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第441回 ジョハリの窓の開け方

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先週、Kyonさんのコラムを拝見させていただきました。そこにはある出来事についてジョハリの窓を使ったKyonさんのお考えが書かれていました。私もジョハリの窓の考え方は好きで良く使っているのですが、私とは違う視点で語られており軽く衝撃を受けました。。。そこで、今回はジョハリの窓について思うことを書いてみました。

■ジョハリの窓とは

 そういえば、ジョハリの窓について過去にコラムで書かせていただいたことがありました。

第200回 コラムを200回書いて気づいたこと

 今から4年ほど前のコラムでちょっと内容は古いのですが、考え方は今も変わっていません。以下、コラムからの抜粋です。

ジョハリの窓とは自分自身が分かっていることと分かっていないこと、他人からみた自分のことで知っていることと知らないことの組み合わせを図式化したモノで、以下のように呼ばれています。

  • 自分が分かっていて、他人も知っていること ... 開放の窓(開かれた窓)
  • 自分が分かっていて、他人が知らないこと ... 隠された窓
  • 自分が分かっておらず、他人が知っていること ... 盲点の窓(気づかない窓)
  • 自分が分かっておらず、他人も知らないこと ... 未知の窓(閉ざされた窓)

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 ここでのポイントは、それぞれの窓を間仕切っている線は動くということです。先ほどのコラムではこのように説明させていただきました。

このジョハリの窓の縦横の格子(図では赤と青の線)はそれぞれ右と下に動きます。例えば、自分のことをもっと他人にさらけ出すことをしていると、他人が知っている領域が増えてくるため、青い線は下に動いていきます。このことを「自己開示」と呼びます。

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同様に、他人から自分のことを教えてもらうことで、(気づきによって)自分が分かっている領域が増えてくるため、赤い線は右に動いていきます。このことを「フィードバック」と呼びます。

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 そして、このジョハリの窓について、私は以下のように考えています。

 このジョハリの窓にはいくつかの考え方があるのですが、自分が分かっておらず、他人も知らない「未知の窓」に新たな可能性が秘められているという考え方があります。この考え方では、この未知の窓を明らかにしていくことで新たな可能性が引き出されていくと考えられています。

 未知の窓を明らかにするためには、他の窓をの領域を大きくして未知の窓の領域を小さくしていけばよいということになります。そのためには、「自己開示」によって他人が知っている領域を増やし、「フィードバック」によって自分が分かっている領域を増やせば、自然と未知の窓の領域は小さくなります。

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■Kyonさんの事例を当てはめてみると...

 Kyonさんはオンライン研究会で発表される機会があったそうですが、その時に以下のようなやり取りがあったそうです。

その研究会の後、お知り合いの学会員Aさんから「次回の研究会で、一緒に発表しないか」というお誘いをいただき、快諾しました。発表というのは、あるテーマに基づいて調べたことや意見等をまとめて、ミニ研究論文みたいな形で、参加者に発表し、議論をするというものです。そのお誘いをいただき快諾した時にAさんが「その前向きな姿勢、いいね。」とお返事をくださりました。

私が注目したのは【前向きな姿勢】という言葉です。私自身は、何かチャンスがあったりすると「やってみよう」と行動を起こせるが、それは前向きということではなくて、ただレスポンスが良いだけ・行動する力があるだけだと自己分析していました。なので、それが【前向きな姿勢】だとは全く考えたことがなく、ごく軽い衝撃を受けました。

 この「ごく軽い衝撃」を受けられたKyonさんは以下のように結論づけられていました。

今回は、「開かれた窓」として自分では理解していたけど、異なる視点から見ると「気づかない窓」にも気付くことができました。

 私はこのケースを見てKyonさんは「自己開示」をされたのではないかと考えていました。先ほどの説明でいえば横の間仕切り線が下がるイメージです。Kyonさんは元々行動力があることを自認されています。しかし、それは他の人(ここではAさん)は知らない状態だったと思うのです。ということはその事象は「隠された窓」にある出来事だと考えました。それを発表会の場で自己開示した結果、隠された窓が開かれ、開かれた窓の領域が広がったのではないかと思いました。

 しかし、Kyonさんは逆で、AさんによってKyonさん自身のことに気づかされたとおっしゃっています。これは「フィードバック」にあたります。Kyonさんにとってオンライン研究会での行動はレスポンスが良い、行動力があるという認識で「前向きな姿勢」というのは意識はなかったそうです。それがAさんの「前向きな姿勢、いいね。」というフィードバックによって気づかれたので、この事象はKyonさんにとっては「盲点の窓(気づかない窓)」の事象だったのです。これは縦の間仕切り線が右に動くイメージです。KyonさんはAさんのフィードバックによって盲点の窓が開かれ、開かれた窓の領域が広がったのです。

■物事の捉え方は一つではない

 私が衝撃を受けたのは、「ジョハリの窓」というフレームワークで捉えた時に、ここまで真逆の考え方ができるのかということでした。私は私なりKyonさんの事例をジョハリの窓に当てはめていました。でも、Kyonさんの当てはめ方も確かにその通りなのです。これはどこに視点を置くかによって見方が変わった例だと思うのですが、私はKyonさんのコラムを見て、自分の考えの浅さを痛感しました。。。

 「世の中の出来事は見方によって180度変わる」と言われたりします。そういえば、7つの習慣にこんな言葉があるのを思い出しました。

人は物事を自分の見たいようにみている。

 正にその通りだと思います。そして、自分の見たいように見ることで、結果的に自分自身を縛っているような気もします。しかも、結構がんじがらめに。そういった束縛された考え方から解放されるような見方ができるようになりたいなぁと、Kyonさんのコラムを読ませてもらい、思いました。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

毎週、コラムを楽しみにしています。


なるほど、と今回も目からうろこが落ちた感じです。そういうとらえ方が出来るというのも、高橋さんが【前向きな姿勢】でおられるからだと思います。


所で、私は【後ろ向き】なので、あのお話で『他人が誤解している場合はどの窓かな?』と思っていました。Kyonさんのケースはよい意味で意見が一致していますが、論理的⇔理屈っぽいとかひつこい⇔粘り強いとか、本来の(ありたい自分=他人に判ってほしい自分)を誤解されている場合、開放の窓の『開放の仕方』が変わってくるんじゃないか、と思います。


この『開放の仕方』を間違えると、開放したつもりが『隠された窓=他人が誤解している領域』や『盲点の窓=自分が知らない所で他人に間違った評価をされる』を広げてしまうのかも…と考えてしまいました。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん、


コメントありがとうございます!


ツールの使い方は人それぞれでいいのかなと思います。
ちゃとらんさんがおっしゃるような後ろ向きな捉え方だったとしても、そこからどう使えば自分が幸せになれるのか? とか、失敗しなくなるのか? などを考えていけばよいのかなと思います。


ですので、ちゃとらんさんがお感じになられた方法で使い込んでいただくことが何より大切なことなのではないかと思いました。。。

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