レインメーカー (1) 入社式と騒乱 ◆アリマツ通信2021.4.1入社式昨年度はコロナ対策のため中止となった入社式ですが、今年度は万全の感染対策を施した上で実施されました。今年度の新入社員は例年より多い10名。それぞれフレッシュな抱負を... 2022/08/08 Comment(13) 約束の日 世の中には無数のプログラムが存在し、今、この瞬間にも新たなコードが無数の指から生成され続けているというのに、どうして自分の問題を解決してくれるプロダクトなりオープンソースなりがないのか、とマリは呪った... 2022/02/14 Comment(23) 私の彼はプログラマ (終) 「どうして、たかが一企業の」イノウーが訊いた。「いちシステムの脆弱性対応ごときで、そんな話になる?実は国際的重要システムだったりするのか?」シュンは仕事を続けたそうな顔を向けたが、イノウーが譲りそうも... 2021/12/25 Comment(20) 私の彼はプログラマ (2) 「そもそもなんですけど」マリは疑問を呈した。「Log4Jの置き換えって、そんなに大変ですか?数が多いのはともかく、一括変換でできそうな気がするんですけど」「うちの会社の対応分はそれで済んだんだけどね」... 2021/12/24 Comment(6) 私の彼はプログラマ (1) 「え、プログラマ?」耳を疑う、といった表情で、シオリが訊き返した。「笠掛の好きな人ってプログラマなんかやってんの?」「そうだけど......」マリは戸惑った。「何かまずいの?」「いや、まずくはないけど... 2021/12/23 Comment(12) イノウーの憂鬱 (終) バトン 「なあ、イノウーよ、あいつ何とかならんもんかな」そう言ったのは、ぼくの尊敬する先輩、サードアイの東海林さんだ。「あいつ」という代名詞が指しているのは、システム開発室の新入社員、青柳さんのことだ。「何と... 2021/11/22 Comment(35) イノウーの憂鬱 (65) 年上の部下、年下の上司 「実に信じられないことを聞いたんだが」大竹社長はぼくを睨んだ。「斉木くんによれば、ジョイントベンチャーには出向しない、と言ったそうだが、間違いないのか」「間違いありません」ぼくは答えた。大竹社長は咎め... 2021/11/15 Comment(14) イノウーの憂鬱 (64) 去就 8月から9月にかけて、日本国内の新型コロナウィルスの感染者数は、少しずつではあるが減少傾向にあった。20,000人前後で推移していた数字が、9月14日には6,000人台にまで下がった。マーズ・エージェ... 2021/11/08 Comment(8) イノウーの憂鬱 (63) インストルメンタリティ 「社内SNSの話を友成さんから聞きました」ぼくは言った。「斉木さんがストップをかけてると」「そんな事実はないねえ」斉木室長はのんびりと答えた。「友成くんは理由を言った?」「システム開発室で開発を行わせ... 2021/11/01 Comment(11) イノウーの憂鬱 (62) 拡散プロセス 「珍しいね」斉木室長は会議室の椅子に座りながら言った。「イノウーちゃんの方から呼び出すなんて」「お忙しいところすみません」ぼくは斉木室長の向かいに座った。「そろそろちゃんと話をした方がいいのではないか... 2021/10/25 Comment(21) イノウーの憂鬱 (61) 絶叫 17時5分前に大会議室に入ると、同じく呼び出しを受けたらしい社員たちが落ち着かない様子で、一定の距離をとって対峙していた。ざっと見たところ15人以上いるようだ。その顔ぶれは多彩で、すぐには招集の基準が... 2021/10/11 Comment(27) イノウーの憂鬱 (60) デマ 8月10日、いつもの時刻に起床したぼくは、洗顔や朝食といったルーティンをこなした後、少し早めにPCにログインした。木名瀬さんは事情がない限りは、毎朝9時5分前にはログインするのが常だ。忙しい人なので、... 2021/10/04 Comment(11) イノウーの憂鬱 (59) 広報課のお仕事 大竹社長の手によって職域接種対象者として選ばれた40人の中に、システム開発室のメンバーは一人も入らなかった。ぼくたちは、それぞれ横浜市のワクチン接種予約サイトから、予約を試みたものの、かろうじて成功し... 2021/09/27 Comment(6) イノウーの憂鬱 (58) アナログ 職域接種受付フォームは予定通りリリースされ、締め切りの7月7日夕刻までに、多くの社員が申し込みを行った。