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第478回 キャリアとは変わって良いモノ、変わるモノ

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 キャリアといえば「ありたい自分の姿」や「なりたい自分の姿」をイメージされるのではないでしょうか。キャリコンではそれを明確にし、そこに行きつくためのキャリアプランを相談者と一緒に考えます。そうして、相談者がキャリアを実現できるよう支援していきます。

 しかし、このキャリアというのは手に入れたい自分の姿であり、今、自分の手の中にあるモノではありません。そう考えると、キャリアというのは不確実性の塊だったりします。そういった不確実性のキャリアについてどう向き合っていけば良いか、今回はそんなお話です。

■庸晃さんのコラムを拝見して

 このことを書こうと思ったのは庸晃さんのコラムを拝見したからです。まずはこちらをご覧ください。

理想の自分が自分を苦しめていた話(庸晃さんのコラム)

 いかがですか? 庸晃さんの想いが強く伝わるコラムだと私は感じました。庸晃さんは理想のご自身と現状とのギャップに悩まれ辛い想いをされています。しかし、ある時に理想の自分を持つことを止められることで気分が楽になり、復活されたそうです。

 このお話はとても示唆に富みます。

 ここでは庸晃さんのおっしゃる理想の自分をキャリアと見立ててお話ししますが、一見するとキャリアは自身の目指す目標になるため、モチベーションを上げることに繋がる反面、実現できないと自分を苦しめてしまいかねません。

 このような場合、一体どのように考えれば良いのでしょうか。ここでは2つのアプローチ方法をご紹介します。

■影響の輪にフォーカスする

 1つはキャリアに到達することに着目する考え方です。こちらは影響の輪にフォーカスします。

 影響の輪はこのコラムでは何度も出ていますが、7つの習慣に出てくる概念の一つです。詳しくはこちらをご覧ください。

第278回 7つの習慣のススメ3 -第1の習慣「主体的である」

 簡単に言えば、世の中の出来事は大きく2つに分けられます。1つは自分の影響を及ぼすことができるモノ、そして、もう1つは自分の影響を及ぼうことができないモノです。

 自分の影響を及ぼすことができるモノは「影響の輪」の中にあります。そして、自分の影響を及ぼすことができないモノは「関心の輪」に含まれます。この関心の輪の中に影響の輪が含まれています。

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 7つの習慣では自分が影響を及ぼせない関心の輪に意識を向けるのではなく、自分が影響を及ぼせる影響の輪に意識を向けることが大切だと説いています。そして、影響の輪にフォーカスし続けることで、少しずつ自分の影響の輪が広がっていきます。それはつまり、関心の輪の範囲にまで影響を及ぼすことができるようになるということでもあります。

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 これを先ほどのキャリアの話に当てはめて考えてみます。

 キャリアは自分の理想とする姿です。これは未来の自分を表しており、現在の自分ではどうすることもできません。そういった意味で、キャリアは関心の輪に含まれます

 一方、キャリアを実現するための具体的な行動(キャリアプラン)、これは現時点で自分が行うことできる内容ですので影響の輪に含まれます

キャリア・・・未来の自分の姿(関心の輪

キャリアプラン・・・現時点で自分が行うことができる具体的な行動(影響の輪

 つまり、キャリアを実現させるためにはキャリアのことをあれこれ考えていても実現はできません。それは関心の輪にフォーカスしているからです。関心の輪にフォーカスしていると色んな雑音が入ってきます。心が惑わされることもあるでしょう。しかし、それらは自分に何も生み出しません。そこにどれだけ力をかけても反応的な行動を生み出すことはあっても、主体的な行動は生み出しません。

 キャリアを実現するためにやるべきことは、今自分が何をしなければならないか、自分のやるべきことは何か、影響の輪に意識を向けるしかありません。そうすれば、どのような形であれ結果が生まれます。その結果が望む結果であればそのまま続ければ良いですし、想定した結果と違っていれば、そこで行動を修正します。そうして再び行動を続け、次の結果を生み出します。この繰り返しが効果性の高いキャリアを実現させる方法です。

■キャリアとは変わって良いモノ、変わるモノ

 そしてもう1つは、キャリアそのものを見直すことに着目する考え方です。

 そもそも、キャリアというのは一度決めたら変えたらいけないようなモノではありません。その時の状況、状態によって如何様にも変わります。

 理想の自分を追い求め続けることだけがキャリアではありません。理想の自分を追い求めることを止めた結果、新たな自分が生まれることだってある訳です。それが結果的にその人の人生を明るくすることだってあります。実はそれこそがその人の本来のキャリアなのかもしれません。庸晃さんの例でいえば、「自分に優しい自分でいること」が本当の意味での庸晃さんの理想とするご自身だったのかもしれませんね。

 過去の事実を変えることはできませんが、その事実の捉え方を変えることはできます。

 私たちにはどのような選択であっても、その選択を間違いとする自由もあれば、正解とする自由もあります。だとすれば、自分の考え方を変えることだってできるのです。理想とする自分すら変えてしまっても構わないのです。

 私も自分の考え方を変えることがあります。でも、その時は自分の選択が更に良い方向に向いたと考えるようにしています。その選択を選ぶ自由は私にはある訳ですし、そう思う自由が私にはあるからです。

 そして、その選択を選んだら、後は行動するのみです。それは自分の影響の輪にフォーカスすることであり、その積み重ねが結果として自分のキャリアを実現することに繋がっていくのではないかと考えています。

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