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第200回 コラムを200回書いて気づいたこと

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 2012年から始めさせていただいたこのコラムも無事200回を迎えることができました。ここまで続けることができたのもコラムを読んでくださる読者の皆様、コラムニストの方々、ITMediaの歴代編集者さんなど多くの人と関わり合いをもたせていただくことができたからだと思っております。本当にありがとうございました! そこで、今回はコラムを200回書いてみて私なりに気づいたことを書きたいと思います。

■コラムを書くことのメリット

 コラムを書かせていただくきっかけは過去のコラムをご覧いただくとして、ここではコラムを書くことで私自身が感じたメリットとデメリットを考えてみます。

 まずメリットからですが、コラムニストというステータスがついたように思います。初対面の方とお会いした際にも「ITMediaさんでコラムを書かせていただいている」というのは一つのセールストークになっています。また、コラムを通じて知名度も上がっているようで、たまに「コラム読ませてもらってますよ」とお声がけをしていただけることもありました。これは私のような職種にとっては大きなメリットになりました。

 さらに、教育関係や出版関係など普段ではお会いすることすら難しい業界の方と知り合う機会ができたのも大きなメリットでした。特に出版関係についてはいくつかの出版社の方と実際にお会いさせていただくことができ、商業出版も実現させていただきました。そして、現在は2冊目の出版に向けて取組ませてもらっております。これらのことはコラムを書かせていただいていたからこそ、実現できたモノだと私自身は思っています。

 この出版に絡んでもう一つメリットがあります。それは、筆力が向上したことです。1冊目の本は出版社に企画書をもちこみ採用していただきました。しかし、商業出版では企画書が通ること以上に、筆力が求められることが大変であることを実感しました。一般的に出版で必要になる文字数は約10万文字を超えます。しかも、ただ単に書ければよいわけではなく、誰にでも分かりやすく、説得力があり、正しい文字の使い方がされている文章が求められます。こういった文章は普段から慣れ親しんでいないとなかなか書けるモノではありません。しかも商業出版の場合はここに納期が含まれます。そのため、もし私がコラムを書いていなかったら企画が通っても実際の原稿を書いている段階でNGをいい渡され、出版には至らなかったのではないかと本気で思っています。

■コラムを書くことのデメリット

 過去のコラムを振り返ってみると、私にとってコラムを書くことのデメリットはたった1つ、産みの苦しみだけでした。コラムのネタがあるなど書くことがあらかじめ決まっている場合は30分もあれば原稿を書き上げ、推敲まで終わらせることができます。しかし、最近はネタが浮かばないことが多くなり、なかなか手が動きません。キーボードに手を置いたまま1時間、2時間経つこともザラにありました。まさに産みの苦しみです。これがコラムを続ける上での唯一のデメリットでした。

 そこで、ある時期からネタが浮かばない場合はほぼノープランで原稿を書き始めるようにしました。頭を空っぽにして、手はキーボードの上に置いておきます。このようにしておくと、あるタイミングで手が勝手に動き出し、何かを書き始めます。私はそれを意識しないようにボーっと俯瞰しているようにみています。そうして、ある程度の文字量になってくると、徐々にコラムの中身が分かってきます。その段階でこれまで書いてきた文章のいわんとすることは何か? オチをどうするか? などを考え、文章の修正や肉づけをしていきます。実は最近のコラムはほぼすべてこの書き方で書いています。(今回のコラムもこの方法で書いています)

 そのため、今となってはほとんどデメリットを感じることなくコラムを書くことができているように思います。(こうなると、既にデメリットではなくメリットですね)

■ジョハリの窓で考えてみる

 ここまで考えてみて、ふとあることに気づきました。これって「未知の窓」を開いたのではないかと思いました。「未知の窓」とは心理学で有名な「ジョハリの窓」の中で表される一つの窓のことです。ジョハリの窓とは自分自身が分かっていることと分かっていないこと、他人からみた自分のことで知っていることと知らないことの組み合わせを図式化したモノで、以下のように呼ばれています。

  • 自分が分かっていて、他人も知っていること … 開放の窓
  • 自分が分かっていて、他人が知らないこと … 隠された窓
  • 自分が分かっておらず、他人が知っていること … 盲点の窓
  • 自分が分かっておらず、他人も知らないこと … 未知の窓

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 このジョハリの窓の縦横の格子(図では赤と青の線)はそれぞれ右と下に動きます。例えば、自分のことをもっと他人にさらけ出すことをしていると、他人が知っている領域が増えてくるため、青い線は下に動いていきます。このことを「自己開示」と呼びます。

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 同様に、他人から自分のことを教えてもらうことで、自分が分かっている領域が増えてくるため、赤い線は右に動いていきます。このことを「フィードバック」と呼びます。

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 このジョハリの窓にはいくつかの考え方があるのですが、自分が分かっておらず、他人も知らない「未知の窓」に新たな可能性が秘められているという考え方があります。この考え方では、この未知の窓を明らかにしていくことで新たな可能性が引き出されていくと考えられています。

 未知の窓を明らかにするためには、他の窓をの領域を大きくして未知の窓の領域を小さくしていけばよいということになります。そのためには、「自己実現」によって他人が知っている領域を増やし、「フィードバック」によって自分が分かっている領域を増やせば、自然と未知の窓の領域は小さくなります。

 私の場合、コラムを書かせていただくことによって、自分のことを他の方に知ってもらうようにしていました。これは「自己開示」にあたります。また、読者様、他のコラムニストの方々、編集者さんなどからいただく指摘によっていろんな気づきを得られました。これは「フィードバック」にあたります。この「自己開示」と「フィードバック」で私の未知の窓が開いたのかもしれません。その結果が先のメリットとして表れてきたように思います。

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■これからのこと

 今年の初めのコラムで「次のステップに進む! 」ことを今年の目標にしていました。この内容をずっと考えてきたのですが、最近自分の中で答えが出てきました。それはキャリアコンサルタントとして次のステップに進むことでした。

 具体的には、現在私は「熟練レベル」のキャリアコンサルタントなのですが、これを一段階上の最高位である「指導レベル」のキャリアコンサルタントまで引き上げたいと思います。そのためには国家資格の1級キャリアコンサルティング技能士をとる必要があります。しかし、この資格は国家資格の中でも相当難関の部類(合格率一桁台)でまだ全国に600名程度しかおられません。当然取得することも一筋縄ではいかないと思います。ですが、私自身チャレンジしたい思いが強くなってきましたので、これを目標として頑張ってみたいと思います!

 そして、このコラムはこれまでと変わらず続けていきたいと思っておりますので、ぜひぜひこれからもよろしくお願いいたします!

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