ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

ハローサマー、グッドバイ(18) unreachable

»

 オペレーションMM の作戦行動計画によれば、ベースキャンプ設営第1 候補地点は、みなとみらい4 丁目にあるホームセンター、セキチュー横浜みなとみらい店だった。オペレーションMM に先立つ数週間前に、電動バイク数台が派遣され調査した結果を受けて決定したらしい。駐車場が大通りから見えない場所にありフェンスで囲まれていることや、2 階建てで屋上があり防衛に適していること、ホームセンターという店舗の特性上、拠点防衛に必要な資材などが入手しやすいことなどが理由だった。この地区には、他にも多くの商業施設があるが、面積が広く出入り口が多ければ、それだけZが潜伏している可能性も高いので不向きだった。

 「第2 候補はどこなんですか?」

 ぼくは島崎さんに訊いた。それは渡された作戦行動表には記述されていなかったのだ。

 「一応、横浜美術館になってるけどね。状況に応じて決めろってのが本音じゃないかな。結局、現地に行ってみないとわからないわけだからね。それより、通信の方はどう?」

 マーカー関連の機能に不具合が発生しなかったので、ぼくは基地との通信が途絶した問題を調べていたが、少しソースを追っただけで早くも絶望的な気分に陥っていた。

 「ちょっと時間がかかりそうです」ぼくは控えめな表現で答えた。「今日中ってわけには......」

 「ソースは全部手元にあるんだよね?ドローンのトラブルなんかは、パパッと解決してくれたじゃない」

 「あれとはちょっと違ってるんですよ」

 通信系はほとんど全てのサブシステムと密結合になっている。どこかを触ると他に影響がありそうで、どうしても慎重にならざるを得ない。特に小隊・分隊LAN への影響度が高い。港北基地との通信の回復と同時に隊員間のコミュニケーションが途絶えてしまったりしたら、ブラウンアイズがさぞかし怒り狂うことだろう。

 「そう」島崎さんは肩をすくめた。「まあ、ベースキャンプが設営されれば、衛星通信機が使えるから、基地との通信は回復するだろうからね」

 16 時5 分過ぎ。指揮車両はセキチュー手前の交差点で静かに停車した。視認できる範囲にはZの姿は見えない。ここに至る10 分前に、第2 分隊が600 メートルほど東の地点で本隊から離れ、ありあわせの金属類を派手に叩きながら移動していったため、周辺のZはそちらに引き寄せられていったのだ。それでも、建物の中には少なくない数のZが残留していると想定されるので、臼井大尉は第1 分隊を偵察に派遣した。

 「まず駐車場の安全を確保したら知らせろ。D 型を発見したら、交戦せずに速やかにCCV まで撤退。R型は拘束して一箇所にまとめておけ。第2 分隊、こちらに戻るのにどれぐらいかかる?」

 『予定していた道路が事故車両で塞がっているので、迂回しています。後、15 分ほどです』

 「了解。接近したら知らせろ。ああ」臼井大尉はボリスの顔を見ながら付け加えた。「20 体以上の群れを見つけたら、危険のない範囲でマーカーを打ち込んでおけ」

 『了解。すでにいくつか打ち込み済みです』

 セキチューには何度か来たことがあるが、駐車場はゲート式だったはずだ。こんな大型車両が進入できるんだろうか。その疑問を口にすると、島崎さんが答えてくれた。

 「確か、西側入り口のゲートを撤去してあるはずだけど」

 20 分後、谷少尉が連絡してきた。

 『駐車場をクリアにしました。予定通り、西側出入り口から入ってください』

 「サンキスト」

 「行きます」

 指揮車両は時速10 キロぐらいでのろのろと進んで、交差点を右折した。フェンスで囲まれた駐車場に沿って進むと、数十メートル先に西側出入り口が見える。サンキストは慎重にハンドルを切り返し、傾斜路になっている入り口に乗り入れた。カーゲートは撤去されたらしく、分解されたイエローの料金精算機と紅白のポールが近くに転がっている。

 建物の入り口付近に、ブラウンアイズが立っていた。その周辺には遺棄された自動車もない。サンキストはぐるりと車体を回すと、ブラウンアイズの誘導に従って指揮車両を停車させた。ドアを開けて1 メートル先が店内1階への入り口だ。

