第442回 オンライン面談や研修のコツ
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先週、平松さんのコラムを拝見させていただきました。紹介されている書籍は読んだことはないのですが、オンラインを使った面談や研修は日々行っており、私なりにノウハウが貯まってきていると思っています。そこで今回は私がオンラインの面談や研修で心がけていることを紹介させていただこうと思います。尚、私はオンラインの面談や研修ではZoomを使っていますので、その前提で書いています。あらかじめご了承ください。
■オンライン面談のコツ
まずオンライン面談からですが、私は相手には面談に集中してもらうことを考えて面談をするようにしています。そこで、以下のようなことを心がけています。
①ギャラリービューを使う
Zoomには「ギャラリービュー」という機能があります。これはビデオ画像をONにしている参加者全員が均等に表示される見え方です。基本的に面談は1対1で行いますので、ギャラリービューを使うと自分と相手が均等な大きさで見えている状態になります。Zoomはこれ以外に「スピーカービュー」といって発表者(スピーカー)や特定の人のビデオ画像を大きく表示するモードがあるのですが、私個人はスピーカービューよりギャラリービューの方をお勧めしています。
というのも、オンライン面談ではビデオに映るお互いの顔を見合って面談をしますが、この時、スピーカービューで相手の顔だけが映し出されている状態だと相手との距離感を感じづらくやりづらいのです。また、私自身が相手にどう見えているのかが分かりづらいという点もあります。
そのため、私が心がけているのは相手と自分のシルエットが同じ大きさで表示されるように自分の位置を調整します。こうすると、相手と自分が同じ距離感で会話ができるので私はやりやすく感じます。もしシルエットを合わせづらい場合は、少なくともこちらは相手との距離感を離さないようにするために、相手のシルエットより大きなシルエットになるよう調整します。
②面談者はバーチャル背景を使わない
バーチャル背景を使うとビデオ映像の背景に見せたくないモノを隠すことができるため、Zoomで使っておられる方を結構見かけます。ただ、私自身はバーチャル背景に否定的で、相手がバーチャル背景をセットしていると「何か見せたくないモノがあるのかな? 」と勘ぐってしまいます。。。そうすると面談にも集中しづらくなるので、バーチャル背景を使うぐらいなら、部屋を片付けて見られても困らない背景にしておいた上で面談をするようにしています。
③マイクに配慮する
マイクがあると自分の声が相手に聴こえやすくなります。また、雑音や生活音が入りづらくなるので、私は極力ヘッドセットで話すようにしています。ただし、こういったことはこちらが行うべきことであって相手には強要しません。あくまで、相手が面談に集中してもらうための配慮として行っています。
④リアクションは少しオーバーで
これは言わずもがなといった感じですが、オンラインでの面談は思った以上にノンバーバルである言葉以外の情報が意識が向きやすくなります。そのため、リアクションをオーバーにすることを心がけます。頷いたり、相槌を打ったりするのは勿論、OK、いいね(親指を立てるポーズ)、拍手などは積極的に使うようにしています。
⑤チャットを活用する
私は面談で意識しておきたい内容が出てきた場合は極力チャットに情報を流し込むようにしています。そうするとチャットがメモ代わりになり、空中戦になりがちな会話を地上戦に持っていくことができます。例えば、面談の目標、気づきの瞬間、これから取り組むことなど、こういったことをチャットに書き留めておくと、話の本筋からブレにくくなりますね。
⑥レコーディングは使い方を考える
Zoomにはレコーディング機能があります。これをつかうと音声データ(m4aファイル)と映像データ(mp4ファイル)を自動で作成します。面談での音声、映像データがあると後から見直すことができ便利なのですが、面談相手からすると面談内容をレコーディングされていると少し構えてしまう所もあります。
こういったこともあるので、基本的に私は使わないようにしているのですが、もし使うことになった場合、そのデータの使い道を明確にした上で相手にもデータをお渡しするようにしています。こうすると相手も面談の中身を振り返ることができ、好意的に受け止めてもらえるケースが多いように思っています。
■オンライン研修のコツ
次はオンライン研修についてです。Zoomを使った研修については過去のコラムに書いていますが、現在は少し内容をアップデートしてまして以下のようなことを心がけています。
①使用するツールはZoom+OBS Studio
色々とツールを試してきた結果、現在はZoomとOBS Studio(https://obsproject.com/ja)を組み合わせて使う方法に落ち着きました。OBS Studioとは様々な動画配信サイトに対応しているオープンソースによる動画配信ソフトです。これを利用するとZoomで色んな表現方法ができます。例えば、
- スライドに自分のビデオ画像をワイプ表示する(PiP機能と呼びます)
- スライド、自分のビデオ画像など、予め設定しておいたシーン(表示情報)を自由に切り替えて表示する
こういったことができるようになります。そのため、通常はスライドに私のビデオ画像がワイプ表示されている状態にしておき、要所要所で私のビデオ画像だけを表示したり、スライドだけを表示したりしながら、動きをつけて映像を表示します。
