ハローサマー、グッドバイ(26) いくつかのZ不測事態対応策 『繰り返す。D型が接近中。少なくとも20体。もしかする......』レインバードからの通信は唐突に途絶えた。ブラウンアイズは舌打ちした。「今度こそ、本当に切れたわ」「D型って......」「D型とこん... 2015/08/17 Comment(20) ハローサマー、グッドバイ(25) スナークとブージャム 屋上の監視班を除く全員が集合したのは、22時を回ってからだった。隊員たちが交代で食事やその他の用事を済ませるのを待っていたからだ。おかげでぼくは、短い時間ではあったが、心と身体を休ませることができた。... 2015/08/10 Comment(14) ハローサマー、グッドバイ(24) 環境構築 谷少尉の決断は早かった。『グレイベア、ビーンだ』谷少尉は柿本少尉に呼びかけた。『1階から救助してやれ。アックス、キトン、テンプルを連れて行け。シルクワームとリーフは入り口、屋上チームは上から援護しろ。... 2015/08/03 Comment(16) ハローサマー、グッドバイ(23) 闇をさまようもの 平凡なプログラマ生活を送っていれば、物理的、または精神的衝撃で気絶するという経験をすることはあまりない。少なくともぼくは初めてだった。同じように、頬を叩かれて覚醒させられるという経験も初めてだ。ぼくが... 2015/07/27 Comment(13) ハローサマー、グッドバイ(22) ウェットワーク 座っているだけで高額な報酬を受け取ることができる。そんなうまい話がそうそう転がっているはずがないのは承知している。こんなご時世に、まがりなりにもITエンジニアとしての仕事ができるだけでも幸せだとも言え... 2015/07/21 Comment(12) ハローサマー、グッドバイ(21) Night of the Living Dead ソフトウェアが存在するためには、ハードウェアが必要だ。どんなに芸術的なコードを書いたところで、実行できる環境がなければ、無意味な英数字の羅列でしかない。ITシステムが贅沢品になってしまったこんな世界で... 2015/07/13 Comment(8) ハローサマー、グッドバイ(20) 死者を侮るなかれ 夕方になってもひどく蒸し暑い状態は続いていた。割れた窓からは生ぬるい風が申しわけ程度に流れてくるが、体感温度を下げる効果はほとんどない。谷少尉は、ぼくたちにできるだけリラックスして体力を温存しておくよ... 2015/07/06 Comment(9) ハローサマー、グッドバイ(19) 無限後退 目の前で進行している事態の意味を理解できないまま、燃える指揮車両を茫然と見下ろしていたぼくの耳に、何かを叩きつけるような破裂音が連続して届いた。「伏せて!」「伏せろ!」ブラウンアイズとサンキストが同時... 2015/06/29 Comment(3) ハローサマー、グッドバイ(18) unreachable オペレーションMMの作戦行動計画によれば、ベースキャンプ設営第1候補地点は、みなとみらい4丁目にあるホームセンター、セキチュー横浜みなとみらい店だった。オペレーションMMに先立つ数週間前に、電動バイク... 2015/06/22 Comment(15) ハローサマー、グッドバイ(17) マーカー オペレーションMMの一行は、15時30分にみなとみらい大橋の手前に到達した。予定では、90分前にベースキャンプ設置地点に到着していなければならないのだが、このペースでは3、40分はかかるだろう。橋の右... 2015/06/15 Comment(14) ハローサマー、グッドバイ(16) デグレード 「なんだ?」胡桃沢さんが睨んだ。「何かのメソッドが未実装になっていますが」「何だと」胡桃沢さんはぼくを押しのけるようにモニタを覗き込んだ。「おい、これは何のファイルだ」ぼくが横から手を伸ばして、該当メ... 2015/06/08 Comment(12) ハローサマー、グッドバイ(15) Hello, World! プログラマなら誰でも一度は、Hello,World!を書いたことがあるだろう。実行すると、画面にHello,World!と表示して終了するあれだ。なぜHello,World!なのかは知らないが、考えて... 2015/06/01 Comment(17) ハローサマー、グッドバイ(14) 頼むから静かにしてくれ エアコンの効いた指揮車両内に戻ると、さすがにほっとした。温度だけの問題ではなく、Zの大群という物理的な危機から逃れたという安堵感だ。もっともブラウンアイズたちバンド隊員たちが、外で危険にさらされている... 2015/05/25 Comment(6) ハローサマー、グッドバイ(13) 私とワルツを ドアが開くと圧倒的な陽光と熱気が襲いかかってきた。ほとんど殺人的な熱量だ。