ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

飛田ショウマの憂鬱 (15)

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 「釈迦に説法だが」カナが言葉を切ったとき、飛田は指摘した。「光秀って、三日天下の奴だろ。不吉なネーミングだとは思わなかったのか」

 「不吉って」カナはクスリと笑った。「飛田ちゃんでもそういうこと気にするんだ。ひょっとして、お正月はちゃんと初詣に行く人?」

 「毎年欠かさず行くが何か?」

 「へー、こりゃまた意外な。バグが出ませんように、とかお祈りしてるの?」

 「お祈りしてバグが出なくなるなら苦労しないな。それは神頼みするようなことじゃないだろう」

 「信心深いようには見えないし、運を天に任せるタイプじゃないよね」

 「システム開発は人間がベストを尽くすことで達成する仕事だが、自力ではどうにもならないシチュエーションも少なからずある。使い慣れたフレームワークがEOL になるとか、仕様に詳しいプログラマが入院するとかな」

 「そういう不測の事態が起きませんように、ってこと?」

 「不測の事態が起きたときに、初詣に行っときゃ起きなかったのかも、と後悔しないためだ。不安要素を可能な限り潰しておくのはシステム開発じゃ常套手段だろ」

 「ネーミングもその一つ?」

 「クラスやメソッドのネーミングは重要だ」

 「だって首藤課長パージ計画なんて社内で口にするわけにはいかないし。他にもキングスレイヤー作戦とか、ブルータスお前もかオペレーションとか、プロジェクト・ユダとか、いろいろ考えたんだけど。うっかり誰かに聞かれたら邪推されるでしょ。MITSUHIDE なら、誰かに聞かれたとしても、歴史ヲタ女が何か言ってるぜ、ですむからね。あたしとしては、松永弾正がよかったんだけど、長谷部ちゃんが......」

 「ネーミングの経緯はそれぐらいでいい」飛田はカナの長広舌を遮った。「MITSUHIDE プランとやらの詳細を話せ」

 カナは頷くとトートバッグから、iPad を取り出した。ケースの背面には、真紅の鎧兜に身を固めた美男子キャラの大きなシールが貼られている。

 「最終目標は首藤課長をソリューション事業部から追い出すことよ」カナはiPad の上で指を動かしながら言った。「あの人を開発業務に関わらせるべきじゃない、ってのが、長谷部ちゃんとあたしで出した結論。別に会社を辞めさせるってわけじゃないよ。普通の管理職として無能だと思わないから。でも、あの人はシステム開発課を、自分の出世の踏み台にしか思ってないでしょ。自分にとって居心地のいい場所にテラフォーミングしようとして、結果的に飛田ちゃんみたいな優秀なプログラマをスポイルしちゃってる。長谷部ちゃんを巻き込んでね。いい迷惑よ、全く」

 「追い出すといっても」飛田は首を傾げた。「首藤課長は上のウケはいい、ってお前が言ってたんだぞ。課長自身が望まない限り、異動にはならないだろう。どうやってやるんだ」

 「相談というのは、そこよ」カナは上目遣いに飛田を見た。「飛田ちゃんにも参加して欲しいのよ。MITSUHIDE プランに」

 飛田は無言でカナを見返した。カナはフッと唇だけで笑うと、iPad に視線を戻した。

 「順を追って説明するとね、まず......」

 MITSUHIDE プランの第1 段階、AZUCHI プロセスでは、長谷部が飛田を冷遇することで、首藤課長に賛同しているように見せかける。

 「見せかけてたのか?」

 「うん、まあ、正直に言っちゃうと、ホントに飛田ちゃんの頑固さにムカついてたこともあったみたいなんだけどね。長谷部ちゃんはそういうことを根に持つ方じゃないから、関係を修復しようと思ったんだけど、あたしが止めたのよ。そのまま冷淡な態度をキープしとけばって」

 「どうしてだ」

 「飛田ちゃんが疎外されてる、と思わせておいた方が都合がいいからよ。開発課のみんなにも、飛田ちゃん自身にもね」

 「長谷部の評判が落ちるだけじゃないのか?」

 「それを防ぐために、長谷部ちゃんは開発課の人たちとのコミュニケーション時間を増やしたのよ。飛田ちゃんが怒ったっていう、仕事中の雑談よ」

 「あれか」

 「あれには2 つの理由があったの。1 つは長谷部ちゃん自身の人脈作り。もう1 つは首藤課長に対するアピール。ああいうことを飛田ちゃんが嫌うって知ってるからね」

 首藤課長は長谷部の行動を見て、忠臣を1 人ゲットした、と思い込んだはずだ、とカナは笑いながら言った。

 並行して長谷部が進めていたのが、ATAGOHYAKUIN プロセスである。これは、首藤課長を追い込むことになる施策が実行されるように、長谷部がさりげなく背中を押すことだった。

 「実装を外注化するというあれか」

 「会社の方針でもあるんだけどね」カナは小さく溜息をついた。「開発業務がコストばかりかかって大した利益を生んでないのは事実だから。でも、すぐに全部外注にするってのは無理があるじゃん。飛田ちゃん、今年度と来年度の各部門の事業計画見たことある?」

 「いや」

 「たまには見るといいわよ。面白いから。会社としては3 年計画で、少しずつ上流工程を主業務にできるように、社員の教育や採用計画なんかを進めていく予定なの。でも首藤課長は、時計の針を強引に進めようとしてるでしょ。たとえば、飛田ちゃんが4 月から受講させられてた研修とか」

 「長谷部の発案だったのか?」

 「直接的に何かを言ったわけじゃないの。打ち合わせとかしてるときに、スピード感ないですねえ、とか、課長なら行動力あるからもっと加速できるんじゃないですかねえ、とか囁いたわけ。あと、意識高い系の人のブログなんかを見せたりね。<私が収益を1 年で4 倍にできた理由>とかその手のやつ。あたしも首藤課長が好みそうなサイトとか、いろいろ探したのよ」