 指揮車両のドアが開き、ブラウンアイズが身体を半分入れ、小声で報告した。

 「分隊長たちは、店内の検索を開始しています。あたしも合流してよろしいですか?」

 「よし行け」臼井大尉は頷いた。「サンキスト、フライボーイ1 を出して、建物周辺を哨戒」

 そのとき、谷少尉の緊迫した声が聞こえた。

 『大尉、よろしいですか?』

 「何かいたか?」

 『第2 分隊との通信が途絶えました。そちらではどうですか?』

 「待て」臼井大尉の顔が緊張した。「グレイベア、聞こえるか?グレイベア」

 しばらくの間、沈黙が指揮車両内に満ちた。

 「確かに応答がないな」臼井大尉は振り向いた。「そっちでモニタできますか?」

 胡桃沢さんとボリスが、同時にコンソールに向かった。

 「第2 分隊の位置情報が消えています」胡桃沢さんが先に顔を上げた。「通信記録は2 分前で途絶えています」

 「なんだと。サンキスト、フライボーイ1 の命令を変更する。第2 分隊が最後に通信してきた地点へ急行させろ」

 「了解」

 小清水大佐は、谷少尉からの第一報を聞いたときからそわそわしていたが、とうとう耐えかねたように言った。

 「大尉、第2 分隊は、まさかZに遭遇して......」

 「それはないでしょう」臼井大尉はぴしゃりと答えた。「たとえ不意を突かれたとしても、何のメッセージも残さず全員がやられるとは考えにくいですから。おそらくシステム的なトラブルでしょうね」

 「そ、そうか」

 やれやれ、この人は何でこのオペレーションに参加してるんだか。そう思いながらドアの方を見ると、ブラウンアイズがまだそこにいて、ぼくを睨んでいた。ぼくと視線が合うと手招きされた。

 「?」

 「昨日、あたしが言ったこと憶えてるわよね」ブラウンアイズは低い声で言った。「ソリストをちゃんとメンテナンスしなさいよ。じゃないと、これから何日間か、大事なところを氷で冷やして過ごすことになるわよ」

 「伍長」臼井大尉が厳しい声で割り込んだ。「早く店内の検索に合流しろ」

 ブラウンアイズは踵を返して店内に飛び込んでいった。臼井大尉が苦笑しながらぼくを見たとき、サンキストが声を上げた。

 「第2 分隊との通信、回復しました」

 『こちら第2 分隊』と柿本少尉の声が聞こえた。『1 分ほど小隊LAN に接続できなかったようですが、何かありましたか?』

 「わからん。これから調査させる」臼井大尉はそう言いながら、ぼくに目で合図した。「今、どこだ?」

 『東側交差点の反対側、住宅展示場内で待機中です。状況がわからなかったので。これから合流します』

 「いや、少し待て。ビーン、聞いてたか?」

 『はい。こちらは1 階の検索をほぼ完了しました。8 体のZを拘束』

 「続けろ」臼井大尉は顔を上げた。「サンキスト、フライボーイ1 を戻せ。フライボーイ2 は出せるか?」

 「充電率70% ですが、出せます」

 「よし、Zが接近してくるとしたら早めに知りたい。フライボーイ1 は半径200 メートルの自動哨戒モード。フライボーイ2 はこのブロックを低空で飛ばして、Zの潜伏を検索だ。まず、南西方向からだ。問題なければ第2 分隊は交差点を渡って、西側の入り口から建物内に侵入しろ」

 『了解。合図を待ちます』

 ぼくは通信が途絶した原因を探るべく、しばらくの間ディレクトリ構造の間を彷徨った。通信ログは暗号化されている、とボリスは言ったが、通信内容そのものではなく、システムログなら平文で記録されているはずだと考えたからだ。でなければ、現場でのトラブルシュートなどできないだろう。

 システムログは、/var/log/soliste の下に出力されているが、どういうわけかエラー系のメッセージは別の場所にあるようだった。胡桃沢さんにも訊いてみたが、わからないという返事だったし、ボリスには「知るか」と言わんばかりにそっぽをむかれてしまった。島崎さんは、そもそも操作以上のことは知らない。仕方がないので、画面に出ているエラーメッセージで、全ファイルに対してgrep をかけるという原始的な手段をとり、ようやく発見したログは、/usr/local/soliste/log/core/sd004510/ の下にあった。通信ログは、tra001_g707 というファイルらしい。

