第477回 オンライン研修の方向性
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先日、7つの習慣研修をオンラインで提供させてもらいました。今回はテキストから何から全てオンラインで行う試みを実施してみたのですが、ある気づき発見がありました。
そこで今回は現状におけるオンライン研修の姿について考えてみたいと思います。
■オールオンラインで研修を行うとどうなるか?
私がオンライン研修を行う場合はZoomを使っています。その設定方法云々については過去のコラムでお話していますが、現状はこのような環境で行っています。
かいつまんでお話しすると、こんな感じです。
ビデオ映像...デジカメ+キャプチャーボード
音声...ピンマイク or 単志向マイク
スライド表示...バーチャル背景としてのPowerPoint※この他にもZoom特有の機能であるブレイクアウトルーム、投票、チャット、イマーシブビュー(没入型ビュー)などを使っています。
この方法にプラスしてトレーナー側はオンラインファシリテーション技法を駆使することでオンラインにおいても「場」をつくり出し、参加者のやる気を引き出し、研修に対して能動的に参加していただくような配慮をしています。
このオンライン環境はMicrosoft TeamsやGoogle Meetであってもそれほど変化はないと思います。ただ、どの環境においても1点問題になることがあります。それはテキストです。
これまでテキストの扱い方については色々模索していましたが、どのように扱うことが良いのかを決めあぐねており、ずっと紙媒体で使っていました。それを今回は試験的に電子ファイルで行うことにしました。
テキストには読み書きの要素が含まれます。また、利用するPCの環境は人それぞれであるため、誰にでも無償で使えるという前提が必要になります。それらの要件を満たすファイル形式を検討した所、今回はPDF形式を採用しました。
一般的にPDFファイルを開く場合、Adobe Readerを使います。しかし、Adobe Readerは主にファイルを閲覧することを目的としたアプリなので通常は書き込むことができません。しかし、PDFに「フォーム」を追加することでAdobe Readerを通してでも直接書き込むことができるため、今回はこの方法を使うことにしました。
これで、全ての環境がオンラインで行えるようになりました。それでは、実際に行ってみてどうだったか?
これは私個人の主観ですが、結果はあまり良くなかったです。というのも、参加者の作業導線が悪過ぎるのです。
オンラインで研修を行う場合、通常はZoomに向かいながら研修に参加します。しかし、そこにAdobe Readerでテキストを開いたり、書き込んだりするような動きを増やすとどうなるか。PCの画面サイズにもよりますが、両方同時に立ち上げておくことはほぼ不可能です。PDFで作業をする時はAdobe Readerを立ち上げ(アクティブにし)、トレーナーの話をする時はZoomを立ち上げ(アクティブにし)なければなりませんでした。
つまり、動き的にはZoomとAdobe Readerを行き来します。これまでZoomで研修に集中していたのが、今度はテキストを使うためAdobe Readerに目を向けます。そうしてテキストの作業が終わったら再びZoomに戻るのです。このような画面遷移は参加者の意識が散漫になったり、作業ミスを誘発する可能性が増えるため、私個人は研修には向いていないように感じました。
■オンラインとオフラインの長所を活かす
結局のところ、テキストだけは紙ベースの方がオンライン研修には向いていると思います。やはり、PCの画面領域で表示する内容はZoomに限定した方が意識の集中が図りやすいと感じました。何でもかんでもオンラインという考え方は少し違和感があります。
現状はオンラインであるZoomをベースに、オフラインである紙媒体のテキストを併用する方法が最適解だと考えますが、このやり方も将来は変わるかもしれません。ITの技術は日進月歩ですので、より良い方法が生まれた場合はそちらに移行する可能性は大いにあります。寧ろ、そんな時代になって欲しいとは思います。
私はこういった試行錯誤を行いながらオンライン研修を提供しているのですが、その目標はオンラインの研修においてもオフライン(集合)研修と同等の効果性を発揮することにあります。そこまで行きつくには道半ばですが、これからもあれこれ試しながら、新しいオンライン研修の形をつくり出していきたいと思います。