 長谷部のさりげない誘導によって、首藤課長はシステム開発課の予算枠で研修を計画した。

 「内容を考えたのは長谷部なんだろ? すぐには役に立たないとは思うが、それなりに各自の適性にマッチした内容だったぞ」

 「そりゃそうよ。全く見当違いの研修だったら、長谷部ちゃんの評価に関わってくるでしょ。受講させられた人たちからの評判も悪くなるだろうし。長谷部ちゃんは、命じられた以上は、最善を尽くした、ってポジションになるのよ」

 もう 1つ、長谷部が首藤課長を誘導したことがあった。飛田への嫌がらせだった。

 「ああいう研修、飛田ちゃんは嫌いでしょ?」

 「確かに好きではないな」答えた飛田は、あることに思い至って顔を上げた。「もしかして、打ち上げのときの抽選プログラム、あれもか」

 カナは嬉しそうに頷いた。

 「当たり。笑えるぐらい簡単だったって言ってたわよ。もうすぐ打ち上げですねえ、そうそう抽選会プログラムを作らせようかと思ってるんですよ、ああいうのって実装する奴の意向が反映されたりしないんですかねえ、って言っただけで、首藤課長は、飛田ちゃんたちを最下位にする、って仕様を思いついたみたい。ホントに嫌われてるのねえ」

 自分への好悪の評価は無視して、飛田は疑問をぶつけた。

 「よくわからないんだが、首藤課長にそういう行動を取らせることが、どうしてパージにつながるんだ? 首藤課長が誰かを嫌うのは自由だろう」

 「それが業務に影響するとしたら話は別でしょ」

 「どう影響する?」

 「協力会社への業務委託を急いだこととかね」カナはアイスコーヒーを飲みながら言った。「ろくに選定もせずに金額だけで決めて」

 「まさか、先週のトラブルって......」

 カナはグラスを置くと首を横に振った。

 「あれは別にあたしたちが仕組んだわけじゃないよ。ただ、遅かれ早かれ、ああいうことが起こるんじゃないかとは思ってたし、長谷部ちゃんも積極的に反対しなかったんだけどね」

 「未必の故意と言うんじゃないのか、そういうのは」

 「トラブルが起きるのを知ってて放置してたらね。あんなトラブルなんて予測できるはずがないじゃない。それに長谷部ちゃんは、何かをするとき、必ずこれは首藤課長の命令だから、って言うようにしてたはず。自分は首藤課長の命令に従っていただけだ、ってわけ」

 飛田は長谷部のいくつかの言動を思い出して頷いた。

 「9 日のトラブルは」カナは続けた。「首藤課長が事情を聞かれることになるのよね。清水ちゃんと一緒に」

 「そう聞いてる。22 日の月曜日だ」

 AFA のトラブルと、アットフォース社の選定過程に対する調査委員会が社内で開かれることになっていた。情報管理セキュリティ委員会の主導だが、役員や、社外取締役、セキュリティ関連会社のコンサルタントなども参加する予定だ。もちろん、飛田も長谷部も出席を請われてはいない。

 「実質的な損害は何も出ていないから、けん責程度で済むんじゃないのか」飛田は肩をすくめた。「こういうときこそ、首藤課長も人脈を生かして根回しするだろうしな」

 「そう思うわよね。でも、そこで最終プロセスを発動させるの。ずっといいタイミングを待ってたのよ」

 「トラブルが起こるのを待ってたのか」

 「そういうこと。予想よりずっと早かったわ」

 最終段階であるHONNOUJI プロセスでは、調査が行われるタイミングで、首藤課長のこれまでの数々の悪事が発覚することになっている。

 「八十田建設案件だけに限っても、開発経験のない長谷部ちゃんをリーダーにして混乱を招いたとか、要件定義フェーズでの重大な仕様洩れを隠してたとか、トラブルの原因について篠崎さんに責任を押しつけたとか、長谷部ちゃんに過大な責任を押しつけたとか、いろいろあるよね」

 「よく知ってるな」

 「長谷部ちゃんから話は聞いてるし、社内でもウワサになってるからね。女子会でどんな機密情報が口にされてるか知ったら、情報管理セキュリティ委員会の面々なんかは卒倒するかもね。他にも、アットフォース社の選定に技術的要素は含まれていなかったとか、上流工程へのシフトを焦って研修を設定したとか」

 「誰が発覚させるんだ? 長谷部か?」

 「それはできるだけやりたくない。首藤課長の背中を刺すとしても、差し違えるつもりはないから。長谷部ちゃんがチクリ屋だと思わるのは、今後のことを考えても得策とは言えないしね。そういう情報を拡散させる魔法はいくつか持ってるんだ」

 「不確実すぎるな」飛田は唸るように言った。「八十田建設案件は一応成功したといえるし、長谷部をリーダーに抜擢したのは首藤課長の職務権限内だ。長谷部の将来性を買って、とか、あいつの成長のために、と主張することも可能だし、きっとそうするんじゃないのか」

 カナは同意するように頷いたが、先を促すように飛田を見つめただけだった。

 「AFA のトラブルの件は、確かにアットフォースみたいな技術力のない会社に運用を任せた首藤課長の責任だろうが、これだって予想ができなかった、と言える。金額だけで選定したのは間違いないだろうが、それを正直に言うはずもないだろう。私もアットフォースに騙された、向こうの社長が可能だと断言したから私はそれを信じた、私も被害者だ、と言い抜けるだろうな」

 「飛田ちゃんが今言ったようなことは、あたしたちも考えたよ。上の人たちは、技術的なことはわかってないだろうから、首藤課長が得意の話術で煙に巻こうと思えば、それほど難しいことじゃないかもね」