ぼく自身は、テストを兼ねて真っ先に登録し、斉木室長、木名瀬さん、マリも続いた。受付終了時刻を1分... 2021/09/13 Comment(19) イノウーの憂鬱 (57) 設定より規約 「そ、それなら、この接種希望日の作りはどうですか」しばらく考えた後、浦西氏は画面をスクロールさせた。「社員さん本人と同じ場合は省略可能、また7月15日で18歳未満は接種不可能ってやつですよ。もっと前の... 2021/09/06 Comment(29) イノウーの憂鬱 (56) SQLインジェクション 結局、ぼくとマリは土日も仕事をすることになった。職域接種受付フォームの機能は土曜日の午前中には完成し、一通りのテストを終えたのだが、経営管理部の大石部長から、事前に「ユーザ目線で」テストをしたい旨の申... 2021/08/30 Comment(16) イノウーの憂鬱 (55) 信頼できない語り手 「え」ぼくは驚いて訊き返した。「もうできた?」「もちのろん、でっせ、だんな」マリは得意そうに答えた。「あっしを甘く見ちゃ困りまっせ。いつまでも、けなげに努力する美少女マリちゃんじゃないんすよ」「美少女... 2021/08/23 Comment(18) イノウーの憂鬱 (54) 職域接種 「そう」斉木室長はあっさり白状した。「さっきの一幕は、あらかじめ夏目さんと共謀したんだよ」「ですよね」マリは納得したように頷いた。「夏目さんがやけにものわかりがいいなと思ったら、やっぱりそういうことだ... 2021/08/16 Comment(11) イノウーの憂鬱 (53) 花もて語れ 伊牟田では、ここからは俺のターンってことで。まず最初は何だっけな。外部サービスがあるって話でしたか。何でもかんでも外部サービスでまかなえるなんてのは、俺に言わせれば幻想でしかないですよ。Salesfo... 2021/08/10 Comment(13) イノウーの憂鬱 (52) ディベート 夏目(微笑みながら)私はうちの会社に開発部門......具体的に言うならばシステム開発室は不要だと考えています。理由の一つは、社内の業務システムなど、クラウドサービスが多数存在している現在では、いくら... 2021/08/02 Comment(13) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次のページへ
レインメーカー (1) 入社式と騒乱 ◆アリマツ通信2021.4.1入社式昨年度はコロナ対策のため中止となった入社式ですが、今年度は万全の感染対策を施した上で実施されました。今年度の新入社員は例年より多い10名。それぞれフレッシュな抱負を... 2022/08/08 Comment(13)
約束の日 世の中には無数のプログラムが存在し、今、この瞬間にも新たなコードが無数の指から生成され続けているというのに、どうして自分の問題を解決してくれるプロダクトなりオープンソースなりがないのか、とマリは呪った... 2022/02/14 Comment(23)
私の彼はプログラマ (終) 「どうして、たかが一企業の」イノウーが訊いた。「いちシステムの脆弱性対応ごときで、そんな話になる?実は国際的重要システムだったりするのか?」シュンは仕事を続けたそうな顔を向けたが、イノウーが譲りそうも... 2021/12/25 Comment(20)
私の彼はプログラマ (2) 「そもそもなんですけど」マリは疑問を呈した。「Log4Jの置き換えって、そんなに大変ですか?数が多いのはともかく、一括変換でできそうな気がするんですけど」「うちの会社の対応分はそれで済んだんだけどね」... 2021/12/24 Comment(6)
私の彼はプログラマ (1) 「え、プログラマ?」耳を疑う、といった表情で、シオリが訊き返した。「笠掛の好きな人ってプログラマなんかやってんの?」「そうだけど......」マリは戸惑った。「何かまずいの?」「いや、まずくはないけど... 2021/12/23 Comment(12)
イノウーの憂鬱 (終) バトン 「なあ、イノウーよ、あいつ何とかならんもんかな」そう言ったのは、ぼくの尊敬する先輩、サードアイの東海林さんだ。「あいつ」という代名詞が指しているのは、システム開発室の新入社員、青柳さんのことだ。「何と... 2021/11/22 Comment(35)
イノウーの憂鬱 (65) 年上の部下、年下の上司 「実に信じられないことを聞いたんだが」大竹社長はぼくを睨んだ。「斉木くんによれば、ジョイントベンチャーには出向しない、と言ったそうだが、間違いないのか」「間違いありません」ぼくは答えた。大竹社長は咎め... 2021/11/15 Comment(14)
