私がちょくちょく止まる人なんでちょっと気になってて、この件についてたまに他のプログラマにさぐりをいれる(笑)ことがあるんですけど、「全然、平気」って人がたまにいるんですよね。
う~ん、どこらへんが違うんでしょう。私のリソースの配分の仕方が下手なだけなんですかねえ。

仲澤@失業者

習熟度合いはおいとくとして、やはり使っている言語そのものの特質が
大きな影響を与えると自分は考えます。
たとえば自分の不得意なコードとしてSQL文やLISPのコードがあります。
構文自体が前時代的な設計なのでやむをえないともいえますが、
あの「カッコ」「カンマ」「"」の多さにはうんざりで、
はっきり言って秒殺です(笑)。
また、javaやVBなどで冗長に書いてあるコードも結構やる気が萎えます。
「もっと手短に書けんのかぁ、この腐れ言語めが」と叫んでしまいます(笑)。

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