思わず後ずさりしたが、外にブラウンアイズが立っているのが目に入った。こちらに手を差し伸べている。考えるより先に手が伸びた。指先... 2015/05/18 Comment(3) ハローサマー、グッドバイ(12) デバッグ・フォー・ビギナーズ 他人が書いたソースは読めない、と思い込んでいるエンジニアが大勢いる。もちろんこれは正しくない。他人が書いたソースが読めないとしたら、書く方が正しく書く努力を怠っているか、読む方が読もうとする努力を怠っ... 2015/05/11 Comment(21) ハローサマー、グッドバイ(11) 探知不能 綱島街道は多摩川にかかる丸子橋を渡った交差点から始まり、今は動いていない東急東横線に沿うように横浜方面に伸び、第二京浜にぶつかるまで続く幹線道路だ。ソラニュウム・ウィルスが世界を一変させる前、バスや自... 2015/04/27 Comment(12) ハローサマー、グッドバイ(10) Knockin' on Hell's Door 「エンジン停止」ドライバーズシートの後ろに立っていた臼井大尉が命じた。「ここからはモーターだな。サンキスト、バッテリーと通信チェック。予備も含めてな」「バッテリーは全て99.1から99.7%の範囲内で... 2015/04/20 Comment(11) ハローサマー、グッドバイ(9) 出発 7月30日午前9:00ちょうど。オペレーションMMは定刻通りに開始された。今朝、目覚ましの音楽とともにドアがノックされ同時に開いた。寝ぼけ眼で応じたぼくを迎えたのは、医療技術者の仁志田さんだった。「お... 2015/04/13 Comment(6) ハローサマー、グッドバイ(8) 火器管制APIの必然性 格納庫を出ると強烈な陽射しが襲いかかってきた。思わず涼しい格納庫に逆戻りしたくなるような熱気と湿気だったが、ブラウンアイズは少しも気にする様子もなく早足で歩いていく。ぼくは可能な限り日陰を選び、殺人的... 2015/04/06 Comment(13) ハローサマー、グッドバイ(7) BIAC ブラウンアイズが向かった先には、床にブルーシートが敷かれていて、その上に各種装備品が無造作に転がっていた。何人かの隊員がそれを物色していたが、ぼくとブラウンアイズに気付くと、中の1人が、からかうような... 2015/03/30 Comment(5) 前のページへ 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 次のページへ SpecialPR
ハローサマー、グッドバイ(26) いくつかのZ不測事態対応策 『繰り返す。D型が接近中。少なくとも20体。もしかする......』レインバードからの通信は唐突に途絶えた。ブラウンアイズは舌打ちした。「今度こそ、本当に切れたわ」「D型って......」「D型とこん... 2015/08/17 Comment(20)
ハローサマー、グッドバイ(25) スナークとブージャム 屋上の監視班を除く全員が集合したのは、22時を回ってからだった。隊員たちが交代で食事やその他の用事を済ませるのを待っていたからだ。おかげでぼくは、短い時間ではあったが、心と身体を休ませることができた。... 2015/08/10 Comment(14)
ハローサマー、グッドバイ(24) 環境構築 谷少尉の決断は早かった。『グレイベア、ビーンだ』谷少尉は柿本少尉に呼びかけた。『1階から救助してやれ。アックス、キトン、テンプルを連れて行け。シルクワームとリーフは入り口、屋上チームは上から援護しろ。... 2015/08/03 Comment(16)
ハローサマー、グッドバイ(23) 闇をさまようもの 平凡なプログラマ生活を送っていれば、物理的、または精神的衝撃で気絶するという経験をすることはあまりない。少なくともぼくは初めてだった。同じように、頬を叩かれて覚醒させられるという経験も初めてだ。ぼくが... 2015/07/27 Comment(13)
ハローサマー、グッドバイ(22) ウェットワーク 座っているだけで高額な報酬を受け取ることができる。そんなうまい話がそうそう転がっているはずがないのは承知している。こんなご時世に、まがりなりにもITエンジニアとしての仕事ができるだけでも幸せだとも言え... 2015/07/21 Comment(12)
ハローサマー、グッドバイ(21) Night of the Living Dead ソフトウェアが存在するためには、ハードウェアが必要だ。どんなに芸術的なコードを書いたところで、実行できる環境がなければ、無意味な英数字の羅列でしかない。ITシステムが贅沢品になってしまったこんな世界で... 2015/07/13 Comment(8)
