人形つかい(9)上級SEは無慈悲な夜の女王 結局、橋本さんからの確認完了の電話は、終電ギリギリになって、ようやくかかってきた。ぼくは礼を言うのもそこそこに、PCをシャットダウンし、戸締まりを確認し、セコムのコンソールでロックをかけると、駅に向か... 2011/07/19 Comment(2) 人形つかい(8)鳴り止まない電話 数日後にぼくたちの手元に届いた設計書は、これまで「橋本」だった担当者名が「高杉」と変わっていた。このことは「承認くん」開発プロジェクトを陰で仕切っていた高杉さんが、前面に出てきたことを意味しているよう... 2011/07/11 Comment(12) 人形つかい(7)上級システムエンジニア 翌日の夕方過ぎに自社に戻ったとき、ぼくは橋本さんのランチで得た情報――「上流の分野に口を挟むな」という言葉を除いて――を、東海林さんに話した。東海林さんは、黙って聞いていたが、話が終わると「そんなこと... 2011/07/04 Comment(5) 人形つかい(6) タンスターフル その日、ぼくは1人でエースシステムの開発室で実装作業を続けていた。東海林さんは以前担当していたシステムにトラブルがあったため、こちらにはこないことになっていた。この案件は「半常駐」という話だったはずだ... 2011/06/27 Comment(27) 人形つかい(5)システムエンジニアとSQL 誰が誰に頭を下げ、誰が譲歩し、誰が叱責されたのか、それはわからない。数日後に戻ってきた設計書は大幅に加筆訂正されていて、「ローカルフォルダのExcelファイルを開く」という例の仕様は、「サーバ側でテン... 2011/06/20 Comment(14) 人形つかい(4) 実現不可能な仕様を実現する方法 他人を評価する際、第一印象を重視する人としない人がいる。ぼくはこれまでどちらかといえば前者だったし、だいたいのところ、その方法は有効だった。公言したことはないが、人を見る目はそれほど曇ってないんじゃな... 2011/06/13 Comment(13) 人形つかい(3) 私はシステムエンジニア 2度目のエースシステム訪問は、東海林さんとぼくの2人で行くことになった。もう営業的な話をする段階ではないし、技術的な話がほとんどになるので、と東海林さんは言っていたが、黒野さんは不安そうだった。技術部... 2011/06/06 Comment(4) 人形つかい(2)今、そこにある案件 エースシステムの敷地から出た途端、東海林さんは黒野さんにかみついた。「おい、いくつか聞きたいことがあるんだけどな」「まあまあ、立ち話もなんだから、どっか入りましょうよ。喉も渇いたし」そりゃ、あれだけ1... 2011/05/30 Comment(5) 人形つかい(1) 未知との遭遇 彼らには本当に知能があるのだろうか?つまり、彼ら自身の知能が?ぼくにはわからない。どうすればそれがわかるのかも、わからない。ぼくの名前は細川マモル。横浜市内にオフィスを構える小さなシステム開発会社に勤... 2011/05/23 Comment(7) 高慢と偏見(終) エピローグ 私は予定どおり、9月末をもって新部品調達システム開発プロジェクトを後にした。苦楽をともにした開発メンバーと別れるのは寂しいが、正直なところ、これ以上、あの時代に逆行したような開発を続けずに済んで、心の... 2011/02/21 Comment(418) 高慢と偏見(13) 一矢 水曜日の朝。三浦マネージャが開発室に入ってくるなり、佐久間くんはあいさつもそこそこに、うれしそうに報告した。「修正、完了しました!」声にならないどよめきが開発室の中に満ちた。一番驚いていたのは、三浦マ... 2011/02/14 Comment(19) 高慢と偏見(12) 新人くんのささやかな主張 9月の最終週の月曜日、週に一度開かれているミーティングの席でのこと。司会は三浦マネージャだ。私はすでに引き継ぎをほとんど終えていて、後は小さな修正などを片付けるだけになっていた。いつもどおり連絡事項の... 2011/02/07 Comment(12) 高慢と偏見(11) 現実は映画じゃない レビューは三浦マネージャを完膚なきまでに打ちのめした。若槻さんと私は、手際よく各クラスとメソッドの説明を行った。最初はバカにしたような態度だった三浦マネージャも、次第にオブジェクト指向の利点に気が付い... 2011/01/31 Comment(5) 高慢と偏見(10) 夏への扉 「S系部品納入時チェック機能」の仕様がまとまったのは、それから数日後のことだった。S系部品とは、その名のとおりコードの先頭がSで始まる部品群のことで、部品全体の5%未満が該当するらしい。