飛田ショウマの憂鬱 (19) ドラマやマンガでは、登場人物が会社を辞めるとき、退職願や退職届、または辞表を上司に提出することになっている。黙って手渡す場合もあれば、痛快なセリフと共に叩きつけることもある。飛田はどの行動も取らなかっ... 2017/03/21 Comment(24) 飛田ショウマの憂鬱 (18) 「リストラ担当か」長谷部が面白そうな顔で飛田を見た。「どうしてそう思ったんだ?」「想像だ」「聞かせてみろよ。違ってたら笑ってやる」「何らかの理由で」飛田は考えをまとめながら言葉に変換していった。「うち... 2017/03/13 Comment(40) 飛田ショウマの憂鬱 (17) 返事を保留して会議室を出た飛田は、すぐに長谷部を探したが、すでに八十田建設に外出した後だった。このところ、長谷部はかつての首藤のように、新旧の顧客先に足繁く通っていて、席を温める時間が少なくなっている... 2017/03/06 Comment(39) 飛田ショウマの憂鬱 (16) 権力は腐敗する。政治や一流企業のトップなどの遠い世界で使われる言葉だと思っていたが、飛田は自分のすぐ近くで実例を見ることになった。飛田が、その実現性と実効性にそれほど期待していなかったMITSUHID... 2017/02/27 Comment(56) 飛田ショウマの憂鬱 (15) 「釈迦に説法だが」カナが言葉を切ったとき、飛田は指摘した。「光秀って、三日天下の奴だろ。不吉なネーミングだとは思わなかったのか」「不吉って」カナはクスリと笑った。「飛田ちゃんでもそういうこと気にするん... 2017/02/20 Comment(47) 飛田ショウマの憂鬱 (14) 昨今の企業のほとんどがそうであるように、シグマファクトリー株式会社にも情報漏洩対応マニュアルが存在する。情報を管理する社員なら、誰もが定年まで見ずに済ませたいシロモノだが、8月9日の午後、シグマファク... 2017/02/13 Comment(60) 飛田ショウマの憂鬱 (13) 4月が心浮き立つ月になるのか、暗然とした月になるのかは、立場や境遇によって異なる。新しい生活、出会い、花見といったありきたりの出来事でさえ、それぞれの事情によって明るい希望であったり、灰色の憂鬱であっ... 2017/02/06 Comment(93) 飛田ショウマの憂鬱 (12) 八十田建設プロジェクトのみなさまへ本日は、待ちに待ったプロジェクトの打ち上げです。楽しみですね!場所と時間は、以前にお知らせしていますが、みなさん、憶えていますか?うっかりさんのためにもう一度添付して... 2017/01/30 Comment(46) 飛田ショウマの憂鬱 (11) 翌週、システム開発課内には、季節の端境期の朝に似た、ぎこちない雰囲気が形成されていた。コートが必要になるのか邪魔になるのか迷うように、課の全員がどのような態度を取るのが正解なのか決めかねていたのだ。そ... 2017/01/23 Comment(54) 飛田ショウマの憂鬱 (10) 3月5日、10:45。ノンレム睡眠状態にあった飛田は、3月1日からの4日間で蓄積した疲労とストレスを分解している真っ最中だった。夢の中でもデバッグしているんじゃないんですか、と野見山などにからかわれる... 2017/01/16 Comment(17) 飛田ショウマの憂鬱 (9) 20XX年3月7日八十田建設株式会社総務部システム管理課石岡課長様株式会社シグマファクトリー情報システム営業部システム開発課首藤見積書管理システムシステム障害に関する報告書20XX年3月5日に、見積書... 2017/01/10 Comment(16) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (終) 12月24日。世間的にはクリスマスイブと呼ばれ、様々な楽しいイベントの口実となる日だ。今年は金曜日であり、多くの企業で給料日でもあるだろうから、経済効果も大きいだろう。アツコ自身は、今日は仕事を入れて... 2016/12/25 Comment(21) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (2) モニタールームのさらに奧は、広い窓と明るい照明のカフェテリアのような空間になっていた。ティーサーバーとスナックなどが置かれている。アツコと東海林を窓際の席に案内した佐藤は「よかったら自由に飲み食いして... 2016/12/24 Comment(4) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (1) 12月22日。