今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

426.空前のIT技術者不足!?

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初回:2025/7/16

 ITエンジニアの求人倍率が10倍を超えているそうです。実感がありませんが。

P子「倍率が上がれば、それだけ給料も上がりそうなのにね」※1

 そんななか、アメリカではエンジニアも含めて人員募集が見送られたり、大規模なレイオフが行われたりと日本とは状況が異なっているようです。

P子「生成AIが実用的になってきたのかしら?」

 それについては、後で述べたいと思います。

1.「空前のIT技術者不足」は蜃気楼

 まずは、今回気になった記事について。

 ≪参考資料1≫
  https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00849/00162/
  「空前のIT技術者不足」は蜃気楼、人を無駄遣いした果ての結末は厳しいものに
  木村 岳史 日経クロステック/日経コンピュータ
  2025.07.10

 確かに、IT技術は、企業活動においては必須技術であり、それこそ業務の効率化を行うには絶対的に必要な技術なので、IT技術者が(それなりに)不足している状況というのは理解できます。ただ、今現在のIT技術者不足には裏があり『背景にSESベンダーによる争奪戦』が原因であるという主張です。

 これには納得というか、SESベンダーの場合、IT技術者が『使える/使えない』関係なく企業に貸し出せば利益が出ます。だめなら交換すればよいだけですし、とりあえず募集しまくって一人でも多くの技術者を抱えることができるかどうかが勝負所なので、求人倍率が10倍を超えているからと言って、給料が上がることとは別次元ということでしょう。

 この求人倍率と賃金が上昇しない話は、3年前には指摘されています。

 ≪参考資料2≫
  https://el.jibun.atmarkit.co.jp/yoshimasa/2022/06/it10253.html
  日本のITエンジニアの求人倍率が10倍になったけど、賃金はほかの国と比べるとまだ低い。その打開策を考える【第253回】
  2022/06/01
  『吉政忠志の考える。行動する。改善する。』

P子「日本の場合は、まだまだ年齢給の所が多いのかもね」

 能力が高いからと言って、一気に年収が上がるような制度もないですから。

 ましてや、SES技術者なら、それほどの高給は望めないでしょうし、本当に必要な技術者は、すでに企業側が確保済みというお話もある程度事実でしょう。

2.アメリカの事情

 一方、IT先進国のアメリカはどうかというと...

 ≪参考資料3≫
  https://hrclub.daijob.com/column/354897/
  アメリカにおける今年の大量解雇:日本では知られざる企業実情
  2024.03.26

 これが、1年半ほど前の話で『422.AIの色々な影響』で取り上げた、Salesforceのエンジニアの採用中止や、マイクロソフトの大量解雇など、従来とは異なる不況時のレイオフとは様相を異にしています。

 日本とは違い、すぐに解雇できるということを考慮したとしても、IT技術者は、人数ではなく質が求められているということでしょう。

P子「簡単な作業は、生成AIが代わりにやってくれるのかしら?」

 私もそう思っていたのですが、そもそも簡単な作業を毎回作ってるはずもなく、生成AIと人材不足解消は、あまり関係ないのではないかと最近思うようになってきました。

3.生成AIの実力

 コーディングアシストなり色々な作業をAIが代わりにやってくれるのですが、私はまだ、無償版の gemini と、Gemini CLI しか使っていませんが、それでもものすごく強力です。もう数年も経てば、本当に多くのエンジニアの作業を受け持つことになるでしょう。そうなると、SES的な仕事は、無くなるかもしれません。

 ところが、私の印象で言うと、AIの能力は非常に高いがゆえに、私の能力では作れないほどのコーディングを行います。ここで、私の希望と違う機能が作成された場合、多少の手を加えることになるのですが、理解できない高度なコードを作成するので、修正作業も大変です。多分、能力の低い技術では、修正作業はできないでしょう。

 つまり、AIで生成でいるプログラムは、100% AIで生成しないとダメということで、そんな方法で生成されたプログラムを保守するのも、相当高度なスキルを持つエンジニアか、AIでないと保守もできないということです。

P子「AIが生成するための仕様書の書き方が重要になるかもね」

 この、100%生成させるためには、生成AIが生成しやすいような仕様書を作成する必要があり、機能通りに生成するまで、何度も繰り返す必要があります。また、そうして生成されたプログラムに機能追加する場合も、機能追加用の仕様書を用意するなど、従来の人間相手の作業とは異なる方法で作業しないといけないと思います。

 30年ほど前の話になりますが、電気系CAD(アートワークCAD)で、自動配線機能というのがあり、80%とか、90%とか、自動で配線できるのですが、CADが90%配線してしまうと、どれほど人間が頑張っても配線できない配線になってしまいます。つまり、100%でない限り、自動配線は使えなかったということです。

P子「まあ、大昔の話よね」

 生成AIにより、コーディングが100%実現できるようになれば、...もしかすると、3年とか5年以内に...「空前のIT技術者過剰」という事態になるかもしれません。

4.まとめ

 今の技術者不足という話は、あまり真に受けないほうが良いのかもしれません。特に若い技術者が転職エージェント企業なりSESベンダーの募集広告なりに乗せられて、将来に希望を見つけようとしているなら、今一度冷静に検討してみる価値は十分になると思います。

 とはいうものの、ある程度の経験がないと、生成AIに指示もできないし、そもそも実行環境を整えることすらできないかもしれません。なので、将来的に生成AIによるコーディングが主流になるという前提で、修行に励むという選択肢はありかもしれません。

P子「生成AIが主流にならなくても、スキルは無駄にはならない物ね」

 ほな、さいなら

======= <<注釈>>=======

※1 P子「倍率が上がれば、それだけ給料も上がりそうなのにね」
 P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。

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