飛田ショウマの憂鬱 (9) 20XX年3月7日八十田建設株式会社総務部システム管理課石岡課長様株式会社シグマファクトリー情報システム営業部システム開発課首藤見積書管理システムシステム障害に関する報告書20XX年3月5日に、見積書... 2017/01/10 Comment(16) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (終) 12月24日。世間的にはクリスマスイブと呼ばれ、様々な楽しいイベントの口実となる日だ。今年は金曜日であり、多くの企業で給料日でもあるだろうから、経済効果も大きいだろう。アツコ自身は、今日は仕事を入れて... 2016/12/25 Comment(21) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (2) モニタールームのさらに奧は、広い窓と明るい照明のカフェテリアのような空間になっていた。ティーサーバーとスナックなどが置かれている。アツコと東海林を窓際の席に案内した佐藤は「よかったら自由に飲み食いして... 2016/12/24 Comment(4) 星野アツコのプログラミングなクリスマス (1) 12月22日。そのビルは横浜駅西口から南西に800メートル足らずの場所にあった。3階建てでエレベータはない。雑居ビルという表現が最もふさわしい。ビルの外観は薄汚れていて、持ち主がメンテナンスに興味を持... 2016/12/23 Comment(6) 飛田ショウマの憂鬱 (8) 「それで」カナはグラスを片手に訊いた。「説明はあったの?」「ある意味ではあった」飛田は短く答えた。「どういうこと?」この件をうやむやにするな、と飛田が言った理由の半分は、想定外の作業を強いられることに... 2016/12/19 Comment(12) 飛田ショウマの憂鬱 (7) システム開発の様々な工程で、最も知力と体力を投入すべきフェーズはどこか。スキルや立場によって千差万別の答えが得られるだろうが、飛田個人としてはテスト仕様を考える部分だと思っている。どんなに高性能なエン... 2016/12/12 Comment(14) 飛田ショウマの憂鬱 (6) カナの暗躍によって、長谷部は八十田建設プロジェクトに集中できるようになった。飛田は自分と長谷部の双方のために安堵したが、それは長くは続かなかった。飛田もカナも、首藤課長の出世に対する執着心を低く見積も... 2016/12/05 Comment(7) 飛田ショウマの憂鬱 (5) 「そういうわけで」首藤課長はわざとらしく笑いながら告げた。「実装もうちでやることになりました。長谷部くんも努力してくれたんですが、どうにも条件で折り合わなかったのでね。まあ、よくある話です」八十田建設... 2016/11/28 Comment(13) 飛田ショウマの憂鬱 (4) 飛田がスターバックスに到着したのは、20:00の1分前だった。カナは入り口付近の席に座り、強張った顔でスマートフォンを見つめていたが、飛田の姿を目にすると小さく手を挙げて合図してきた。飛田は頷き、レジ... 2016/11/21 Comment(11) 飛田ショウマの憂鬱 (3) 秘密会談から一週間後、最初の問題が発生した。「どうして全滅なんだ」首藤課長は苛立ちを隠そうともしなかった。「そんなに条件が良くないかね」1日おきに行われることになったリーダー会議の席だった。首藤課長、... 2016/11/14 Comment(6) 飛田ショウマの憂鬱 (2) 以前に、誰かが首藤課長のことを「出世主義者で権威主義者、なおかつ原理主義者」と評していたのを耳にした飛田は、言い得て妙だ、と納得したものだった。出世主義については、周囲の評だけではなく、本人が公言して... 2016/11/07 Comment(6) 飛田ショウマの憂鬱 (1) 「おい、飛田」飛田ショウマは足を止め、首だけ振り向いた。同期の長谷部ケンタが小走りに近づいてくる。「来週から同じ課だな」「ああ」飛田は歩行を再開した。長谷部が並んで歩きながら語を継ぐ。「よろしく頼むぜ... 2016/10/31 Comment(11) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(終) 葉桜と薫風の季節が駆け足で過ぎ去り、自動販売機からホットドリンクがなくなった頃、その情報はもたらされた。『あいつら、今度はお隣の国でやらかしたみたいです』キサラギの連絡によれば、ソウル市ミョンドンにあ... 2016/05/09 Comment(6) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(7) ユカリは早足で通路を進んでいた。手には、館脇センター長の上着から拝借したIDカードが握られている。それが習慣なのか、IDカードの裏面には、木原SVのそれのように、テプラで出力した7桁の暗証番号が貼って... 2016/05/02 Comment(8) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(6) そのウワサを私が耳にしたのは、もう10年以上前になる。