 「なら、本能寺の変イベントは発生しないんじゃないのか」

 「切り札があるのよ」

 「何だ」

 カナは花が咲いたような晴れやかな笑みを浮かべた。

 「飛田ちゃんよ」

 「はあ?」

 「飛田ちゃんが切り札なのよ。いよいよ真打ち登場って感じね」

 「意味がわからないんだが」

 「これ」カナはiPad の画面を飛田に見せた。「見たことある?」

 そこに表示されていたのは、シグマファクトリーのコーポレートサイトの一部だった。コンプライアンス対応窓口の案内として、連絡先の電話番号とメールアドレスが載っている。

 「ここにパワハラで通報するのよ。首藤課長から飛田ちゃんが受けた非道な仕打ちの数々をね」

 「......それが切り札か?」少し呆れた飛田は首を横に振った。「とても効果的な手段とは思えないがな」

 「へえ」カナは余裕の笑みを見せた。「どうして?」

 「コンプラ対応窓口なんて、まともに機能しているのか? 専門部署があるわけじゃないだろう。適当に扱われて終わりじゃないのか」

 「そういうことにはならないよ。そのメールアドレスはうちのドメインだけど、契約してる弁護士事務所に届くの。連絡を受けたら記録に残して調査を行い、結果を報告する義務があるの。向こうも仕事だから、握りつぶして終わりってことにはならない」

 「だが、仮に、いいか仮にだぞ、俺がパワハラを訴えて調査が行われたところで、証拠なんか出てこないんじゃないのか」

 「システム開発課の人たちにヒアリングが行われるはず」カナは落ち着いて答えた。「飛田ちゃんが不当に冷遇されてるシーンはみんな見てるでしょ。打ち上げの抽選もね」

 「誰がそんな証言をする? 首藤課長に楯突くことになるんだぞ」

 「まず石黒ちゃん」

 「石黒を巻き込んだのか」

 「あの子は真面目で正直だから。飛田ちゃんのことは、人間的にはともかく、エンジニアとしては尊敬してるみたいよ。それに別に偽証しろって言ってるわけじゃないし。後は清水ちゃんね」

 「清水? 例の抽選プログラムを作ったのはあいつだぞ」

 「そりゃ課長から命令されれば作るでしょう。だからといって、良心の呵責を感じてなかったわけじゃないのよ。それにAFA の窓口だったから、下手すれば首藤課長から責任押しつけられる可能性だってある」

 「そう吹き込んだんだな」

 「長谷部ちゃんは可能性を言っただけよ。首藤課長なら、いかにもやりそうだってことは否定できないでしょ?」

 飛田は渋々頷いた。

 「首藤課長本人にもヒアリングはあるんだろうな」

 「もちろん」

 「当然、課長は否定するんじゃないのか。部下の成長のためにあえて厳しい環境を形成した、とか何とか言って。外部の人間なら、首藤課長の言い分を信じてしまうかもしれないぞ。俺と違って、向こうは弁が立つからな」

 「あたしたちも、それは考えた。飛田ちゃんは知らないだろうけど、一昨年の2 月ぐらいに、浜松支店でWeb コンテンツサービス課の新人の女の子が、教育係の社員をセクハラで訴えたのよ。本人はもちろん、周囲の同僚や、教育係の男にもしっかり弁護士が話を聞いたらしいわ。結局、セクハラの事実は認定されなかったんだけど。そいつが徹底的に否定したらしくて。セクハラ行為は第三者がいない場所で行われたから、誰も証言できなくてね。普段から仕事熱心で通ってる奴だったから、そいつの方を信じる人もいたのよ」

 「知らなかったな」

 「当然よ。守秘義務があるからね」

 カナがどうして知っているのかを飛田は訊こうと思わなかった。

 「その女の子はどうしたんだ」

 「すぐ辞職した。浜松支店の知り合いの話だと、すごくいい子でデザインのセンスがあったって惜しんでた。もちろん慰留したんだけど、逃げるように辞めたって。あたしたちは同じ轍を踏む気はないよ」

 「と言うと?」

 「長谷部ちゃんは証拠を保存してあるのよ」カナは再びiPad の画面を飛田に見せた。「これとかね」

 画面上にはハイレゾ対応の音楽プレイヤーが起動していた。iPad につながっているカナル型のイヤホンを耳に入れて、再生ボタンを押すと首藤課長の声が流れ出した。

 『そうだ、いいことを思いついたぞ、長谷部くん。その抽選プログラムに細工をするんだよ』

 『細工ですか』長谷部の笑い声だった。『課長が1 等になるようにするとか?』

 『いやいや私は当選対象外だよ。そうじゃなくてだな、飛田や野見山をハズレにするんだよ。どうだ?』

 『いやあ、それはちょっとどうですかねえ』

 『構わん、構わん』首藤課長が何かを飲み、重いジョッキか何かを置く音が聞こえた。『おーい、すいません。生、お代わりください。そんなのわかりゃしないからさ。で、君を1 等賞にするんだ』

 『社長賞ですか?』

 『そうだよ。旅行券だぞ。新婚旅行に使えばいいじゃないか。これは私からの結婚祝いだよ』

 『うーん。それは嬉しいんですが......』

 『わかったわかった』首藤課長の豪快な笑い声が響いた。『私があいつらに言っておくから。君は何も知らなかったってことで。抽選会じゃ、ちゃんと驚いてみせてくれよ』

 飛田は再生を止めイヤホンを外した。カナが、どう?と問いかけるように、片方の眉を上げてみせる。

 「なるほど、確かにこれは証拠になるな。でも提供者が長谷部だってことはバレバレじゃないか」

 「弁護士事務所に提供するだけだから会社にはバレない。さっきも言ったけど守秘義務があるし、内部通報制度ガイドラインでも通報者の秘密は守ることになってるから」

 飛田はぬるくなった紅茶を口に運ぶと、今しがたインプットした情報を整理した。長谷部とカナが、思いつきでMITSUHIDE プランを考えたのではないことはわかったし、各種の事態を想定していることも認めざるを得なかった。それでも、もやがかかったようにすっきりしない気がする。

