ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第722回 前提構造理論(OST)のススメ1・原理部

»

 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 以前よりこのコラムでは私が研究、構築している前提構造理論の存在を断片的にご紹介してきました。そして、この理論に関する商業出版を進めていることもあり、あまり表立って詳しいお話をしてきませんでした。

 ですが、そろそろご紹介しても差し支えない状況になってきましたので、3年ぶりの「〇〇のススメ」シリーズとして前提構造理論(OST)を取り上げていきたいと思います。

■前提構造理論(OST)とは

 この理論は以前「CAR-OS理論」という名前をつけていました。しかし、既に「CAR-OS」という名称がキャリア論として使われていたことを知りました。そちらの内容とは全く関係がないため、ご迷惑をかけてしまってもいけないと思い、名称を「前提構造理論(OST)」に改めました。

 OSTとは「Operating Structure Theory」の略で、Operating Structureのことを「前提構造」と訳しています。この「前提構造」に関する理論なのですが、この理論を一言でいうと、

判断・行動・結果を成立させる前提構造の原理理論

となります。もう少し違う視点で見ると、

「分かっているのに変われない」という失敗を、人のせいにも仕組みのせいにもせず、背後で作動する「前提構造(Operating Structure:OS)」から構造的に説明する理論

みたいな感じです。

 理論自体は既に完成しており、実際の理論書は360ページ以上になっています。。。この理論のすべてをご紹介するのは大変なので、ここではこの理論を

原理部「例外なく成立する不変の原理」について著した部
構造部原理が現実においてどのような「前提構造(OS)の状態」として現れているかを著した部
介入部前提構造の状態に対して「どのような介入が成立し得るか」を設計・記述した部

に分けてお話していきます。

 ちなみに、理論本体は「原理部+構造部」になっていて、介入部は理論本体ではないのですが、理論自体を活用するためのパートとして介入部を置いています。

 ということで、今回は原理部をご紹介します。

■原理部:CARという不変の原則

 原理部は前提構造理論の中心にある概念で、CARという不変の原則について扱っています。

 CARとは

C...Cogniton(認知)
A...Action(行動)
R...Result(結果)

のことで、

認知が行動を生み、
行動が結果を生じ、
結果が認知を更新する

という循環を表しています。

 これは何となくイメージしやすいかなと思うのですが、例えば、何かしらの事象・事柄があります。私たちはその事象・事柄に対して何かしらの認知、つまり考えや感情などを持ちます。それが行動となって表れ、その行動が結果を生み出すってことですね。そして、行動はまた認知をアップデートしていく。このCARが循環することを「CARスパイラル(CAR Spiral)」と呼びます。

 そして、CARが循環することをもう少し深く掘り下げてみると、こんなことが分かってきます。

認知(C)は事柄によって生み出される
行動(A)は事柄を生み出す
事柄をどう意味づけるかで結果(R)が形作られる
結果(R)を認知(C)が回収する

 私たちの周りにある事柄のことをこの理論では「外的事柄(External Fact)」と呼びますが、この外的事柄を私たちが解釈することによって認知が生まれます。

 そして「行動が結果を生じ」をもう少し深掘りすると、行動が生み出すものは本来単なる事柄でしかありません。この事柄のことを「内的事柄(Internal Fact)」と呼びます。

 その内的事柄を私たちが意味づけしたモノが結果となります。つまり、結果というのは「意味づけされた内的事柄」と表現することができます。

CAR.png

■主観と客観

 そして、この事柄(内的事柄・外的事柄)は本来善悪や判断といった主観を伴いません。つまり、事柄というのは客観的事実を表します。一方、CAR自体は私たちの主観です。

 本来CARという循環は私たちの主観で回っていますが、そのCARが回るためには客観である事柄を介在させる必要があります。

 しかし、本来主観と客観は直接は繋がっていません。これを「主観と客観の非連続性(Discontinuity」と呼びます。

 ここで前提構造(Operating StructureOSという存在が出てきます。

 この前提構造という存在が主観と客観の間に入ることで、主観であるCARが客観である事柄を取り込み、CARが循環すると考えます。

■結果回収という考え方

 ここで結果から認知の部分をもう少し掘り下げます。私たちは行動を起こすことによって内的事柄を生成し、その内的事柄を私たちなりに意味づけをして結果を生成します。この時、結果が出たからと言って、その結果が自動的に次の認知に更新される訳ではありません。この結果の情報が認知に更新されることを「結果回収」といいます。

結果回収が行われない場合...結果が出ても以前の認知と同じ(差異がない)と判断されたため、結果を認知が回収せず、同じ物の見方、行動が繰り返される
結果回収が行われる場合...結果が以前の認知と違う(差異がある)と判断されると、次の認知に微小な変化をもたらし、違う物の見方、行動が生み出される

 つまり、CARそのものはずっと回り続けています。しかし、結果を回収できるかどうかでCARが同じ循環をするか、違う循環になるかが変わってきます。

 これが、失敗を生む仕組みになります。この理論における失敗というのは結果が認知に回収されずに同じCARを回り続ける状態を意味しています。

 つまり、失敗というのは人や環境などではなく、CARの循環が更新されない(=結果回収されない)ことで起きている状態のことを指していると考えます。これがわかると、失敗という状態を変えるためには、結果回収ができる状態をつくり上げることが必要ということになりますよね。

■評価をしないこと

 この前提構造理論は原理理論なので、そもそも評価という概念が一切ありません。

更新が起きない(結果回収されない)=悪や失敗
更新が起きる(結果回収される)=善や優れている

とはなりません。これらはいずれも努力や意識の問題ではなく、単に「同じ原理が異なる状態として現れているだけの構造的な事実」として表されているだけです。

 この立場に立つことで前提構造理論は他の理論と競合せず、補完し合う関係になります。

 例えば、7つの習慣は素晴らしい理論だと思っていますが、それでも実践できない、途中でドロップアウトしてしまう人があります。この時、

「あなたのやる気がない」
「本当に理論の必要性が理解できていない」

といった努力、根性論に話が向いてしまいがちですよね。

 しかし、前提構造理論に照らしてみると、それはCARが更新しない状態(結果回収がされない状態)になっているだけです。結果回収ができる状態を作ってあげれば自然にCARは回りますので、7つ習慣はちゃんと実践できるようになるという考え方です。これが、前提構造理論が他の理論と補完関係になるということを意味しています。

■今回のまとめ

 今回は前提構造理論の根幹部分を表す原理部のお話をさせてもらいました。

 原理を一言でまとめると、

人は例外なくCAR(認知・行動・結果)の循環を回し続けているが、結果が出ることと自分が変わる(更新される)ことは同じ意味ではないことを評価を交えずに定義づけたこと

となるかなと思います。

 それでは、次回からはこの理論の中心部分である構造部についてお話していきますね。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する