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第428回 ファシリテーションについて考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 Withコロナの時代になり、テレワークで仕事をされる方が増えてきました。そこで活躍するのがZoomなどのオンラインコミュニケーションツールです。これらを使ったオンライン会議などを体験された方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。このオンライン会議は結構便利で、PCの前に居ればいつでも会議に参加できますので、テレワークで仕事をするようになってオンライン会議が増えた方もおられると思います。

 私もオンライン会議をよく実施させてもらうのですが、その際ファシリテーターの役割を担うことが多いです。そこで、今回はZoomを使ったファシリテーションについて書いてみようと思います。

■ファシリテーションとは

 Wikipediaによるとファシリテーションとは以下のように定義されています。

ファシリテーション(英: facilitation)は、会議等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力のひとつ。(Wikipediaより)

 会議の進行させる司会者のような方が会議の参加者に発言を促したり意見を深めるなどをしながら議題を解決へと導くことで、この役割を担う人をファシリテーターと呼びます。一般的にファシリテーターは会議に参加することはなく中立の立場で会議を進行します。そのため、専門のファシリテーターを雇って会議を進行させる会社もあるそうです。

 Zoomを使ったオンライン会議の場合、「ギャラリービュー」といって参加者全員の映像が映し出されている状態で会議を行うことで、参加者の映像を見ながら会議を進めることができます。私がZoomでファシリテーションを行う場合、これがとても有効に働くと考えています。

■Zoomにおけるファシリテーション技法

 そもそも、会議においてファシリテーターが心がけなければならないことは何でしょうか? 私は、「議論の流れをつくること」だと思っています。議論の流れというのは、思考の流れといい換えても良いかもしれません。議題が提起された最初の状態からどうやって結論まで導くかをファシリテートするのです。一般的によく使われる手法としては、発散集約法といって、最初に議論を発散させておき、そこから考えを集約させた上で最後に結論を導き出すという方法です。

 そのためには、最初に議論を発散させなければなりませんので、参加者が発言できる状態をつくる必要があります。しかし、実際に会議を主催、もしくは参加されたことがある方はお分かりかと思いますが、誰しもが活発に意見を述べられる訳ではありません。積極的に話をされる方や発言権の強い方の意見が多くなってしまい、そういった方々が主導となる会議になってしまうことは多いのではないでしょうか。ファシリテーターはそのような会議にならないようにするため、参加者全員に目を向け意見を発散~集約させなければなりません。

 これは私の持論ですが、会議で発言されていない方は意見がないのではなく、「発言をしない」という選択をされた方なのだと思っています。その理由はいくつかありますが、

  • そもそも意見がまとまっていない
  • 自分の意見を言いたい状態になっていない

このような状態ではないかと思うのです。

 そのため、私は会議を行うにあたり、最初に2~3人一組で「ブレイクアウトセッション」という小さなグループを作り、そこで議題に対する考えを深めてもらうようにしています。しかし、その場はあくまで自分の考えを深めるだけの場なので、ほんの数分しか設定しません。数分にすると結論までは行きつくことができず、大抵は議論の途中で終わってしまうのですが、敢えてその状態をつくるのです。そうして、ギャラリービューにして全員に対して水を向けるのです。そうすることで一人一人が発言しやすい状況を醸成します。その上で、発言を求めるようにするのです。

 しかし、だからと言って「何か意見がある人はいませんか? 」などのようなファシリテーションをしてしまうと、先ほどお話ししたような一部の方しか発言しません。そのため、私は以下のようなファシリテーション技法を使っています。

  • 名乗り法
  • 指名法(代理指名法)
  • グルーピング法(逆グルーピング法)

 「名乗り法」とは文字通り参加者に自分から名乗り出てもらって発言してもらう技法です。この方法は参加者の自主性が高い場合に有効ですが、先ほどお話ししたように一部の人しか発言しないデメリットがあります。そのため、この方法を使う場合は会議の場が温まり、参加者が自由に発言できるようになった時に使うと有効です。また、名乗り法を使う場合「何か意見がある人はいませんか? 」のように漠然と訊くのではなく、「〇〇の件について違う意見のある方はおられませんか? 」のように具体的な質問にした方が発言しやすくなります。

 「指名法」とはファシリテーターが参加者を直接指名することで発言してもらう技法で、ファシリテーターが一番使う技法だと思います。ここで注意しておきたいのは誰に発言してもらうか? です。この辺はファシリテーターの腕でもありますが、なるべく全員に発言してもらうように仕向けることが肝要です。また、指名した参加者が発言できなかった場合はクローズドクエスチョンを使って思考の流れをサポートしたり、「〇〇さんの考えを補っていただける方はおられませんか? 」のように名乗り法を使って議論を進めていきます。

 「代理指名法」とは指名法の変形バージョンで、「〇〇さんに指名権を与えますので、答えて欲しい方を選んでください」のように参加者が参加者指名する技法です。この技法は参加者同士の流れをつくる効果があり、この流れができてくると参加者同士での発言が増えていき、議論が深まっていきます。

 「グルーピング法」とはある質問に該当する人をグルーピングし、そこから発言を求める技法です。例えば、「〇〇の経験がある方、挙手してください」と挙手を促しておき、挙手してもらって方の中から指名法などを使い、「それでは、〇〇さんにお話を訊かせてもらってよいですか? 」と繋げていきます。グルーピング法の特徴は自分と同じ意見を持っている人をグルーピングすることで意見を共有させやすくなります。

 「逆グルーピング法」はグルーピング法の変形バージョンで、グルーピング法で挙手しなかった人を狙って発言を促す方法です。「それでは、今手を挙げられなかった方は反対の意見をお持ちだと思いますので、その意見を教えてもらいましょう」のようにファシリテートします。効果はグルーピング法と同じですが、少しイレギュラー的な方法ですので、会議の流れを少し変えてみたい場合で動きをつける場合に使うと有効な方法です。

 実際には他にもいろんな技法はありますが、多くはこういった方法使いながら、会議を進めていきます。

■ファシリテーションのコツ

 私が会議ファシリテーションを行う上で考えていることは先ほどお話しした「議論の流れをつくること」ですが、これを実現させるために、このようなことを考えています。

誰かの考えを別の誰かが引き継いでも構わない

ということです。例えば、ある案がAさんから出てきたとします。その案はAさんが出したモノなのでAさんのモノだと考えがちですが、会議においては違います。Aさんの考えをBさんが受け継いで発展させても構わないのです。逆にCさんが逆説的な意見を述べることで議論の流れをつくっても構わないのです。このように会議においては一人で議論を完結させるのではなく、参加者全員で議論の流れをつくり出せるようにファシリテートすることが、ファシリテーターにとって大切なことだと思っています。

■ファシリテーターの役割は増えてきている

 テレワークになり、オンライン会議が増えてきたと思います。そうなると会議を効果的に進められるファシリテーターの役割は増えてきているように感じます。会議ファシリテーターにはたくさんの技法がありますが、それらは実践することで初めて身についていきます。

 これからの時代にはファシリテーターが求められています。もし、ファシリテーターに興味にがある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!

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