鼠と竜のゲーム(17) 個人情報流出 「2のワンペアで勝てるとはな」田嶋社長はそう言うと、会議室に揃った面々を見回した。ギャンブル好きの社長らしい言葉だが、その顔に浮かんでいるのは勝利感というより、戸惑いのようだった。ぼくたちは、サードア... 2013/01/21 Comment(12) 鼠と竜のゲーム(16) PING 五堂テクノロジーサービス、ソリューションデベロップメントDivisionの野崎Div長は、間断なく襲ってくる苛立ちと、心の一部を浸食しようとする不安の両方を押し殺しながら、来客スペースの椅子に座ってい... 2013/01/15 Comment(17) 鼠と竜のゲーム(15) レス・ザン・ゼロ 「……また機会あれば、よろしくお願いします」タカシは丁寧な口調で会話を終えて受話器を置くと、起こりえない奇跡を期待するかのように、しばらく電話機を見つめたまま顔を上げようとしなかった。有限会社アクアシ... 2013/01/07 Comment(4) 鼠と竜のゲーム(14) 隠された醜聞 大抵の会社組織にあてはまることだが、組織の規模が大きくなるにつれて「社外秘」と呼ばれる事項は増えていくものと決まっている。五堂テクノの場合、社外秘は大きく3種類に分類される。1つは内線番号表とか役員報... 2012/12/25 Comment(11) 鼠と竜のゲーム(13) 追跡 「とにかく、このままにしてはおけないな」田嶋社長は固い声で言った。「どうすればいいか、みんなの意見を聞きたい」翌日の20時過ぎ、ぼくたちは会議室に集合して、目下の事態を打開すべく対策を検討し始めた。参... 2012/12/17 Comment(8) 鼠と竜のゲーム(12) コードを見れば分かること 野崎が「LIBPACKRoomNo.2」のドアを開けると、室内で続いていたらしいなごやかな会話が、瞬時にピタリと途絶えた。開発ルームにいた7、8人のエンジニアが、一斉にドアの方を怯えたような視線を向け... 2012/12/10 Comment(26) 鼠と竜のゲーム(11) 拡散 うちの会社のように、特定の分野の業務知識が豊富なわけでもなければ、他社にはない技術力があるわけでもない小さなSIerが、継続した利益を出すためには、なんと言っても業界内のネットワークが頼りになる。ぼく... 2012/12/03 Comment(13) 鼠と竜のゲーム(10) 帝国の論理 株式会社五堂テクノロジーサービス、ソリューションデベロップメントDivisionの野崎Div長は、本社ビルの7階の通路を早足で歩いていた。普段は温和なその顔には、常にない険しい表情が浮かんでいて、すれ... 2012/11/26 Comment(11) 鼠と竜のゲーム(9) ネットの噂 ぼくがその記事に気付いたのは、気温が低下する気配すら見せないうんざりするような8月23日の朝だった。リブパック・クロラ関連は、Twitterでは、#libcrawlerのハッシュタグで共有されていて、... 2012/11/19 Comment(3) 鼠と竜のゲーム(8) リブパック・クロラ T市立図書館事件について、最初の数日間は続報を追いかけていたものの、少なくともネット上に目立った新情報が上がってくることがなかった。ネット上での議論も次第に沈静化していた。Twitterや、2chでは... 2012/11/12 Comment(4) 鼠と竜のゲーム(7) 起訴猶予 タカシのT署での生活は、当初の緊張感がすっかり抜け落ち、怠惰なサイクルで回っていくようになっていた。取り調べは相変わらず小林警部補によって続いていたが、双方ともに手詰まりといった感があった。警察側は新... 2012/11/05 Comment(15) 鼠と竜のゲーム(6) 接見、謎のコード、実況見分 裁判所で裁判官と面接するまで、タカシはまだ希望を捨て去ってはいなかった。検察が勾留請求を行ったとしても、裁判官にきちんと主張すれば、もしくは警察で自分の作成したプログラムの解析が完了すれば、T市立図書... 2012/10/29 Comment(3) 鼠と竜のゲーム(5) 消えたソース その日ぼくは、帰宅してからも、寝る前に何度かT市立図書館事件についての情報をネットで検索してみた。相変わらず、Twitterや2chにはさまざまな意見や憶測や非難の書き込みが続いていたものの、大手メデ... 2012/10/22 Comment(12) 鼠と竜のゲーム(4) 検察取調 これまでタカシは、自分が暮らしている国が、法治国家であるということを疑ったことはない。