ただ、Zoomの制約上、背景にスライドを表示させる場合、解像度が低くなるのでちょっとした工夫が必要になりますが、そういった面を含めても、私はこの方法が私が想定する研修を行う上で一番適している方法だと考えています。
②できれば、スピーカーとコントローラーの2名体制で
オンライン研修をする場合、講師役と管理者役を分けた方がやりやすいです。講師役をスピーカー、管理者役をコントローラーと呼んでいますが、OBS Studioを使う場合、キャプチャーボードを使い、講師役のPCで表示させているスライド情報を管理者側のPCに取り込みOBS Studioで加工してZoomに表示させるようなことをするのですが、こうすることで、講師役はZoomに繋ぐ必要がなくなるので、単純に研修に集中しやすくなります。
③スライドの内容や要点はチャットに流し込む
オンライン研修で参加者の手元に教材やテキストがない場合、基本は画面を見ながら研修を受けることになります。そうした場合、画面に表示されている情報を取りこぼすことがあります。また、Zoomには少人数に分かれた部屋を作るブレイクアウトルーム(BoR)という機能があるのですが、例えば、グループワークをしてもらうためにBoRで部屋に分かれていただいた時に、グループワークで行う内容の説明が不十分だったとすると、何のためにBoRに分かれたのかが分からないことにもなりかねません。
そういったことが起こらないように、スピーカーが話した内容をチャットに流し込んでおきます。こうすると情報の取りこぼしがなくなるので、BoRに移動した場合でもそのチャット情報を見ながらディスカッションをすることができるようになります。
④カメラの効果的な使い方
先ほどお話ししたキャプチャーボードをうまく使うと、カメラを複数セットし用途に応じて切り替えて使うことができるようになります。例えば、ホワイトボードが映るようにWebカメラ(やデジカメ)をセットしておき、その映像をキャプチャーボード経由でコントローラーのPCに取り込むようにしておきます。そうして、ディスカッションが終わった後、発表してもらうシーンになった時にコントローラーがホワイトボードが映るカメラに切り替え、トレーナーが発表内容をホワイトボードに書き込むといった動きができるようになります。
■オンライン面談や研修の伸びしろ
オンライン面談や研修の環境は今年1年で大きく環境が変わってきたと思います。それまでオンライン面談や研修はどこか他人事のように捉えていた部分もあったかと思いますが、今やオンライン面談や研修が主流になっているといっても過言ではない状態まで来ているのではないかと思います。
そういった中で、私自身、オンラインで行う面談や研修が対面や集合で行う面談や研修に劣っていると考えるのが嫌で、最低でも同レベルで提供できることをずっと考え試行錯誤してきました。
今回ご紹介したオンライン面談や研修のコツは、私個人はある程度の形にまで仕上がってきたと考えています。しかし、恐らくまだ伸びしろはありやれることはあると思っています。
今後もオンライン面談や研修については今以上に効果が出る方法を突き詰めていきたいと思っていますので、有効な方法が見つかりましたらこの場で紹介させていただきますね!
コメント
ちゃとらん
毎週、楽しみにしております。
実は、Zoomを先週初めて使いました。まだ、音声とパワーポイントの表示だけだったので何とかなったのですが、今月中旬にはブレイクアウトルーム機能を使った全社的な技術発表会が控えています。スピーカーの話の内容とチャットの併用など、TVでいう所のテロップ機能みたいな使い方で、ちょっとやってみようかなという気になりました。
# 違ったらごめんなさい。初心者ですから。
まだまだ、使い方を理解していませんが、今後需要は大きく伸びると思います。
これからも、色々なテクニック情報を、期待しています。
キャリアコンサルタント高橋
ちゃとらんさん、
いつもコメントありがとうございます。
ZoomのBoR(ブレイクアウトルーム)機能ですが、BoRは独立した部屋になってしまうため、BoR後にメインルームや他の部屋からチャットで情報を送ることができない仕様になっています。
一応、BoRの各部屋にはメッセージを配信することもできるのですが、これが妙に見づらく、見落としてしまうことが多いような気がします。
そのため、あらかじめメインルームにいる時にBoRでやってもらう内容を参加者全員に対してチャットで流し込んでおいた上でBoRに進んでもらうと、BoRでの混乱が少なくなるように思います。
私がコントローラーをする場合、スピーカーや発表者の内容を直接チャットにタイプするようなテロップ的な使い方をすることもあります。ただ、これはコントローラー側のタイプ能力に依存するので、タイピングが早い人でないと難しいかもしれませんが、参加者にとっては話した内容が文字で表現されているので、理解が進むと思います。
もしくは、別の方法として、参加者の発表内容をチャットで流し込んでもらう方法もあります。こうすると、コントローラーがいちいちタイプする必要がないのと、参加者に動きをつけることができるため、参加者に参加してもらっている感を生み出すことにもつながると思います。
他にも色々テクニックめいたモノはあるので、また機会を見てお伝えさせていただきますね♪
ちゃとらん
詳しい説明ありがとうございました。
まだまだ不慣れなもので『使いこなす』所まで行ってませんが、こういうオンラインツールを全社的に進めていこう的な動きの速さに、結構驚いています。
コロナの影響がいろんな意味で、いろんなところに出てきているんですね。
これからも、色々なテクニック情報、期待しています。