当時、今では死語となったWeb2.0という概念が流行っていて、雨後の筍のように各地で講習会やカンファレンスが開催されていた。そんな1つから招待状が... 2016/04/25 Comment(7) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(5) ボスからの連絡がない。ユカリはモニタを見つめながら、何時間も沈黙しているイヤピースに触れた。これまでは、軽く指で弾けば何かの応答があった。それが無機質な電子音1つだったとしても、見守ってくれていると知... 2016/04/18 Comment(7) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(4) キサラギからの連絡がない。私は不安な思いでSkypeのアイコンを見つめた。ナツメシステムの株主に関する調査を依頼したのは2週間前だ。私がそれほど急いでいない、と告げたのを真に受けたのか、最初の報告があ... 2016/04/11 Comment(10) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(3) ユカリが差し込んだUSBデバイスは、USBポートに挿入すると、2ミリメートルほどの厚みのプラスティック片が付いているようにしか見えなかった。元々が備品室だったせいか、モニタルームの照明は、人間が快適に... 2016/04/04 Comment(3) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(2) 横浜市西区に本社を置くダンデライオンコンタクトサービス株式会社、通称、DLコンタクトから、何人かの仲介人を通して私に連絡があったのは、2週間前のことだった。「私」というのは、本名の高村ミスズではなく、... 2016/03/28 Comment(6) 高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(1) 「本日の業務伝達事項は以上です」木原SVは事務的な笑みとともに告げた。「最後になりましたが、先週連絡した通り、本日よりオペレータが1名加わります。前園さんです。みなさん、仲良くしてあげてください。では... 2016/03/22 Comment(5) 前のページへ 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 次のページへ SpecialPR
飛田ショウマの憂鬱 (9) 20XX年3月7日八十田建設株式会社総務部システム管理課石岡課長様株式会社シグマファクトリー情報システム営業部システム開発課首藤見積書管理システムシステム障害に関する報告書20XX年3月5日に、見積書... 2017/01/10 Comment(16)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (終) 12月24日。世間的にはクリスマスイブと呼ばれ、様々な楽しいイベントの口実となる日だ。今年は金曜日であり、多くの企業で給料日でもあるだろうから、経済効果も大きいだろう。アツコ自身は、今日は仕事を入れて... 2016/12/25 Comment(21)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (2) モニタールームのさらに奧は、広い窓と明るい照明のカフェテリアのような空間になっていた。ティーサーバーとスナックなどが置かれている。アツコと東海林を窓際の席に案内した佐藤は「よかったら自由に飲み食いして... 2016/12/24 Comment(4)
星野アツコのプログラミングなクリスマス (1) 12月22日。そのビルは横浜駅西口から南西に800メートル足らずの場所にあった。3階建てでエレベータはない。雑居ビルという表現が最もふさわしい。ビルの外観は薄汚れていて、持ち主がメンテナンスに興味を持... 2016/12/23 Comment(6)
飛田ショウマの憂鬱 (8) 「それで」カナはグラスを片手に訊いた。「説明はあったの?」「ある意味ではあった」飛田は短く答えた。「どういうこと?」この件をうやむやにするな、と飛田が言った理由の半分は、想定外の作業を強いられることに... 2016/12/19 Comment(12)
飛田ショウマの憂鬱 (7) システム開発の様々な工程で、最も知力と体力を投入すべきフェーズはどこか。スキルや立場によって千差万別の答えが得られるだろうが、飛田個人としてはテスト仕様を考える部分だと思っている。どんなに高性能なエン... 2016/12/12 Comment(14)
飛田ショウマの憂鬱 (6) カナの暗躍によって、長谷部は八十田建設プロジェクトに集中できるようになった。飛田は自分と長谷部の双方のために安堵したが、それは長くは続かなかった。飛田もカナも、首藤課長の出世に対する執着心を低く見積も... 2016/12/05 Comment(7)
