ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第631回 好きなことを仕事にするのは?

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 キャリアを考える上で好きなことを仕事にされる方がおられます。これはこれでアリだと思うのですが、一方でもう少し考えた方が良いかも、とも思ってしまいます。

 それは私が過去に好きなことを仕事にしたことがあり、それが自分にとって正しい選択だったのか疑問に残ったことがあったからです。そこで今回は好きなことを仕事にすることについて、私なりの考えを書きたいと思います。

■好きなことを仕事した時の思い出

 私はITエンジニアあがりですが、過去にゲーム開発業界にいたことがありました。当時、PlayStationやGameBoy Colorなどを開発している会社にプランナー(企画担当)として仕事をしていた時期が2年程ありました。元々、学生時代からゲームが好きでITエンジニアをやっている時にもいつかゲーム開発をやってみたいという想いが強く、一度ゲーム業界に転職しています。

 転職した当時は当然未経験なので全てのことをイチから学ばなければなりません。それでもゲーム会社に入社した当時は嬉しくてしょうがありませんでした。だって、大好きなゲームのことだけを考え、どれだけ面白いゲームを作れるか、そのことだけを考えて仕事をする毎日だったからです。

 当時、私がいた会社は今でいうブラック企業で月の稼働時間が400時間を超えるなんてことがザラにありました。基本はずーっと会社で寝泊まりをし、風呂に入りに銭湯に行く、着替えを取りに家に帰る以外はひたすら仕事だけをやっていました。傍から見るとそんな過酷に見える環境でも、ゲーム好きな人たちに囲まれて日々ゲームのことだけを考えて生活できるのは苦痛でも何でもなく、本当に楽しかったです。

 ただ、一方で職業病というんでしょうか、少しずつゲームを仕事の視点で見るようになってきていました。

「メッセージ表示の仕方、改行の位置がおかしいだろ」
「このドットの置き方が甘いなぁ、こっちの方がもっと見栄えが良くなるのに」
「このUIだとゲームの流れを分断してしまうんだよなぁ」

 要するに、他社さんが作られたゲームを知らず知らずの内に自分で批評するようになっていたんです。それがどのゲームにおいてもそうなってしまっていました。

 そんなことを考えるようになっていたある時、好きだったゲームを楽しんでいない自分が居ることに気づきました。

 そしてこの業界に居続けたら、自分がこれまで大好きだったゲームのことが、いつか好きじゃなくなるだろうな、そんなことばかりを考えるようになりました。そうして、その当時に作成していたゲームが完成した後、私はゲーム業界を去ることにしました。それは自分の中でゲームが好きであり続けたかったから、それを仕事にしちゃいけないと思ってしまったからでした。

■好きなことを仕事にするのは?

 そのせいもあってか、今でもゲームは大好きです。しかし一方で、もしあの時ゲーム業界から離れずずっと仕事を続けていたらどうなってたかなとも思います。ただ、私の場合はいくら考えても思いつくのはネガティブなイメージばかりでした。そう考えると、あの時にゲーム業界を去ることにした私の選択は間違っていなかったように思います。

 それじゃ、今やっている研修やキャリコン、人財育成コンサルの仕事は好きか? と言われると...、正直、好きでも嫌いでもないです。好き嫌いではなく自分に適性があると思っているのでやっている感じがします。勿論、仕事がうまくいくと楽しいし嬉しいです。でもそれってその仕事が好きだってこととは少し違うような気がします。私がこの仕事を長く続けられているのは、きっと好きでも嫌いでもなかったからかなと思うのです。

 好きなことを仕事にできることは幸せなことだと思います。ただしそれは、その好きがずっと続くのなら。

 私のように好きなことを仕事にしたことで、好きなことが好きじゃなくなってしまいそうになることもあります。私にはそれが嫌でした。

 だから、好きなことを仕事に選ぼうとされる人は、こういう可能性があるということを心のどこかに持っておかれた方が良いと思います。その上で、それでも好きなことを仕事に選ぶのならばそれはもうその人のキャリアです。そこから先はその選択が正しいかったことを自分なりに証明していくしかありません。

 そう考えると、好きなことを仕事にされている人って、本当にすごいことだなぁと思います。。。

Comment(2)

コメント

user-key.

私の場合、好きなことを仕事にすると、アクセルの立ち上がりや伸びは良いけど、ブレーキの利きが悪くなるんでどうしても事故を起こし(体を壊し)てしまいがちになります。
なんで、今は違う業界にいますが、やれIoTやスマート化等々足音は近づいて来ています。

キャリアコンサルタント高橋

user-key.様


コメントありがとうございます。
アクセルとブレーキの表現、わかりやすいです。
確かにブレーキの利きが悪くなるって感じがしますよね。。。


適度に距離を置きたいところですが…、現実はそうもいかないんですよね。

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