 他に、tra001_g707-1、tra001_g707-2 というファイルがあるので、どうやらローテーションされているようだ。どんなサイクルでローテーションされているのか、すぐにはわからないので、とりあえずtra001_g707 をコピーした。

 少しログを遡ってみると、15 分ほど前から、"connect: Network is unreachable" のメッセージが出現していた。最初の数分は10~20 秒に1 回で、即座に"connected" が出ているから自動的に回復していたのだろう。その間隔が次第に短くなっていき、第2 分隊との通信が途絶した3 分18 秒前には、10ミ リ秒間隔になっていた。いずれも5~10 ミリ秒後には回復している。つまり、実際には通信は途切れたのではなく、切断と再接続を繰り返していたわけだ。

 問題なのは、これらのログレベルが、NOTICE に設定されていることだ。ソリストの監視システムは、WARN 以上の場合にのみオペレータにアラートを出すことになっているので、NOTICE ではログを確認しない限り判明しないのだ。設定を確認してもらおうと顔を上げたが、胡桃沢さんもボリスも、第2分隊がセキチューに進入する映像を食い入るように見ていたので後回しにすることにした。

 ログレベルより大きな問題は、そもそもこのエラーがなぜ発生したのかだ。同じディレクトリの下には、似たような名前のログファイルが、91 種類、289 個も存在している。一つ一つ参照していては日が暮れてしまう。ブラウンアイズがぼくの身体の一部分にレスリーサル弾を叩き込みたい衝動を育み、実行に移すには充分な時間だ。

 ぼくはEclipse に切り替え、新しいクラスを作成した。指定したディレクトリ内のテキストファイルを順次読み込み、特定の時間帯に発生しているログをピックアップするだけだ。ログのフォーマットが共通のようで助かった。

 早速実行してみると、通信ログに"connect: Network is unreachable" が出現した10 分ほど前から、平均して毎秒1.6GB のパケットを送受信していることがわかった。このデータをキューに蓄積しようとして、処理待ちになっていたらしい。要するに、よくあるバッファ・オーバーフローだ。キューの容量を増やせば解決するだろう。

 結果をメモすると、ぼくは臼井大尉に報告しようと立ち上がりかけたが、ふと妙なことに気付いた。

 パケットの受信?どこから?

 バンド隊員たちが装着しているソリストコントローラからか、とも考えたが、データ量が多すぎるし、数が少なすぎる。隊員たちからのフィードバックデータなら、圧縮された小さなデータが数多く発生するだろう。変動はあるにしても、ソリストが起動したのは出発してすぐだから、問題が発生するならもっと早く発覚していてもよさそうなものだ。

 ドローンからのリアルタイム映像だろうか。映像データはどうしてもサイズが大きくなるものだ。そう思って調べてみたが、どうやらドローンからの映像は、独立して確保された回線から受け取っているらしい。ドローン毎に用意されている回線だから、フライボーイ2 を出したことでストリームが倍になったことも関係はなさそうだ。

 他に可能性があるとしたら、港北基地などの外部からのデータ通信だが、通信が途絶している現状では考えにくい。

 「何かわかった?」島崎さんが訊いてきた。

 ぼくはとりあえず判明したことを話した。島崎さんも外部からのデータ通信でないことには同意してくれたが、それ以上のことはわからないと肩をすくめた。

 「ま、原因は帰ってからゆっくり調べるとして、とりあえず解決方法はあるんだろ?」

 「ええ、まあ」

 「じゃあ、まずそれをしたらどうかな」

 「そうですね」ぼくは胡桃沢さんを見た。「胡桃沢さん、ちょっといいですか?」

 モニタに見入っていた胡桃沢さんは、渋々といった態で席を立った。

 「なんだ」

 ぼくは簡単に経過を説明して、キュー容量の増やし方を訊いた。胡桃沢さんは少し考えてから「俺がやる」と言って戻っていった。

 『第2 分隊、入りました』

 「ビーン、店内検索はどうだ?」

 『ほぼ完了しました。現在、ダブルチェック中』

 「順調だな。スクレイパーとレインバードは屋上駐車場に上がって、周辺を警戒。スクレイパーは特に西側の地上駐車場を見張れ。俺たちも、これから建物内に入るから、万が一の時は援護を頼む」