飛田ショウマの憂鬱 (5) 「そういうわけで」首藤課長はわざとらしく笑いながら告げた。「実装もうちでやることになりました。長谷部くんも努力してくれたんですが、どうにも条件で折り合わなかったのでね。まあ、よくある話です」八十田建設... 2016/11/28 Comment(13)
飛田ショウマの憂鬱 (4) 飛田がスターバックスに到着したのは、20:00の1分前だった。カナは入り口付近の席に座り、強張った顔でスマートフォンを見つめていたが、飛田の姿を目にすると小さく手を挙げて合図してきた。飛田は頷き、レジ... 2016/11/21 Comment(11)
飛田ショウマの憂鬱 (3) 秘密会談から一週間後、最初の問題が発生した。「どうして全滅なんだ」首藤課長は苛立ちを隠そうともしなかった。「そんなに条件が良くないかね」1日おきに行われることになったリーダー会議の席だった。首藤課長、... 2016/11/14 Comment(6)
飛田ショウマの憂鬱 (2) 以前に、誰かが首藤課長のことを「出世主義者で権威主義者、なおかつ原理主義者」と評していたのを耳にした飛田は、言い得て妙だ、と納得したものだった。出世主義については、周囲の評だけではなく、本人が公言して... 2016/11/07 Comment(6)
飛田ショウマの憂鬱 (1) 「おい、飛田」飛田ショウマは足を止め、首だけ振り向いた。同期の長谷部ケンタが小走りに近づいてくる。「来週から同じ課だな」「ああ」飛田は歩行を再開した。長谷部が並んで歩きながら語を継ぐ。「よろしく頼むぜ... 2016/10/31 Comment(11)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(終) 葉桜と薫風の季節が駆け足で過ぎ去り、自動販売機からホットドリンクがなくなった頃、その情報はもたらされた。『あいつら、今度はお隣の国でやらかしたみたいです』キサラギの連絡によれば、ソウル市ミョンドンにあ... 2016/05/09 Comment(6)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(7) ユカリは早足で通路を進んでいた。手には、館脇センター長の上着から拝借したIDカードが握られている。それが習慣なのか、IDカードの裏面には、木原SVのそれのように、テプラで出力した7桁の暗証番号が貼って... 2016/05/02 Comment(8)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(6) そのウワサを私が耳にしたのは、もう10年以上前になる。当時、今では死語となったWeb2.0という概念が流行っていて、雨後の筍のように各地で講習会やカンファレンスが開催されていた。そんな1つから招待状が... 2016/04/25 Comment(7)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(5) ボスからの連絡がない。ユカリはモニタを見つめながら、何時間も沈黙しているイヤピースに触れた。これまでは、軽く指で弾けば何かの応答があった。それが無機質な電子音1つだったとしても、見守ってくれていると知... 2016/04/18 Comment(7)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(4) キサラギからの連絡がない。私は不安な思いでSkypeのアイコンを見つめた。ナツメシステムの株主に関する調査を依頼したのは2週間前だ。私がそれほど急いでいない、と告げたのを真に受けたのか、最初の報告があ... 2016/04/11 Comment(10)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(3) ユカリが差し込んだUSBデバイスは、USBポートに挿入すると、2ミリメートルほどの厚みのプラスティック片が付いているようにしか見えなかった。元々が備品室だったせいか、モニタルームの照明は、人間が快適に... 2016/04/04 Comment(3)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(2) 横浜市西区に本社を置くダンデライオンコンタクトサービス株式会社、通称、DLコンタクトから、何人かの仲介人を通して私に連絡があったのは、2週間前のことだった。「私」というのは、本名の高村ミスズではなく、... 2016/03/28 Comment(6)
高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(1) 「本日の業務伝達事項は以上です」木原SVは事務的な笑みとともに告げた。「最後になりましたが、先週連絡した通り、本日よりオペレータが1名加わります。前園さんです。みなさん、仲良くしてあげてください。では... 2016/03/22 Comment(5)