 「俺がこの録音を証拠として、首藤課長をパワハラで通報する」飛田は考えながら言った。「同時に長谷部とお前が首藤課長の悪事を社内に拡散する。そのウワサの出所はわからないようにするんだよな」

 「そうよ」

 「つまり何かマズイことがあったら、俺だけが反撃を食らって、お前たちは何事もなかったように、仕事を続けていくわけだな。ちょっと虫が良すぎないか?」

 カナは気を悪くした様子もなく、笑みを浮かべてみせた。

 「そうなったら、もう公然と反旗を翻して首藤課長と一戦交えるわよ。あたしも長谷部ちゃんもそれぐらいの覚悟はある。でも、最初から総力戦を挑むことはないでしょ。少数の戦力で事が成せれば、それに越したことはないじゃない」

 「少数の戦力って俺のことか」

 「飛田ちゃんを使い捨てにしようってわけじゃないよ。戦術上、これがベストなの。長谷部ちゃんがパワハラで訴えるには材料がない。他の社員からすれば、長谷部ちゃんはむしろ、首藤課長に可愛がられてたわけだから。あたしはもちろん課も違うし、首藤課長とは接点がないから何もできない。まさかセクハラをでっち上げるわけにもいかないし」

 「......」

 「お望みなら、あたしたち3 人でぶつかっていってもいいよ。でも、首藤課長は手強いわ。今は長谷部ちゃんを可愛がってるけど、それは長谷部ちゃんが首藤課長に服従しているから。もし、こんな謀議が発覚したら、全力であたしたち全員を排除しにかかる。もしその戦いに負けたら、あらゆる可能性がなくなっちゃうでしょ。逆に、表に出るのが飛田ちゃんだけなら、たとえ負けたとしても、まだあたしたちが第二撃を加えることができる。今がチャンスなのよ。AFA の件で首藤課長は背中がガラ空きなんだから。正面からの攻撃だけなら何とか対応しちゃうかもしれないけど、同時多発的に四方八方から攻撃すれば全部に反撃するのは難しいからね」

 「もう一つの選択肢を忘れてないか」飛田は冷静に答えた。「それとも意図的に黙ってるのか?」

 「何のこと?」

 「このまま何もしない、という方法だ。放っておいても、首藤課長は何年か後には、どこかに異動していくだろう。出世主義者だからな。システム開発課がゴールということはあり得ない」

 「長谷部ちゃんのお芝居は、そう長く続けてられない。飛田ちゃんに対して冷たくあたってるだけでもつらいのに、ずっと首藤課長に対して忠臣のフリをしてなきゃならないのよ。そろそろ限界よ。最近、お酒の量が増えてるの。遠からず、身体か心のどっちかか両方が壊れるかもしれない」

 「つまり長谷部のためか」

 「あたしと長谷部ちゃんのためね」カナは悪びれずに言った。「それを否定するつもりはないよ。でも、これは飛田ちゃんにとってもメリットがあるプランだと思うんだけどな。このままだと首藤課長はシステム開発課をボロボロにしちゃうわよ。もちろん飛田ちゃんもね。異動するまで待ってたら手遅れになるかもしれない」

 「一つ訊きたいんだが、仮に首尾良く首藤課長をシステム開発課から放逐できたとする。次の課長が誰になるんだか知らんが、長谷部は係長になるんだろうな。長谷部はシステム開発課で大きな力を得るわけだ。そのとき、あいつは何をやるんだ?」

 「言い換えると」その質問を予想していたのか、カナは戸惑うことなく答えた。「会社の方針に従って上流工程へのシフトを推進するのか、実装部隊を残そうとするのか、ってことね」

 飛田は頷いた。

 「今は何の約束もできないよ。でも、少なくとも、今の首藤課長のやり方を止めることだけはできる。焦って強引に上流工程のスキルを押しつけるような施策をね」

 「少なくとも長谷部が首藤課長のメソッドを継承しないことを保証してくれるなら、MITSUHIDE プランに参加させてもらう。会社の方針を変えることはできないだろうが、打開策を見つけることはできるかもしれないからな。プログラミングスキルを持った人間が肩身の狭い思いをして、要件定義書とスケジュール表の作成に長けた人間が幅を利かせるような会社になって欲しくない」

 「あは」からかうような笑い声がカナの口から漏れた。「あたしたちも自分勝手だけど、飛田ちゃんも負けず劣らずよねえ。要するに自分がプログラミングをやっていける場所を守りたいんでしょ」

 「悪いか?」

 「悪くないよ。じゃ、自分勝手同士の同盟成立ってことで」

 カナが手を差し出す。飛田はその細く冷たい手を握った。

(続)

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Comment(47)

コメント

匿名

まあ失敗するんだろうなぁ…
飛田ちゃんが転職する未来が確定しているのを差し置いても、計画のコアが第三者に依存してるのは不安要素でしかない

匿名

後ろから刺されるのかな

匿名

まあ、ここまでコケにされたら、全部刺したくなるな。
首藤も長谷部もカナも全部刺す。
会社ごとメチャメチャにしたくなる。

匿名

綱渡りの駆け引きですね~
寝首を掻けるのかな?

書籍届きました!
毎週読んでいるとあっという間なのに、紙にするとすごい分厚いですね!
またじっくり読んでいこうと思います。

匿名

前々から思っていたが、カナがいい加減貂蝉にしか見えない。
これ、貂蝉が呂布や董卓をハメるのに使った連環の計のような臭いがプンプン漂ってくるんだが…。

匿名

こういう話はのりたくないな、いつ裏切られるかわからない

本買いました
アマゾンでしか買えないのは教えてほしかった
探し回ってしまった

user-key.