 『了解』『了解』

 「さて我々も店内に入ることにしよう」臼井大尉は窓から外を見た。「近くにZはいない」

 「どっちかの分隊に援護させた方がいいのではないかね」

 不安そうな顔の小清水大佐が、提案というより懇願するような顔で言ったが、臼井大尉は笑って拒否した。

 「どちらの分隊にもなすべき役割があります。外すことはできませんね。心配はいりませんよ。我々にはソリストという強力な環境がありますから。では準備を。5 分で出ます」

 ぼくたちは降車の準備を始めた。準備といっても、ぼくの場合はデバッグ用のノートPC を畳んで抱えるだけだ。

 「ここは無人になるんですか?」ぼくは島崎さんに訊いた。

 「そう聞いてるね。ソリスト関係の全ての機器は、Wi-Fi 経由でも同じように使えるから人がいる必要はないよ」

 「バッテリー、持つんですか」

 「持つと思うよ」島崎さんは自信なさそうな顔だった。「たぶんね。想定通りに走ってれば、オペレーションが終わるまでぐらいは充分持つはずなんだけど。天気もいいから、充電効率もよさそうだし」

 そう言った島崎さんは、タブレットを持っているだけ。朝松監視員と小清水大佐は手ぶらだった。ボリスはタブレットを2 台持っている他に、デイパックを下げている。

 「スクレイパー、レインバード」臼井大尉が呼びかけた。「いいか?」

 『どうぞ』レインバードの声が応答した。『周辺近距離にZは視認できません』

 「よし。準備できた人から店内へ移動開始だ」

 ぼくたちは足早に店内に入っていった。1階のガラスはひどく汚れてはいたが、ほとんど割れていなかった。おそらく強化ガラスなのだろう。ぼくは少し安心して、薄暗い店内に足を踏み入れた。

 店内はひどく荒らされていた。ヨコハマ撤退以来、生きた人間が来店したことはないだろうと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。取り残された市民が持っていったのか、非常食などがあったはずの棚には何も残っていなかった。逆に園芸用品、工具類、木材など、人間の生存に必須ではない商品は、比較的手つかずで残っている。道路に面した窓側に、バンド隊員が2 人いて外を警戒しているのが見えた。

 「ビーン、グレイベア。これから上に上がる」

 臼井大尉に先導されて、ぼくたちは停止したスロープで2階に昇った。2 階は窓がほとんどないせいで、かなり暗かったが、先行したバンド隊員が設置したらしいLED ランタンが数カ所で光っていたので、歩行には支障がなかった。数人のバンド隊員が迅速に、しかし極力音を立てないように店舗内をチェックしている。ぼくたちが上がっていくと、全員が一斉に振り向いたが、すぐに自分たちの作業に戻った。

 「そっちの寝具売り場へ」臼井大尉は指さした。「ソリストのチェックをしてくれ。予備バッテリーと残りのモニタ類はサンキストがすぐに運んでくる。ブラウンアイズ、来い」

 店内の反対側のペットコーナーから、ブラウンアイズが走ってきて、ぼくたちの方をじろりと見ながら訊いた。

 「何でしょうか」

 「ここで、お客様方をガードしろ」

 「店内の検索は終わってますが......」

 「万が一ということがある。お前と違って、こちらは身を守る術がないからな。俺はCCV に戻ってサンキストを手伝う」

 「なら、あたしが戻って......」

 「ダメだ」臼井大尉はホルスターからハンドガンを抜いて装弾をチェックしながら言った。「指揮者権限でないと外せない機器もあるからな。ビーン、聞こえたな」

 『はい。ブラウンアイズ、お前はそこで待機だ』

 『了解』

 ブラウンアイズは短く応答すると、階段脇の壁に背中を預けた。右手でUTS-15J を握っている。一見リラックスしているようだが、周囲をゆっくり見回す顔は緊張していた。それを見届けた臼井大尉は、早足でスロープを降りていった。

 「暑いな、ここは」そうつぶやいたのは小清水大佐だった。「おい、君、扇風機か何かないのか」

 「申しわけありません、大佐」ブラウンアイズは振り向きもしなかった。「言うまでもなく店内は停電しておりますので」

 「電池で動く小型扇風機とかあるだろう?それともUSB給電のやつとか」

 ぼくは少し呆れて、小清水大佐を横目で見た。確かにひどく蒸し暑いが、直射日光が照りつける屋外に比べれば天国のようなものだ。それに、支給されたインナーのおかげで、汗で服がベトつくようなこともない。もっと年輩に見える朝松監視員の方が、よほど自制心があるのか、不快そうな顔ひとつ見せていないというのに。