法を守り、きちんと税金を納めていれば、自分と家族の安全は法によって保護されているのだと信じていた。もちろん冤罪のニ... 2012/10/15 Comment(15) 鼠と竜のゲーム(3) 逮捕報道 ぼくの名前は井上ヨシオ。横浜市内にある小さなベンチャー企業、サードアイシステムに勤務している。25才、独身。趣味は映画と読書。最初からこの業界にいたわけではない。IT業界の悲惨な現実は耳にしていたので... 2012/10/09 Comment(10) 鼠と竜のゲーム(2) 取り調べ ワンボックスカーに乗せられて数分ほど経過したところで、ようやくタカシの動揺も静まってきた。同時に、寒気にも似た恐怖感が、実感となって身にしみてくる。まだまだ冷静な精神状態とはほど遠いものの、タカシは隣... 2012/10/01 Comment(8) 鼠と竜のゲーム(1) 家宅捜索 あなたはもう結末を知っている――T市立図書館システムにまつわる拙速な逮捕劇、そしてクロラ氏が最終的に名誉を回復したいきさつを。だが、あなたは発端――この事件の遠因となった1人の男の不可解な暗躍の理由を... 2012/09/24 Comment(20) 冷たい方程式(終) エピローグ 「亀井くん、辞めちゃったねえ」磯貝課長はつぶやいた。「もうちょっと残ってくれたらよかったのに」「そうですね」あたしは無難に応じた。2月4日、月曜日。新勤怠管理システムのカットオーバーの日だった。2月中... 2012/07/30 Comment(133) 冷たい方程式(28) ぼくたちの失敗 渕上マネージャは、その隣に立つ磯貝課長と、無表情のまま何事か話していた。あたしたちを見ると、2人は同時に口をつぐんだ。すでにデモは終了したようで、会議室には人気がない。渕上マネージャの姿を見た途端、亀... 2012/07/23 Comment(221) 冷たい方程式(27) この世界の片隅に マシンルームの奥、勤怠管理システムサーバが格納されたラックの前の床に、亀井くんはあぐらをかいていた。その目は、憑かれたようにサーバのHDDランプを見つめている。まるで、その点滅から有意の信号を読み取っ... 2012/07/17 Comment(112) 前のページへ 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 次のページへ SpecialPR
鼠と竜のゲーム(17) 個人情報流出 「2のワンペアで勝てるとはな」田嶋社長はそう言うと、会議室に揃った面々を見回した。ギャンブル好きの社長らしい言葉だが、その顔に浮かんでいるのは勝利感というより、戸惑いのようだった。ぼくたちは、サードア... 2013/01/21 Comment(12)
鼠と竜のゲーム(16) PING 五堂テクノロジーサービス、ソリューションデベロップメントDivisionの野崎Div長は、間断なく襲ってくる苛立ちと、心の一部を浸食しようとする不安の両方を押し殺しながら、来客スペースの椅子に座ってい... 2013/01/15 Comment(17)
鼠と竜のゲーム(15) レス・ザン・ゼロ 「……また機会あれば、よろしくお願いします」タカシは丁寧な口調で会話を終えて受話器を置くと、起こりえない奇跡を期待するかのように、しばらく電話機を見つめたまま顔を上げようとしなかった。有限会社アクアシ... 2013/01/07 Comment(4)
鼠と竜のゲーム(14) 隠された醜聞 大抵の会社組織にあてはまることだが、組織の規模が大きくなるにつれて「社外秘」と呼ばれる事項は増えていくものと決まっている。五堂テクノの場合、社外秘は大きく3種類に分類される。1つは内線番号表とか役員報... 2012/12/25 Comment(11)
鼠と竜のゲーム(13) 追跡 「とにかく、このままにしてはおけないな」田嶋社長は固い声で言った。「どうすればいいか、みんなの意見を聞きたい」翌日の20時過ぎ、ぼくたちは会議室に集合して、目下の事態を打開すべく対策を検討し始めた。参... 2012/12/17 Comment(8)
鼠と竜のゲーム(12) コードを見れば分かること 野崎が「LIBPACKRoomNo.2」のドアを開けると、室内で続いていたらしいなごやかな会話が、瞬時にピタリと途絶えた。開発ルームにいた7、8人のエンジニアが、一斉にドアの方を怯えたような視線を向け... 2012/12/10 Comment(26)