飛田さんが光秀に成っちゃうょ~。

匿名

今までの話読んでると開発課に縁のない人達(首藤、長谷川、カナ)の社内政治に開発課の人達(飛田、石黒、清水、篠田etc)が振り回されてて開発課の人達が本当に不憫。

匿名

えぇ…こんなクズ達と手を組むの?

m

嫌な予感しかしない・・・
具体的なことはわからないけど、飛田には全力で逃げて!と言いたい。
飛田の自主的退職かと思ってたけど、これ自主的に退職「させられる」方向に転ぶんじゃないかって不安しかない。
「使い捨てにしようっていうんじゃない」「表に出るのが飛田ちゃんだけなら、たとえ負けたとしても、まだあたしたちが第二撃を加えることができる」って言うけど、負けた時の飛田の状況が全然考慮されてないんですがそれは・・・

fanaby

無能を追い出すってテーマがすごくイニシアチブっぽい
メンバーが出てきてないだけで、裏で進行中なんだろうか
どう最後に繋がるのか、まったく予想できない…

匿名

本当は首藤・カナ・長谷部が共謀してる飛田パージ計画だったりして

jo

よくこんな計画に乗るよなー
飛田にとってリスクだけでかくてメリットの保証がない。
長谷部とカナが得するだけ。

hoge

これ失敗したら飛田の居場所がなくなるな

カナが首藤の愛人だと考えるとすごいな。
首藤は愛人を忠臣の女にして首輪をつけているように見えるわ

匿名

長谷部が飛田を信頼しているってのも嘘な気がしてきた。

STR

かくて桔梗は露と消え、咲いて栄える桐の花

光秀って赤い装束のイメージはないけど、だれでしょね
後ろめたいほどよくしゃべる、とも言いますが…。

匿名

失敗して飛田が退職に追い込まれるに決まってるじゃないですか~

匿名

松永ときたか。
将軍を殺し、主君を殺し、大仏殿を焼き払い、
いかなる屍山血河をも踏み越えてただただ目的を目指す。
意気込みはバリバリに伝わってきますね~。


果たして首藤は、カナちゃんの意気込みにふさわしい敵役なのか。
あるいは、ウナギのようにヌルヌルと尻尾をつかませずに逃げ切るのか。

test

パワハラ認定となっても首藤課長が減給や降格はあっても左遷にはいたらない気がします。
開発に携わらない飛田の現状が上流へ移行という目標にそっており不適正とまでは言えないので飛田はそのままという事になると飛田が辞める理由としてはありえそうかなと思いますが。

匿名

だって光秀だろ。
飛田が首藤を討って、長谷部が飛田を討つ。
そこまで見据えたコードネームだよな。

phecda

カナは飛田を踏み台にして首藤を討ち取り、結果的に飛田が会社に居られない状態になったとしても、それはそれで飛田のためになる、とか自己欺瞞で(もしくは本心から?)思ってるんじゃないだろうか。
前回と今回のカナの態度を見てると、仮に飛田をスケープゴートにして首藤を討ち取った形になったなら、

「だって、これで飛田ちゃんがこの会社を辞めるいいきっかけができたじゃない?
飛田ちゃんくらい腕前のある人なら、きっと技術を重視してくれるいい会社に拾ってくれると思うわ。
私達は首藤をパージできて、飛田ちゃんは自分の力をフルに発揮できる新天地に旅立つきっかけを得られる。これもこれでまた Win-Win の結果でしょ?」

……なんてセリフすら言いかねないような気がする。

匿名

「それは、あたしたちも考えた。」
→ リスクを負うのは飛田だけ。

やるじゃん、お嬢!

くそったれ!んなわけねー、おれはもう人を信じないぞ

ayk

カナがひたすら気持ち悪いな

匿名

最後、飛田を討つのは長谷部か。

カナと長谷部は社外で生きられないが、飛田なら技術力で可能とか伏線もあったし。

これをきっかけにイニシアチブに入る事になるんだろうな。

toanna

カナの暗躍は想像していなかったーーーーっ!
誰かがコメントした「ついでに飛田もバイバイ」計画だって、ありそうで怖いですね。


ところでカナを理解する声が無くてびっくりしました。女性はあまり読んでいないのかな。
女性で、大切な人が何に苦しんでいるか理解できていて、解決策を思いついて、実行(フォロー)できる立場にいたとしたら、このような行動に出るのは不思議ではない気がします。
ボクは差別主義者なので、男女で能力に大きな隔たりがあると考えていまして、こんなシチュエーションこそが男性を凌駕する能力を発揮できる場ではないかと考えているので、まったくひどいと感じませんでした。むしろ理解できる気がします(男性には理解できない魔物ですよ)。


それよりも長谷部・・飛田を大切に考えているのなら、カナが望んだとしても自分の口から告白すべきだよね。すごくがっかりしますね。(ほぼ可能性は無くなりましたが)2話前に妄想した長谷部=イニシアティブという結末だったとしても、もう嬉しいとは考えられないっていうね。


長谷部ぇぇぇ

匿名

イニシアティブって前作のイメージだともっと技術を大事にしてる集団って感じだしこの会社の人間との関連がつきにくい
契約切られた篠崎か、外部の技術研修とかで知り合った人からの繋がりじゃないのかなあ

匿名

コードネームだけから考えると、

信長=首藤
光秀=飛田
秀吉=長谷部

ということなのかな?
だとすると最後に笑う家康もどこかにいそうな気もするけど

匿名

長谷部もカナも抑圧された中で自分たちの利益を最大化しようとする合理主義者なだけで、別に悪人ってほどでもないなあとは思う。
ただ飛田のことを本当に友達だと思ってるなら、計略の前に打ち明けるくらいしてもよかったよね、という点でもやもやする。だから裏切られそうというのもわかる。
長谷部よりもカナのほうが合理主義的かな。たぶん長谷部だけだと潰れちゃってたのを、カナがうまく誘導してるんだろうから。
なんだろう、男女混合の友達3人のうちカップルが一組できたらあぶれた一人はかわいそうなことになる、という典型的な話で見てしまえるのがおもしろい。

m5jr

「罪と罰(22)」で出てきたKSR電機の一人が八十田さん。
今回の顧客が八十田建設。
意味もなくこんな名前のつけ方するとも考えにくいから、八十田建設内にイニシアティブメンバーが居るのはほぼ確定か?
…と、1話時点では思ってたんだけどなあ。