イノウーの憂鬱 (64) 去就 8月から9月にかけて、日本国内の新型コロナウィルスの感染者数は、少しずつではあるが減少傾向にあった。20,000人前後で推移していた数字が、9月14日には6,000人台にまで下がった。マーズ・エージェ... 2021/11/08 Comment(8)
イノウーの憂鬱 (63) インストルメンタリティ 「社内SNSの話を友成さんから聞きました」ぼくは言った。「斉木さんがストップをかけてると」「そんな事実はないねえ」斉木室長はのんびりと答えた。「友成くんは理由を言った?」「システム開発室で開発を行わせ... 2021/11/01 Comment(11)
イノウーの憂鬱 (62) 拡散プロセス 「珍しいね」斉木室長は会議室の椅子に座りながら言った。「イノウーちゃんの方から呼び出すなんて」「お忙しいところすみません」ぼくは斉木室長の向かいに座った。「そろそろちゃんと話をした方がいいのではないか... 2021/10/25 Comment(21)
イノウーの憂鬱 (61) 絶叫 17時5分前に大会議室に入ると、同じく呼び出しを受けたらしい社員たちが落ち着かない様子で、一定の距離をとって対峙していた。ざっと見たところ15人以上いるようだ。その顔ぶれは多彩で、すぐには招集の基準が... 2021/10/11 Comment(27)
イノウーの憂鬱 (60) デマ 8月10日、いつもの時刻に起床したぼくは、洗顔や朝食といったルーティンをこなした後、少し早めにPCにログインした。木名瀬さんは事情がない限りは、毎朝9時5分前にはログインするのが常だ。忙しい人なので、... 2021/10/04 Comment(11)
イノウーの憂鬱 (59) 広報課のお仕事 大竹社長の手によって職域接種対象者として選ばれた40人の中に、システム開発室のメンバーは一人も入らなかった。ぼくたちは、それぞれ横浜市のワクチン接種予約サイトから、予約を試みたものの、かろうじて成功し... 2021/09/27 Comment(6)
イノウーの憂鬱 (58) アナログ 職域接種受付フォームは予定通りリリースされ、締め切りの7月7日夕刻までに、多くの社員が申し込みを行った。ぼく自身は、テストを兼ねて真っ先に登録し、斉木室長、木名瀬さん、マリも続いた。受付終了時刻を1分... 2021/09/13 Comment(19)
イノウーの憂鬱 (57) 設定より規約 「そ、それなら、この接種希望日の作りはどうですか」しばらく考えた後、浦西氏は画面をスクロールさせた。「社員さん本人と同じ場合は省略可能、また7月15日で18歳未満は接種不可能ってやつですよ。もっと前の... 2021/09/06 Comment(29)
イノウーの憂鬱 (56) SQLインジェクション 結局、ぼくとマリは土日も仕事をすることになった。職域接種受付フォームの機能は土曜日の午前中には完成し、一通りのテストを終えたのだが、経営管理部の大石部長から、事前に「ユーザ目線で」テストをしたい旨の申... 2021/08/30 Comment(16)
イノウーの憂鬱 (55) 信頼できない語り手 「え」ぼくは驚いて訊き返した。「もうできた?」「もちのろん、でっせ、だんな」マリは得意そうに答えた。「あっしを甘く見ちゃ困りまっせ。いつまでも、けなげに努力する美少女マリちゃんじゃないんすよ」「美少女... 2021/08/23 Comment(18)
イノウーの憂鬱 (54) 職域接種 「そう」斉木室長はあっさり白状した。「さっきの一幕は、あらかじめ夏目さんと共謀したんだよ」「ですよね」マリは納得したように頷いた。「夏目さんがやけにものわかりがいいなと思ったら、やっぱりそういうことだ... 2021/08/16 Comment(11)
イノウーの憂鬱 (53) 花もて語れ 伊牟田では、ここからは俺のターンってことで。まず最初は何だっけな。外部サービスがあるって話でしたか。何でもかんでも外部サービスでまかなえるなんてのは、俺に言わせれば幻想でしかないですよ。Salesfo... 2021/08/10 Comment(13)
イノウーの憂鬱 (52) ディベート 夏目(微笑みながら)私はうちの会社に開発部門......具体的に言うならばシステム開発室は不要だと考えています。理由の一つは、社内の業務システムなど、クラウドサービスが多数存在している現在では、いくら... 2021/08/02 Comment(13)