ハローサマー、グッドバイ(20) 死者を侮るなかれ 夕方になってもひどく蒸し暑い状態は続いていた。割れた窓からは生ぬるい風が申しわけ程度に流れてくるが、体感温度を下げる効果はほとんどない。谷少尉は、ぼくたちにできるだけリラックスして体力を温存しておくよ... 2015/07/06 Comment(9)
ハローサマー、グッドバイ(19) 無限後退 目の前で進行している事態の意味を理解できないまま、燃える指揮車両を茫然と見下ろしていたぼくの耳に、何かを叩きつけるような破裂音が連続して届いた。「伏せて!」「伏せろ!」ブラウンアイズとサンキストが同時... 2015/06/29 Comment(3)
ハローサマー、グッドバイ(18) unreachable オペレーションMMの作戦行動計画によれば、ベースキャンプ設営第1候補地点は、みなとみらい4丁目にあるホームセンター、セキチュー横浜みなとみらい店だった。オペレーションMMに先立つ数週間前に、電動バイク... 2015/06/22 Comment(15)
ハローサマー、グッドバイ(17) マーカー オペレーションMMの一行は、15時30分にみなとみらい大橋の手前に到達した。予定では、90分前にベースキャンプ設置地点に到着していなければならないのだが、このペースでは3、40分はかかるだろう。橋の右... 2015/06/15 Comment(14)
ハローサマー、グッドバイ(16) デグレード 「なんだ?」胡桃沢さんが睨んだ。「何かのメソッドが未実装になっていますが」「何だと」胡桃沢さんはぼくを押しのけるようにモニタを覗き込んだ。「おい、これは何のファイルだ」ぼくが横から手を伸ばして、該当メ... 2015/06/08 Comment(12)
ハローサマー、グッドバイ(15) Hello, World! プログラマなら誰でも一度は、Hello,World!を書いたことがあるだろう。実行すると、画面にHello,World!と表示して終了するあれだ。なぜHello,World!なのかは知らないが、考えて... 2015/06/01 Comment(17)
ハローサマー、グッドバイ(14) 頼むから静かにしてくれ エアコンの効いた指揮車両内に戻ると、さすがにほっとした。温度だけの問題ではなく、Zの大群という物理的な危機から逃れたという安堵感だ。もっともブラウンアイズたちバンド隊員たちが、外で危険にさらされている... 2015/05/25 Comment(6)
ハローサマー、グッドバイ(13) 私とワルツを ドアが開くと圧倒的な陽光と熱気が襲いかかってきた。ほとんど殺人的な熱量だ。思わず後ずさりしたが、外にブラウンアイズが立っているのが目に入った。こちらに手を差し伸べている。考えるより先に手が伸びた。指先... 2015/05/18 Comment(3)
ハローサマー、グッドバイ(12) デバッグ・フォー・ビギナーズ 他人が書いたソースは読めない、と思い込んでいるエンジニアが大勢いる。もちろんこれは正しくない。他人が書いたソースが読めないとしたら、書く方が正しく書く努力を怠っているか、読む方が読もうとする努力を怠っ... 2015/05/11 Comment(21)
ハローサマー、グッドバイ(11) 探知不能 綱島街道は多摩川にかかる丸子橋を渡った交差点から始まり、今は動いていない東急東横線に沿うように横浜方面に伸び、第二京浜にぶつかるまで続く幹線道路だ。ソラニュウム・ウィルスが世界を一変させる前、バスや自... 2015/04/27 Comment(12)
ハローサマー、グッドバイ(10) Knockin' on Hell's Door 「エンジン停止」ドライバーズシートの後ろに立っていた臼井大尉が命じた。「ここからはモーターだな。サンキスト、バッテリーと通信チェック。予備も含めてな」「バッテリーは全て99.1から99.7%の範囲内で... 2015/04/20 Comment(11)
ハローサマー、グッドバイ(9) 出発 7月30日午前9:00ちょうど。オペレーションMMは定刻通りに開始された。今朝、目覚ましの音楽とともにドアがノックされ同時に開いた。寝ぼけ眼で応じたぼくを迎えたのは、医療技術者の仁志田さんだった。「お... 2015/04/13 Comment(6)
ハローサマー、グッドバイ(8) 火器管制APIの必然性 格納庫を出ると強烈な陽射しが襲いかかってきた。思わず涼しい格納庫に逆戻りしたくなるような熱気と湿気だったが、ブラウンアイズは少しも気にする様子もなく早足で歩いていく。ぼくは可能な限り日陰を選び、殺人的... 2015/04/06 Comment(13)
ハローサマー、グッドバイ(7) BIAC ブラウンアイズが向かった先には、床にブルーシートが敷かれていて、その上に各種装備品が無造作に転がっていた。何人かの隊員がそれを物色していたが、ぼくとブラウンアイズに気付くと、中の1人が、からかうような... 2015/03/30 Comment(5)