書籍版だと八十田さんの名前消えてるのね…。
これでイニシアティブがどう絡んでくるのか、また読めなくなってしまった…。

test

toannaさん
>ボクは差別主義者なので、男女で能力に大きな隔たりがあると考えていまして、こんなシチュエーションこそが男性を凌駕する能力を発揮できる場ではないかと考えているので、まったくひどいと感じませんでした。むしろ理解できる気がします(男性には理解できない魔物ですよ)。
能力に隔たりがあるというよりは問題があっても女性の場合には自他ともに改善は期待しない傾向はあります。
内部的策略は女性の方が多いかも、ですが酷いと感じないのは何故なのかは気になりますね。
特性が異なるのとそれを使って良いかどうかは別問題な気がしますが。

toanna

testさん
仰るとおり、読み返すと指摘された意味にしか読み取れませんね。
書きたかったこと:
・女性はこのようなシチュエーションでは、男性を凌駕する能力を発揮する。
・だからカナの話には驚かなかった。
です。


たったこれだけのことを書く予定が長文になってしまい、削りまくったところ上記のような文章になってしまいました。

数いる中の1エンジニア

途中までは首藤を殴って飛田は会社辞めたのかと思ってけど、違う気がしてきた。
なんとなく長谷部が上司になってなんかやらかしてそれを飛田に押し付けて飛田が殴るのかも、とカナの行動を見てて思った。
カナのようなタイプは昔いた職場にもいたけど基本信用できない。

phecda

>・女性はこのようなシチュエーションでは、男性を凌駕する能力を発揮する。
>・だからカナの話には驚かなかった。

何となくだが、仏教の説話にあるハリティー(鬼子母神)のエピソードを思い出して、納得がいった。
鬼子母神はお釈迦様に帰依する前は、人間の赤ん坊をさらって自身の子供に食わせるという、人間にとっては鬼畜外道の所業に手を染めていたというが、それも愛しい我が子を育てるためにやったことと言われている。

自分の愛する者のためなら、罪や過ちを犯すことも辞さないってのは、女性が命を生み、守る性だからなのかも知れないね。
だからこそ、カナは愛する長谷部のために、飛田を踏み台にする可能性のある陰謀を巡らせ、かつ悪びれた様子も無いのかも。

ただ、マッチョイズム全開の視点で見るなら、カナの練ったこの陰謀は、「男の友情や仁義の話に女が口を挟んできて、話をややこしくした」、って解釈もできるけどね。

test

phecdaさん
>ただ、マッチョイズム全開の視点で見るなら、カナの練ったこの陰謀は、「男の友情や仁義の話に女が口を挟んできて、話をややこしくした」、って解釈もできるけどね。

そもそもの批判の内容は不確実な事を実行させて影響が出ているにもかかわらず
その悪い面を愛情の一言を免罪符にしているという事かなと思います。
悪事をするなという道徳を言うつもりはありませんが正当化すべきでは無いとも思います。

例外はいますけどカナのような事をする女性の典型的なパターンは
会社がどういう絵を書いているのか知っていて誰が書いているのかを理解しているけど、絵を書く訳でも形にするのでもなく、絵を書き換えさせる事もしない人間かなと思います。
それで絵がひっくり返って想定外の事が起きた際に私は悪くないと言い張るかな、某大臣みたいに。
その良し悪しは個々の考えがあると思いますが。

toanna

すこーし(いつも通り)長くなります


testさん
素晴らしいですね、その悩み。ボクも過去に10年くらい考えていました。


ちょっと一般的な、そして母親のいた家庭の話をします。
僕らは女性の体から生まれてきます。そして守られて育ちます。今生きていられるのは何故でしょう。恐らくそれは母親の激烈な愛情の賜物ではないでしょうか。僕らの気付かない生い立ちの中で、カナが言うような、そしてtestさんが指摘されたような理不尽と思われるようなこと、それで守られたこともあったのだと想像できます。一般的な母親であれば誰よりも我が子が愛おしい。
彼女達の行動は、その延長ではないかと思われます。だから単純な男性のように目に見える損得では測れないのではないかと考えています。
それこそが、ボクが女性を差別する所以であり、敵わないなと考える理由でもあります。
(一般的でない家庭の話もできますが、ここでは割愛)


さて次に別な面での話をします。
僕らが作るアプリやシステムは、より使いやすく、より多く、つまり万人に使われることを目指しています。
現実的にみて、ユーザの男女比はどうでしょう。一般的に専門職のような単純(簡単とは言っていない)だけどタフな専門職の絶対数は男性が多く、多様(難しいとは言っていない)だけど時間で区切れるパンチャーや事務のような職業は女性のほうが多い。ボクたちのシステムを性別的にどちらに使用されることを想定すべきかといえば、女性ではないかと考えます。
その女性はボク達が思いつかないような使い方をしますが、その人は悪意をもっているでしょうか。否、直観であることが多いと思います。
その人たちの満足度を上げるという命題がある。


理不尽と思われる操作や行動をボク達が理解できるでしょうか、想定できるでしょうか。
少なくともボクにはできません。だから「こういう事象」として捉えています。
つまり「お手上げ」だけど「その能力を崇拝できる」くらいに尊重できると考えています。
(なぜ尊重するのかといえば、その人たちの満足度を上げることが僕たちの命題だから)