K自動車が過去... 2011/01/24 Comment(12) 高慢と偏見(9) 誰がスケジュール遅らせた? それはあなたとプロマネは言った その日の午後、三浦マネージャは何かの会議から険しい顔で戻ってくるなり、全開発メンバーを招集した。たまたま平良さんは私用のため、午後になってから出勤することになっていた。「知ってのとおり、スケジュールの... 2011/01/17 Comment(15) 高慢と偏見(8) 敵は身内にもあり 関東地方の梅雨入りが宣言されるころには、スケジュールの遅れが目立ち始めた。もともと遅れていたところに、三浦十字軍が襲来。誰も読まないドキュメント作成と、もはや三浦マネージャの独演会と化しつつあるコード... 2011/01/11 Comment(6) 高慢と偏見(7) 28日後…… 2週間ほど経つと、わたしたちの書くコードは、別の世界のプログラマが作っているのかと思うほど様変わりしていた。新部品調達システムのデータ構造そのものは、旧システムからそのまま引き継いでいるため、やや冗長... 2010/12/27 Comment(29) 高慢と偏見(6) いつかの誰かのためのドキュメント 三浦マネージャがプロマネになって2週間が過ぎた。表面上は、それまでと変わらない開発風景だったが、水面下では激しいゲリラ戦が繰り広げられていた。とはいっても、敵、つまり三浦マネージャだけが、それに気付い... 2010/12/20 Comment(6) 高慢と偏見(5) そして戦いがはじまる コードレビューという名の、三浦十字軍の暴走は続く。「......それから、210行めぐらいで部品マスタからデータ引っ張ってきてるけどね、ここで、PartsMasterGetterって使ってるね。これ何... 2010/12/13 Comment(9) 高慢と偏見(4) 嵐の金曜日 「56行めからの関数だけどね、selectPartsList()ってやつね。なんでこれ、privateになってるの?」「すみません、意味がよく分かりませんが……」富永さんは疲れたように言った。メソッド... 2010/12/06 Comment(20) 前のページへ 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 次のページへ SpecialPR
人形つかい(9)上級SEは無慈悲な夜の女王 結局、橋本さんからの確認完了の電話は、終電ギリギリになって、ようやくかかってきた。ぼくは礼を言うのもそこそこに、PCをシャットダウンし、戸締まりを確認し、セコムのコンソールでロックをかけると、駅に向か... 2011/07/19 Comment(2)
人形つかい(8)鳴り止まない電話 数日後にぼくたちの手元に届いた設計書は、これまで「橋本」だった担当者名が「高杉」と変わっていた。このことは「承認くん」開発プロジェクトを陰で仕切っていた高杉さんが、前面に出てきたことを意味しているよう... 2011/07/11 Comment(12)
人形つかい(7)上級システムエンジニア 翌日の夕方過ぎに自社に戻ったとき、ぼくは橋本さんのランチで得た情報――「上流の分野に口を挟むな」という言葉を除いて――を、東海林さんに話した。東海林さんは、黙って聞いていたが、話が終わると「そんなこと... 2011/07/04 Comment(5)
人形つかい(6) タンスターフル その日、ぼくは1人でエースシステムの開発室で実装作業を続けていた。東海林さんは以前担当していたシステムにトラブルがあったため、こちらにはこないことになっていた。この案件は「半常駐」という話だったはずだ... 2011/06/27 Comment(27)
人形つかい(5)システムエンジニアとSQL 誰が誰に頭を下げ、誰が譲歩し、誰が叱責されたのか、それはわからない。数日後に戻ってきた設計書は大幅に加筆訂正されていて、「ローカルフォルダのExcelファイルを開く」という例の仕様は、「サーバ側でテン... 2011/06/20 Comment(14)
人形つかい(4) 実現不可能な仕様を実現する方法 他人を評価する際、第一印象を重視する人としない人がいる。ぼくはこれまでどちらかといえば前者だったし、だいたいのところ、その方法は有効だった。公言したことはないが、人を見る目はそれほど曇ってないんじゃな... 2011/06/13 Comment(13)