鼠と竜のゲーム(11) 拡散 うちの会社のように、特定の分野の業務知識が豊富なわけでもなければ、他社にはない技術力があるわけでもない小さなSIerが、継続した利益を出すためには、なんと言っても業界内のネットワークが頼りになる。ぼく... 2012/12/03 Comment(13)
鼠と竜のゲーム(10) 帝国の論理 株式会社五堂テクノロジーサービス、ソリューションデベロップメントDivisionの野崎Div長は、本社ビルの7階の通路を早足で歩いていた。普段は温和なその顔には、常にない険しい表情が浮かんでいて、すれ... 2012/11/26 Comment(11)
鼠と竜のゲーム(9) ネットの噂 ぼくがその記事に気付いたのは、気温が低下する気配すら見せないうんざりするような8月23日の朝だった。リブパック・クロラ関連は、Twitterでは、#libcrawlerのハッシュタグで共有されていて、... 2012/11/19 Comment(3)
鼠と竜のゲーム(8) リブパック・クロラ T市立図書館事件について、最初の数日間は続報を追いかけていたものの、少なくともネット上に目立った新情報が上がってくることがなかった。ネット上での議論も次第に沈静化していた。Twitterや、2chでは... 2012/11/12 Comment(4)
鼠と竜のゲーム(7) 起訴猶予 タカシのT署での生活は、当初の緊張感がすっかり抜け落ち、怠惰なサイクルで回っていくようになっていた。取り調べは相変わらず小林警部補によって続いていたが、双方ともに手詰まりといった感があった。警察側は新... 2012/11/05 Comment(15)
鼠と竜のゲーム(6) 接見、謎のコード、実況見分 裁判所で裁判官と面接するまで、タカシはまだ希望を捨て去ってはいなかった。検察が勾留請求を行ったとしても、裁判官にきちんと主張すれば、もしくは警察で自分の作成したプログラムの解析が完了すれば、T市立図書... 2012/10/29 Comment(3)
鼠と竜のゲーム(5) 消えたソース その日ぼくは、帰宅してからも、寝る前に何度かT市立図書館事件についての情報をネットで検索してみた。相変わらず、Twitterや2chにはさまざまな意見や憶測や非難の書き込みが続いていたものの、大手メデ... 2012/10/22 Comment(12)
鼠と竜のゲーム(4) 検察取調 これまでタカシは、自分が暮らしている国が、法治国家であるということを疑ったことはない。法を守り、きちんと税金を納めていれば、自分と家族の安全は法によって保護されているのだと信じていた。もちろん冤罪のニ... 2012/10/15 Comment(15)
鼠と竜のゲーム(3) 逮捕報道 ぼくの名前は井上ヨシオ。横浜市内にある小さなベンチャー企業、サードアイシステムに勤務している。25才、独身。趣味は映画と読書。最初からこの業界にいたわけではない。IT業界の悲惨な現実は耳にしていたので... 2012/10/09 Comment(10)
鼠と竜のゲーム(2) 取り調べ ワンボックスカーに乗せられて数分ほど経過したところで、ようやくタカシの動揺も静まってきた。同時に、寒気にも似た恐怖感が、実感となって身にしみてくる。まだまだ冷静な精神状態とはほど遠いものの、タカシは隣... 2012/10/01 Comment(8)
鼠と竜のゲーム(1) 家宅捜索 あなたはもう結末を知っている――T市立図書館システムにまつわる拙速な逮捕劇、そしてクロラ氏が最終的に名誉を回復したいきさつを。だが、あなたは発端――この事件の遠因となった1人の男の不可解な暗躍の理由を... 2012/09/24 Comment(20)
冷たい方程式(終) エピローグ 「亀井くん、辞めちゃったねえ」磯貝課長はつぶやいた。「もうちょっと残ってくれたらよかったのに」「そうですね」あたしは無難に応じた。2月4日、月曜日。新勤怠管理システムのカットオーバーの日だった。2月中... 2012/07/30 Comment(133)
冷たい方程式(28) ぼくたちの失敗 渕上マネージャは、その隣に立つ磯貝課長と、無表情のまま何事か話していた。あたしたちを見ると、2人は同時に口をつぐんだ。すでにデモは終了したようで、会議室には人気がない。渕上マネージャの姿を見た途端、亀... 2012/07/23 Comment(221)
冷たい方程式(27) この世界の片隅に マシンルームの奥、勤怠管理システムサーバが格納されたラックの前の床に、亀井くんはあぐらをかいていた。その目は、憑かれたようにサーバのHDDランプを見つめている。まるで、その点滅から有意の信号を読み取っ... 2012/07/17 Comment(112)