よく下世話な会話で「女性は子宮で考える」と言われていますが
男性脳で冷静に考えた結果、子孫、果ては人類を繁栄させるという意味でも、十分に正しいことなのではないでしょうか。じゃないと生まれてさえこれないから。
科学的観点でもDNAレベルで男性は女性の劣化版であるらしいので、この件について僕らに理解することは永遠に不可能なのかもしれません。


やっぱり長くなりましたが、カナのような人の息子だったら物凄く幸せなんだろうなと思います。
理不尽なことを言われて「ああそうか、そういうものか。そういう考え方もあるのか」と納得してしまうボクは、女性に騙されまくった人生を歩んでいるけれど不幸だとは感じないんですよね。
ということも無条件で理解する理由になっています。


ということを書いて要約した結果、自分の文章を破綻させてしまいました。
すみません感情論になってしまいましたが、伝わります?無条件に納得し、驚かなかった理由。


この悩みを突破した瞬間から、ユーザの評価が激上がりしたという経験談でした、

test

toannaさん
なんか論点がずれている気がしますが。

>僕らが作るアプリやシステムは、より使いやすく、より多く、つまり万人に使われることを目指しています。

趣味的なものと業務的なのを一緒にしている気がします。
外国製のビジネスアプリのベンダみたいなのはそうかもしれませんがビジネスアプリが万人向けである必要があるのかは留保します。

>現実的にみて、ユーザの男女比はどうでしょう。一般的に専門職のような単純(簡単とは言っていない)だけどタフな専門職の絶対数は男性が多く、多様(難しいとは言っていない)だけど時間で区切れるパンチャーや事務のような職業は女性のほうが多い。ボクたちのシステムを性別的にどちらに使用されることを想定すべきかといえば、女性ではないかと考えます。

これはその通りですが、システムの利便性よりかは職場内の人間関係や異性関係を重視している気がします、カナなんかはある意味その典型ですね。
罪と罰でテリトリを守るために飛田ともめた女性主任がいましたが、飛田が既存の使用していない画面を削った事に異論を唱えなかったというのはありえるかなと。
システムへの拘泥は割と薄いと思いますよ女性は。

>その女性はボク達が思いつかないような使い方をしますが、その人は悪意をもっているでしょうか。否、直観であることが多いと思います。

これは違うと思います、そういう人達を見てきましたが従順で上の教えた通りの事を要領とか愛嬌良くやっているだけで直観や発想は無さそうです。
直観でやる人間はその中にはいないように思います。
マニュアル通りにそれを少しだけ劣化させてやっている印象です。
直観でやっているというのは単純に理屈から考えてよく分からない劣化の仕方をするからそうとれるだけにすぎません。


>その人たちの満足度を上げるという命題がある。

罪と罰でありましたけどシステムの導入経緯とか決定において満足度の向上が
優先順位として高いかは疑問です。
高いならそれは命題ですが、低いならそうではありません。

行き倒れ

ああああ、
次号全ての陰謀が明らかに!
 
的な感じですね^^;
 
悪い方に展開が読め過ぎて、
次号、ページを開いたものの
スクロール出来ないかも知れません!w

toanna

testさん
答えたいことが多すぎて勝手に選別します。
本当に確認したかったことが書かれていなかったら別途指摘をお願いします。


■趣味的なものと業務的なものについて
うーんと、業務的なものしか開発経験がないのですが、確かに趣味的なもののほうがボクの主張は顕著に表れますね。
ただし与えられた要件を全うしたいと考えるボク達に、その分類は必要でしょうか。


■ビジネス向けが万人向けである必要について
例えば特殊な計算や分析結果については当然唯一の正解値を提示する必要があります。ただしその結果に至る経緯については、10人のユーザがいるとしたら10通りの方法があると考えるべきではないでしょうか。ただしボク達の想像力にも限界がありますので、「これが正しい使い方である」と誘導し、想定外の操作を排除する必要があります。その誘導する方法を検討する際に、可能な限り万人、いや万人に近い人たちが直感で感じることができるようにすべきではないでしょうか。


■女性がシステムへの拘泥が薄い、について
ここは特に端折るのですが、その機能の利用頻度が見積もりに見合わなかっただけではないでしょうか。
お気に入りの服やコスメを使い続ける女性に、それらと同じようにシステムをお気に入りにしていただくことが大切ではないか、というのがボクの主張です。
従ってシステムへの拘泥が薄いかどうかは考えていませんでした。


■直観での操作について
まず障害を報告してくれた評価部門の女性、それから実際のユーザを20システムくらい、3年以上はリサーチし続けた結果、ロジック破綻や設計要因を除外すると、想定外の操作による障害は、ほぼ直観でしか有り得ませんでした。そしてその8割近くが女性ででした。更に操作の起因を聞き出すと、システムの操作から意識が離れている場合に多い、ということも判明しました。という経緯が根拠となります。
従って客観的に分析した結果の主観でしか無いことも認めます。
ボクの見立てが間違っている可能性は十分にあり得ますので、誰かがどこかで、答え合わせができるような見解を発表してくれることを期待しています。想像では集計結果はほぼ一致するけれど、そこからの推測が大きく異なるはず。または集計方法が想像できなかったくらいに画期的とか。


■システムの導入経緯とか決定について、命題について
ユーザ企業がシステムの導入を決定するまでには、あらゆる要因があります。特に営業内容に左右される部分は大きいでしょう。営業のアピール力、採用担当者へのネゴ、必要であれば更に上の予算委員会を丸め込む接待、いろいろ必要ですよね。ただしボク達がそれらに委ねる場合は、上手に立ち回る首藤のような人を崇め続ける必要があります。首藤の決定は無条件に従うくらいに有り難がれる能力が必要です。できますか?
ボクにはできないし、したくない。少なくとも営業が及ばない部分でシステムで評価してもらいたい。と考えています。


例えばある企業がA,B,C,D,Eを実現できるシステムを求めていたとして、X社は素晴らしい使い心地のA機能のみを、Y社が普通のA,B,C機能を実現できるパッケージを持っていたとします。企業はそれぞれの企業に不足している機能の検討と見積もりを要求します。X社もY社も既存機能の延長で不足機能の仕様を導き出します。都合よく書きますが、その時により使いやすいパッケージはX社のものになるでしょう。その後、営業力や政治的要因でY社に決まったとしても自身を慰められますが、実力不足だったなんて悔しくて悔しくてこの業界を辞めるわけにはいかなくなる(あ、だから今も!?)