そのビルは横浜駅西口から南西に800メートル足らずの場所にあった。3階建てでエレベータはない。雑居ビルという表現が最もふさわしい。ビルの外観は薄汚れていて、持ち主がメンテナンスに興味を持... 2016/12/23 Comment(6) 飛田ショウマの憂鬱 (8) 「それで」カナはグラスを片手に訊いた。「説明はあったの?」「ある意味ではあった」飛田は短く答えた。「どういうこと?」この件をうやむやにするな、と飛田が言った理由の半分は、想定外の作業を強いられることに... 2016/12/19 Comment(12) 飛田ショウマの憂鬱 (7) システム開発の様々な工程で、最も知力と体力を投入すべきフェーズはどこか。スキルや立場によって千差万別の答えが得られるだろうが、飛田個人としてはテスト仕様を考える部分だと思っている。どんなに高性能なエン... 2016/12/12 Comment(13) 飛田ショウマの憂鬱 (6) カナの暗躍によって、長谷部は八十田建設プロジェクトに集中できるようになった。飛田は自分と長谷部の双方のために安堵したが、それは長くは続かなかった。飛田もカナも、首藤課長の出世に対する執着心を低く見積も... 2016/12/05 Comment(7) 飛田ショウマの憂鬱 (5) 「そういうわけで」首藤課長はわざとらしく笑いながら告げた。「実装もうちでやることになりました。長谷部くんも努力してくれたんですが、どうにも条件で折り合わなかったのでね。まあ、よくある話です」八十田建設... 2016/11/28 Comment(13) 飛田ショウマの憂鬱 (4) 飛田がスターバックスに到着したのは、20:00の1分前だった。カナは入り口付近の席に座り、強張った顔でスマートフォンを見つめていたが、飛田の姿を目にすると小さく手を挙げて合図してきた。飛田は頷き、レジ... 2016/11/21 Comment(11) 飛田ショウマの憂鬱 (3) 秘密会談から一週間後、最初の問題が発生した。「どうして全滅なんだ」首藤課長は苛立ちを隠そうともしなかった。「そんなに条件が良くないかね」1日おきに行われることになったリーダー会議の席だった。首藤課長、... 2016/11/14 Comment(6) 前のページへ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次のページへ
飛田ショウマの憂鬱 (19) ドラマやマンガでは、登場人物が会社を辞めるとき、退職願や退職届、または辞表を上司に提出することになっている。黙って手渡す場合もあれば、痛快なセリフと共に叩きつけることもある。飛田はどの行動も取らなかっ... 2017/03/21 Comment(24)
飛田ショウマの憂鬱 (18) 「リストラ担当か」長谷部が面白そうな顔で飛田を見た。「どうしてそう思ったんだ?」「想像だ」「聞かせてみろよ。違ってたら笑ってやる」「何らかの理由で」飛田は考えをまとめながら言葉に変換していった。「うち... 2017/03/13 Comment(40)
飛田ショウマの憂鬱 (17) 返事を保留して会議室を出た飛田は、すぐに長谷部を探したが、すでに八十田建設に外出した後だった。このところ、長谷部はかつての首藤のように、新旧の顧客先に足繁く通っていて、席を温める時間が少なくなっている... 2017/03/06 Comment(39)
飛田ショウマの憂鬱 (16) 権力は腐敗する。政治や一流企業のトップなどの遠い世界で使われる言葉だと思っていたが、飛田は自分のすぐ近くで実例を見ることになった。飛田が、その実現性と実効性にそれほど期待していなかったMITSUHID... 2017/02/27 Comment(56)
飛田ショウマの憂鬱 (15) 「釈迦に説法だが」カナが言葉を切ったとき、飛田は指摘した。「光秀って、三日天下の奴だろ。不吉なネーミングだとは思わなかったのか」「不吉って」カナはクスリと笑った。「飛田ちゃんでもそういうこと気にするん... 2017/02/20 Comment(47)
飛田ショウマの憂鬱 (14) 昨今の企業のほとんどがそうであるように、シグマファクトリー株式会社にも情報漏洩対応マニュアルが存在する。情報を管理する社員なら、誰もが定年まで見ずに済ませたいシロモノだが、8月9日の午後、シグマファク... 2017/02/13 Comment(60)
飛田ショウマの憂鬱 (13) 4月が心浮き立つ月になるのか、暗然とした月になるのかは、立場や境遇によって異なる。新しい生活、出会い、花見といったありきたりの出来事でさえ、それぞれの事情によって明るい希望であったり、灰色の憂鬱であっ... 2017/02/06 Comment(93)