 「申しわけありません、大佐殿」ブラウンアイズは繰り返した。「ここを離れるわけにはいきませんので。もちろん、他の方々もここを離れないでください」

 「しかし、この暑さではなあ」小清水大佐はしつこく言った。「何とかしたまえ」

 ブラウンアイズはうんざりした顔で周囲を見回すと、近くの商品棚に走っていき、すぐに戻って来た。

 「よろしければこれをどうぞ」

 小清水大佐が手渡されたのは、販促品らしいウチワだった。数年前に朝ドラのヒロインを演じた女優の笑顔が印刷されている。小清水大佐はブラウンアイズを睨んだが、何もないよりマシだと思ったのか、ウチワをひったくるように受け取ると、バタバタとうるさく扇ぎ始めた。ブラウンアイズは無表情のままで、ぼくたちにも1 本ずつウチワを配ってくれた。

 島崎さんが軽く身を寄せてきた。

 「Wi-Fi はどう?CCV のサーバに繋がるかな」

 「あ、はい、すいません」ぼくはノートPC を開いた。「信号強度が1 本下がってますけど、通信には問題ないようです。ちなみに、どれぐらいの距離で使えるんでしょう」

 「見通し距離で200 メートル......」島崎さんはウチワで顔を扇ぎながら答えた。「......ぐらいのはず。条件がよければ、250 メートルぐらいかな。ソリスト端末を中継器として使えるから、配置によってはもっと延ばせるけどね」

 「市販品なら完全に電波法違反のレベルですね」

 サンキストがスロープを早足で上ってきた。両手にスイッチングハブぐらいの大きさの機器を7、8 個と、1 メートル四方のソーラーパネルを4 枚ほど抱えている。

 「ここに置くよ」

 「手伝おうか?」踵を返したサンキストに、ブラウンアイズが訊いた。

 「いらねえよ。ここを離れるな」

 そのとき、外で激しい爆発音が響いた。2 人のバンド隊員は、素早くUTS-15J を構えた。

 「な、なんだ、なんだ!」小清水大佐が狼狽した声で叫んだ。「どうしたんだ」

 屋上駐車場に続く階段の脇に窓がある。ぼくたちは駆け寄って外を見た。黒煙と炎が目に飛び込んでくる。燃えているのは指揮車両だった。

(続)

Comment(15)

コメント

行き倒れ

ええええええええええ!

衝撃の展開w
元の会社に戻れない主人公の運命は如何に?

楽しい読み物

通信量が増えたのはマーカーからデータが来てるのかな?
ソリストの主目的はZをコントロールすることだったりするのかな。
この先の展開が楽しみです。

あまのじゃく

「検索」じゃなくて「探索」じゃないのか?
と、思ったりするんですけど、やっぱり「検索」であってるんでしょうか。

hage

不具合多数で爆発、炎上、、、良くあることですね
次は火消しが登場しますよっと

みあ

食料や弾丸などの装備がどれくらい残っているかだな。
距離的には防衛線まで歩いてでも帰れそうな感じではあるが。

たぶん

音に反応したDZが火消しの為
颯爽と登場するんですね

火消しと言うか隠滅?w

Consoto

臼井大尉は・・・

taco

ま・じ・か
陰謀確定ですな。
さて仮面をかぶっているのは誰だろう・・・

ハローきんいろモザイク

Zが意図的に車両爆破なんてできないでしょうから
やはり、内部の者の仕業なんでしょうか

3s

動かない新規システム大規模店舗に已む無く籠城渦巻く陰謀車は炎上

B級映画好きにはたまらんですな

レモンT

おそらく爆破犯人はホームセンター侵入前に指揮者に乗っていた誰か、というか作者さんのハンドルの元ネタ知ってると露骨に怪しいのが一人いますよねぇ(苦笑)。

Anubis

これが本当の

炎・上・案・件!

えの

比ゆ的なものならともかく、物理的な爆発炎上はなかなか経験できませんねw

p

ゾンビが出てきて銃ぶっぱしてハッカーがカタカタやって車がバーンする
いいですねえ、好きです

みなとみらい

セキチュー無くなっちゃいましたね

コメントを投稿する