という理由で、少なくともボクにとっては「多くのユーザ」「特に想定外の操作をしやすいユーザ(女性)」「契約をもぎ取れる完ぺきに近いシステム仕様」というキーワードにより、女性を制する者が満足できるシステムを開発できる、つまり命題であると考えています。


うん、書いてみてこれは伝わらないなと思いました、すみません。

test

toannaさん
>■趣味的なものと業務的なものについて
>うーんと、業務的なものしか開発経験がないのですが、確かに趣味的なもののほうがボクの主張は顕著に表れますね。
>ただし与えられた要件を全うしたいと考えるボク達に、その分類は必要でしょうか。

ここですよね、これとですね。

>■システムの導入経緯とか決定について、命題について
省略
>その後、営業力や政治的要因でY社に決まったとしても自身を慰められますが、実力不足だったなんて悔しくて悔しくてこの業界を辞めるわけにはいかなくなる(あ、だから今も!?)
ここが矛盾しているという話です。
要件も営業や政治的要因で決まるように思いますが。

>という理由で、少なくともボクにとっては「多くのユーザ」「特に想定外の操作をしやすいユーザ(女性)」「契約をもぎ取れる完ぺきに近いシステム仕様」というキーワードにより、女性を制する者が満足できるシステムを開発できる、つまり命題であると考えています。

そうなのかもしれませんが要件かは疑問です。


>■直観での操作について
>想定外の操作による障害は、ほぼ直観でしか有り得ませんでした。
>そしてその8割近くが女性ででした。
>更に操作の起因を聞き出すと、システムの操作から意識が離れている場合に多い、ということも判明しました。
>という経緯が根拠となります。
そもそも母数が偏っているので統計的な正しく女性の性質を表しているとは限りません。
そういった入力以外の仕事につきやすい男性とそれ以外の仕事につきやすい女性というのはありそうですが。
直観がシステムの傾向からこういう操作が正しいと思ったという話なら性差は無い気がします。
内容を理解して操作法を学ぶ人と責任者の指示だからそうするのとでは性質が異るというのは有り得そうで、女性は比較的内容の正しさよりは人間関係的正しさを優先するというのは感じますが、男性にもいる事はいます。

作品の話がしたい

念のため言っときますけど次回が公開された時にコメ欄の初っ端から自分語り入った長文とかたまったもんじゃないんでヨロシク

test

そうですね自重します、”最初は”

toanna

testさん
案の定うまく説明できていないことを自覚しました。
なので、
・女性はこのようなシチュエーションでは、男性を凌駕する能力を発揮する。
・だからカナの話には驚かなかった。
のところまでをボクの主張とさせていただきます。


なんとか共通見解を導き出したいところでしたが、その場で「それ!」と指摘しあえる会話やチャットのようなものでない限り、感覚的要素の多いものは説明が難しいことがわかりました。


とりあえずこの場では、ボクの話しは矛盾しているという事で了承願います。


諦めている訳ではないのでチャンスがあれば説明を再挑戦させてください。


くっそ、ものすごく楽しいけれど時間がかかりすぎ。。





と、したほうが良いか、明日になればここが廃れるので継続しようか悩んでいます。


どうしましょう

toanna

さて、今回もボクの説明下手により伝わらないかもしれません。


「要件も営業や政治的要因で決まるように思いますが」については大方がそうなのですが、もしこれがすべてであった場合、採用条件にはSEやPGの意見は一切含まれないわけで、ここでの感想や意見も発生しないのではないでしょうか。しかしいろんな意見が発生すること自体、「営業や政治的要因で決まる」わけではないことの証明となります。
当然「与えられた要件を全うしたい」と考える必要もなく、粛々と持てる知識だけで対応していれば良いことになります。
従ってボク達が立ち入れる可能性(つまりより良いと思われる意見)が生まれる限りは「命題」であると考えています。


「直観での操作」については、システムの操作に限らず、あらゆる日常生活からも感じることができます。ほんとうに性差はないのでしょうか。目を凝らせばあらゆるところに性差は見られるのではないでしょうか。もし相互に理解しあえるくらいに対等であるならば、女性専用車両は存在しませんし、逆に男性専用車両だって存在しているでしょうし、男女平等を訴える団体も存在しないでしょうし、社内規則だって偏りが無いはずです。この世界に送り出すシステムが、性差を意識しないなんてナンセンスではないでしょうか。


など、それぞれ答えることはできますが・・
結局ここで主張したかったのは先に書いた2行のみです。
ボクが細かい話の枝に葉つけていったせいで、ややこしくしてしまいました。すみません。


気持ちを次の話に持っていきたいという一方的で傲慢な気持ちと
ボクの能力で逐一説明するには時間がかかりそうという能力不足が露呈したところで
ここでの主張はお終いにさせていただきます。


ありがとうございました。

黒豆

ようやく自分語り長文終わったか。良かった!!

toanna

長いあいだ張り付きお疲れ様です。
こんなに隠れて粘着していただき長文冥利につきます。
黒豆さんのご期待に添えるよう、更に長い長い自分語り頑張りまーす

ここは作者の作品にかかるコメント欄です。

迷惑だからやめて下さい。真面目に言っています。
重ねて申し上げます。迷惑だからやめて下さい。

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