今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

438.論理的思考を定義しておく

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初回:2025/10/08

 今回は、あまり面白くないかもしれませんが、今後いくつかの話題を取り上げる際に必要になると思いますので『論理的思考』について定義づけしておこうと思います。

P子「『はい論破!』っていうやつ?」※1

 そういうのを『論理的思考』だと勘違いしている人たちがあまりにも多いのが気になるというのも、理由の一つかもしれません。

1.風が吹けば桶屋が儲かる

 皆さんご存じの『風が吹けば桶屋が儲かる』は論理的思考でしょうか?

P子「論理的といえば、論理的だと思うわ」

 私は、これは立派な『論理的思考』だと思っています。
 まず、ある話題に対して別の意見(それも論理的に正しい意見)を言って『はい論破!』でそれ以上、相手の意見を受け入れないという遊びです。

P子「あれは、遊びだったの?」

 あんなのは『論理的思考』ではありません。
 それに対しての対抗手段は『それってあなたの意見ですよね』というのがあり、そうなると議論は進まなくなります。
 私が考える『論理的思考』というのは、1段とか2段とかではなく、何段もの正しい意見を積み重ねた結果、たどり着くものだと思っています。

P子「正しい考えを積み重ねているなら、結果も正しいはずよね」

 そこが『論理的思考』の難しいところで、きっと皆さんも勘違いしているところだと思っています。

P子「その話が『風が吹けば...』につながるのね?」

 『風が吹けば桶屋が儲かる』を復習してみましょう。

 ≪参考資料1≫
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%8C%E5%90%B9%E3%81%91%E3%81%B0%E6%A1%B6%E5%B1%8B%E3%81%8C%E5%84%B2%E3%81%8B%E3%82%8B
 風が吹けば桶屋が儲かる
 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 1.風が吹くと土埃が立つ
 2.それが目に入り失明する者が増える
 3.失明した者が三味線弾きとなり三味線の需要が増える
 4.三味線製造のため猫が乱獲される
 5.猫が減るとネズミが増える
 6.ネズミが増えると桶などをかじってしまう。
 7.桶を買い換えるので、桶屋が儲かる

P子「ありえない話だけど、面白いわね」

 このお話は、論理的思考で組み立てられているのですが、ありえない結論になっています。これは論理的思考がダメなんじゃなくって、論理的思考の使い方を間違っているというだけの話です。

P子「どういうこと?」

2.階層的論理的思考法

 さて、先の話から、2つの重要事項が読み取れます。

 1つ目は、論理的思考は何段も積み重ねる必要がある。
 2つ目は、正しい理論を何段も積み上げた結果が、必ず正しいということはない。

P子「何か難しい話ね」

 簡単に言うと1段(たった一つ)の論理展開で『はい論破!』というのでは、それが正解かどうかわからない...『それってあなたの意見ですよね』ということになってしまいます。最も重要なのが、論理的思考で正しい結果を導くには、何段も積み重ねなければいけないということで、単に積み重ねるだけでは正解にはたどり着かないということです。

P子「正しい意見の積み上げが正しくないってこと?」

 先ほどの『風が吹けば桶屋が儲かる』は論理的に正しいのですが、確率論が加味されていません。

 1.風が吹くと土埃が立つ
  → 土埃が立つほどの風速や持続時間。道路状況、その中で外出する人の人数。
 2.それが目に入り失明する者が増える
  → 土埃が目に入り失明する確率と、医療技術の関係。最終的な人数
 3.失明した者が三味線弾きとなり三味線の需要が増える
  → 失明した者が三味線弾きになる確率や他の職業のサポート率。保険適用などの社会制度
 4.三味線製造のため猫が乱獲される
  → 三味線の増産具合や、猫皮以外(犬皮、カンガルー皮、合成皮)の割合
 5.猫が減るとネズミが増える
  → 猫がネズミを捕まえていた数と、ネズミが増えた場合の人工的な対策
 6.ネズミが増えると桶などをかじってしまう。
  → ネズミが桶をかじる割合と傷み具合(買い替えるほど傷んだか)
 7.桶を買い換えるので、桶屋が儲かる
  → 買い替え需要に対する桶屋の数。

 すべてが間違いではなくても、その論理展開の確率というものがあるため、積み重ねが論理的思考法だとすれば、当然最終的な結論の正しさも、それぞれの確率の掛け算になるということです。

 例えば、『風が吹けば女性首相が誕生する』なんて、正しい論理展開でしょ。

 1.風が吹けば、PM2.5や黄砂が増える
 2.部屋の窓を開けられないので空気清浄機の需要が増える
 3.空気清浄機メーカーの株価が上がる
 4.株式投資の需要が増えて、銀行、証券業者が儲かる
 5.そこに目を付けた政府が増税を検討する
 6.与党の横暴の結果、与党敗北、総理辞任に追い込まれる
 7.混迷を極めた結果、女性首相が誕生する。

P子「結果を見てから逆算してるだけでしょ」

3.まとめ

 今回のお話で重要なのは、

 ・論理的思考は何段も積み重ねる必要がある。
 ・正しい理論を何段も積み上げた結果が、必ず正しいということはない。

 ということです。

 さらにここから導き出されるのは、論理の発生確率も加味する必要があるということで、発生しうる事象も複数あるということです。

 つまり、ある出発点から論理的思考で積み上げて考える場合、1つではなくいくつもの『正解』を考慮し、それぞれから、さらに複数の可能性を考慮して検討していく必要があるということです。

P子「なにか、将棋で先読みしているみたいね」

 まさに、そういうことです。

 ある階層まで読み進んでいったとしても、さらに読み進めないと本当の正解は見えてこないということです。これは、数段の論理展開で間違っていそうな印象や感想を持ったとしても、さらに先まで読んでみないとそれが正解かどうかわからないということです。

P子「相手の意見が間違ってると考えて打ち切るんじゃなくって、さらに深く考える必要があるということね」

 そういうことです。

 ほな、さいなら

======= <<注釈>>=======

※1 P子「『はい論破!』っていうやつ?」
 P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。

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