人形つかい(3) 私はシステムエンジニア 2度目のエースシステム訪問は、東海林さんとぼくの2人で行くことになった。もう営業的な話をする段階ではないし、技術的な話がほとんどになるので、と東海林さんは言っていたが、黒野さんは不安そうだった。技術部... 2011/06/06 Comment(4)
人形つかい(2)今、そこにある案件 エースシステムの敷地から出た途端、東海林さんは黒野さんにかみついた。「おい、いくつか聞きたいことがあるんだけどな」「まあまあ、立ち話もなんだから、どっか入りましょうよ。喉も渇いたし」そりゃ、あれだけ1... 2011/05/30 Comment(5)
人形つかい(1) 未知との遭遇 彼らには本当に知能があるのだろうか?つまり、彼ら自身の知能が?ぼくにはわからない。どうすればそれがわかるのかも、わからない。ぼくの名前は細川マモル。横浜市内にオフィスを構える小さなシステム開発会社に勤... 2011/05/23 Comment(7)
高慢と偏見(終) エピローグ 私は予定どおり、9月末をもって新部品調達システム開発プロジェクトを後にした。苦楽をともにした開発メンバーと別れるのは寂しいが、正直なところ、これ以上、あの時代に逆行したような開発を続けずに済んで、心の... 2011/02/21 Comment(418)
高慢と偏見(13) 一矢 水曜日の朝。三浦マネージャが開発室に入ってくるなり、佐久間くんはあいさつもそこそこに、うれしそうに報告した。「修正、完了しました!」声にならないどよめきが開発室の中に満ちた。一番驚いていたのは、三浦マ... 2011/02/14 Comment(19)
高慢と偏見(12) 新人くんのささやかな主張 9月の最終週の月曜日、週に一度開かれているミーティングの席でのこと。司会は三浦マネージャだ。私はすでに引き継ぎをほとんど終えていて、後は小さな修正などを片付けるだけになっていた。いつもどおり連絡事項の... 2011/02/07 Comment(12)
高慢と偏見(11) 現実は映画じゃない レビューは三浦マネージャを完膚なきまでに打ちのめした。若槻さんと私は、手際よく各クラスとメソッドの説明を行った。最初はバカにしたような態度だった三浦マネージャも、次第にオブジェクト指向の利点に気が付い... 2011/01/31 Comment(5)
高慢と偏見(10) 夏への扉 「S系部品納入時チェック機能」の仕様がまとまったのは、それから数日後のことだった。S系部品とは、その名のとおりコードの先頭がSで始まる部品群のことで、部品全体の5%未満が該当するらしい。K自動車が過去... 2011/01/24 Comment(12)
高慢と偏見(9) 誰がスケジュール遅らせた? それはあなたとプロマネは言った その日の午後、三浦マネージャは何かの会議から険しい顔で戻ってくるなり、全開発メンバーを招集した。たまたま平良さんは私用のため、午後になってから出勤することになっていた。「知ってのとおり、スケジュールの... 2011/01/17 Comment(15)
高慢と偏見(8) 敵は身内にもあり 関東地方の梅雨入りが宣言されるころには、スケジュールの遅れが目立ち始めた。もともと遅れていたところに、三浦十字軍が襲来。誰も読まないドキュメント作成と、もはや三浦マネージャの独演会と化しつつあるコード... 2011/01/11 Comment(6)
高慢と偏見(7) 28日後…… 2週間ほど経つと、わたしたちの書くコードは、別の世界のプログラマが作っているのかと思うほど様変わりしていた。新部品調達システムのデータ構造そのものは、旧システムからそのまま引き継いでいるため、やや冗長... 2010/12/27 Comment(29)
高慢と偏見(6) いつかの誰かのためのドキュメント 三浦マネージャがプロマネになって2週間が過ぎた。表面上は、それまでと変わらない開発風景だったが、水面下では激しいゲリラ戦が繰り広げられていた。とはいっても、敵、つまり三浦マネージャだけが、それに気付い... 2010/12/20 Comment(6)
高慢と偏見(5) そして戦いがはじまる コードレビューという名の、三浦十字軍の暴走は続く。「......それから、210行めぐらいで部品マスタからデータ引っ張ってきてるけどね、ここで、PartsMasterGetterって使ってるね。これ何... 2010/12/13 Comment(9)
高慢と偏見(4) 嵐の金曜日 「56行めからの関数だけどね、selectPartsList()ってやつね。なんでこれ、privateになってるの?」「すみません、意味がよく分かりませんが……」富永さんは疲れたように言った。メソッド... 2010/12/06 Comment(20)