飛田ショウマの憂鬱 (12) 八十田建設プロジェクトのみなさまへ本日は、待ちに待ったプロジェクトの打ち上げです。楽しみですね!場所と時間は、以前にお知らせしていますが、みなさん、憶えていますか?うっかりさんのためにもう一度添付して... 2017/01/30 Comment(46)
飛田ショウマの憂鬱 (11) 翌週、システム開発課内には、季節の端境期の朝に似た、ぎこちない雰囲気が形成されていた。コートが必要になるのか邪魔になるのか迷うように、課の全員がどのような態度を取るのが正解なのか決めかねていたのだ。そ... 2017/01/23 Comment(54)
飛田ショウマの憂鬱 (10) 3月5日、10:45。ノンレム睡眠状態にあった飛田は、3月1日からの4日間で蓄積した疲労とストレスを分解している真っ最中だった。夢の中でもデバッグしているんじゃないんですか、と野見山などにからかわれる... 2017/01/16 Comment(17)
飛田ショウマの憂鬱 (9) 20XX年3月7日八十田建設株式会社総務部システム管理課石岡課長様株式会社シグマファクトリー情報システム営業部システム開発課首藤見積書管理システムシステム障害に関する報告書20XX年3月5日に、見積書... 2017/01/10 Comment(16)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (終) 12月24日。世間的にはクリスマスイブと呼ばれ、様々な楽しいイベントの口実となる日だ。今年は金曜日であり、多くの企業で給料日でもあるだろうから、経済効果も大きいだろう。アツコ自身は、今日は仕事を入れて... 2016/12/25 Comment(21)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (2) モニタールームのさらに奧は、広い窓と明るい照明のカフェテリアのような空間になっていた。ティーサーバーとスナックなどが置かれている。アツコと東海林を窓際の席に案内した佐藤は「よかったら自由に飲み食いして... 2016/12/24 Comment(4)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (1) 12月22日。そのビルは横浜駅西口から南西に800メートル足らずの場所にあった。3階建てでエレベータはない。雑居ビルという表現が最もふさわしい。ビルの外観は薄汚れていて、持ち主がメンテナンスに興味を持... 2016/12/23 Comment(6)
飛田ショウマの憂鬱 (8) 「それで」カナはグラスを片手に訊いた。「説明はあったの?」「ある意味ではあった」飛田は短く答えた。「どういうこと?」この件をうやむやにするな、と飛田が言った理由の半分は、想定外の作業を強いられることに... 2016/12/19 Comment(12)
飛田ショウマの憂鬱 (7) システム開発の様々な工程で、最も知力と体力を投入すべきフェーズはどこか。スキルや立場によって千差万別の答えが得られるだろうが、飛田個人としてはテスト仕様を考える部分だと思っている。どんなに高性能なエン... 2016/12/12 Comment(13)
飛田ショウマの憂鬱 (6) カナの暗躍によって、長谷部は八十田建設プロジェクトに集中できるようになった。飛田は自分と長谷部の双方のために安堵したが、それは長くは続かなかった。飛田もカナも、首藤課長の出世に対する執着心を低く見積も... 2016/12/05 Comment(7)
飛田ショウマの憂鬱 (5) 「そういうわけで」首藤課長はわざとらしく笑いながら告げた。「実装もうちでやることになりました。長谷部くんも努力してくれたんですが、どうにも条件で折り合わなかったのでね。まあ、よくある話です」八十田建設... 2016/11/28 Comment(13)
飛田ショウマの憂鬱 (4) 飛田がスターバックスに到着したのは、20:00の1分前だった。カナは入り口付近の席に座り、強張った顔でスマートフォンを見つめていたが、飛田の姿を目にすると小さく手を挙げて合図してきた。飛田は頷き、レジ... 2016/11/21 Comment(11)
飛田ショウマの憂鬱 (3) 秘密会談から一週間後、最初の問題が発生した。「どうして全滅なんだ」首藤課長は苛立ちを隠そうともしなかった。「そんなに条件が良くないかね」1日おきに行われることになったリーダー会議の席だった。首藤課長、... 2016/11/14 Comment(6)