第466回 最近のオンライン研修事情
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
すっかりZoomを使ったオンライン研修ばかり行っています。先日も新入社員向け研修をすべてZoomによるオンライン研修で対応させていただいたのですが、色々と苦労しました。また、Zoomは頻繁にアップデートすることもあり、最近のZoomを使ったオンライン研修の方法も少しずつ変わってきています。そこで、今回はZoomによるオンライン研修の現状をご紹介いたします。
■Zoomに適した研修の形とは
元々、Zoomを使ったオンライン研修は集合研修の代替手段として考え出されました。しかし、それは集合研修の劣化版であるべきではなく、集合研修の進化版としてあるべきと考えを持っており、日々試行錯誤を続けています。そんな中、今回の新入社員研修では初めて集合+オンライン研修の形で行うことになりました。具体的には複数の場所に新入社員が数十名ほど集まっており、その場所から新入社員一人ひとりZoomでオンライン研修に参加する形で行われました。
そもそもこのような形になった理由は大きく2つありました。1つは一か所の研修会場に大人数の新入社員を集めることができなかったため、複数の会場で実施することになってしまったということ。そしてもう1つは講師が1台のPCで全会場が見渡せるようなカメラを置く方法だと参加者の情報を把握することができなかったため、結局一人ひとりのPCを用意してそのPC上から対応せざるを得なかったということです。
この形は初めてだったのですが、実践してみてこの形はオンライン研修には向いていないことがわかりました。。。というのも、この形は講師がZoomでオンライン研修の体で対応しているにもかかわらず、新入社員は現場で集合研修になっているのです。そうすると新入社員は研修会場にある大きめのスクリーンから講師の姿を見ることはできるのですが、逆に講師からは現場の状況が良くわからないのです。現場の温度感も含め、現場がどのような状況になっているのかが講師側からは把握できないのです。これが一番の問題でした。それ以外にも研修会場に複数PCがあることでハウリングを誘発してしまっていたり、グループワークのために用意したブレイクアウトルームが、実際には現場で会話をしているのであまり意味をなさなかったりといった問題が出てきました。
結局、無事研修を終わらせることができましたが、集合+オンランの形は研修の体としては相性が悪いと感じました。何というか...集合とオンラインの悪い所が如実に出たように感じました。正直、これなら集合などさせずに全員オンラインの方がまだ良いのではないかとも思ってしまいました。。。
■Zoomのバージョンアップに伴う研修方法の変化
先ほども書きましたが、私はオンライン研修を集合研修の進化版であると捉えて日々模索しながら研修を行っています。Zoomに新しい機能が取り入れられると、その機能を試し有用であれば普段の研修に取り入れるようにしています。これまでの私のオンライン研修でのスタイルは過去のコラムで紹介させてもらいましたが、スライドの表示をZoomの複数画面機能を使いスライド+カメラのような表示方法にしていました。
しかし、この方法だと毎回複数のアプリと画面共有しなければならず、たまにCameraViewerがフリーズしてしまうため、もたつきが起こってしまうという問題がありました。
そこで、現在は昨年夏頃から試験的に導入された「バーチャル背景としてのPowerPoint」という画面共有の方法を使っています。
この方法の特徴はPiP(Picture in Picture機能:複数の画像を重ね合わせる機能)をZoomの機能として実装されているという点にあります。そのため、動作が軽く画面共有⇔ギャラリービューへの遷移が行いやすくなっています。反面、以下のようなデメリットもあります。
- PowerPointのスライドはアニメーションが使えない
- PowerPointのスライドは必ず1ページ目からスタートする
- これまでスライドの外にワイプを置いていたため、スライドの表示内容とワイプ映像が重なってしまう
この問題を回避するため、以下のような対応を取っています。
- アニメーション部分は複数のスライドで表示する方法に変更
- 画面共有をギャラリービューに変更するタイミングでPowerPointを分割し、複数のPowerPointを用意
- ワイプ映像が重ならないようにスライドの配置を変更
以前はCameraViewerという別アプリを使っていましたが、この方法だとZoomのみで完結するので挙動も安定しており、動作も簡単なので現在はこの方法を使うようにしています。
■ここから先のオンライン研修の姿を考える
私はオンライン研修であっても集合研修以上の効果性を発揮させたいと思っています。そのためには今以上に講師側の表現方法を改善する必要があると思っています。例えば、講師側のカメラを複数用意し、表示位置を変えながら多面的に講師の姿を表示し、ライブ感を出しながら研修に参加してもらうようなことを実現していきたいと思っています。ただそのためにはスイッチャーや複数のデジカメなど機材をいろいろと揃えていかなければならず、まだまだ敷居が高いと感じています。
とは言え、去年の今頃から比べるとZoomを使ったオンライン研修のやり方は格段にブラッシュアップされていると思っています。今後も理想とするオンライン研修の姿が実現できるよう、トライ&エラーを繰り返しながら研修の効果性を高めていきたいと思います。その成果はまた折を見てご紹介させていただきますね。