【小説 エンジニアの事故記録】第九話 放浪 「じゃ、私、帰るね」そう言うと、渚沙は車に乗らず帰ろうとした。「あ......ありがとうございます」幸一郎は渚沙に礼を言った。いつの間にか雨はやんでいた。今更、「車に乗ってください」とも誘い辛かった。... 2017/09/21 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第八話 事故処理 幸一郎から見て前方に停車していた車のバンパーは、微かに凹んでいた。人通りが多く徐行運転をしていたため、衝突時の衝撃はわずかだが事故は事故だ。幸一郎は追突事故を起こしてしまっていたのだった。何とぶつけた... 2017/09/15 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第七話 放置の君 一旦弱まった雨が少し強くなりだした。駅が近いのか車の量が多くなってきた。幸一郎はスピードを緩め渋滞の列の中ほどを、ノロノロ運転で進んでいた。渚沙が降りると言っていた角まで、あと300メートルほどある。... 2017/09/13 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第六話 嘘つき 「僕は君のことを......」「ガハハハハっ!!」突然、隣の席で大笑いが聞えて来た。「それでさ、俺がパワハラだろって言って、部長のやつをぶん殴ってやったんだよ!そしたら何て言ったと思う?」「えー?なに... 2017/09/08 Comment(6) 【小説 エンジニアの事故記録】第五話 告白 幸一郎は百本の薔薇の花束を、自信たっぷりに渚沙に差し出した。渚沙はそれを受け取るのをためらったようだが、すぐに失礼と思ったのだろうか、戸惑う素振りを見せながら両手でそれを受け取った。まるで腫れ物にでも... 2017/09/06 Comment(2) 【小説 エンジニアの事故記録】第四話 100%の愛情 幸一郎と小山は自分の席がある四階の開発室を出ると、階段を上り五階のサーバ室の扉の前に立った。サーバ室にある開発サーバや、遠隔地にある本番サーバに接続できる保守端末はお客の資産である。そのため、ここに入... 2017/09/01 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第三話 cron念のため 幸一郎は今日の午後6時、職場の近くのフランス料理店「マイフレンチ」で渚沙と会うことになっている。店には渚沙の返事が出席OKだろうがNGだろうが構わずに、数日前から予約を入れて置いた。人気店なので当日予... 2017/08/29 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第二話 3-4x 液晶テレビには、夏の甲子園出場をかけた県予選の決勝戦が放送されていた。「江戸川個岩高校」と、小山と幸一郎の母校である「大都会西高校」の甲子園出場が決まるかどうかの大一番だった。3-0で迎えた九回裏。母... 2017/08/25 Comment(0) 【小説 エンジニアの事故記録】第一話 一目惚れ ブロンズ情報システムが請負っている「婦人服通販・売上管理システム」開発プロジェクトは、ここのところエンジニアによる事故が続いていた。操作ミスで設定ファイルの権限を変えてしまったとか、リリースしたプログ... 2017/08/21 Comment(0) 【小説 愛しのマリナ】第十五話 挑発からの挑戦状 意表を突かれた森本は、目が点になっている。「明日、お前の漫画を見せてみろ」それを聞いた森本は、一瞬迷ったような顔をした。「何だ?俺に評価されるのが怖いのか?漫画ってのは皆に読まれてナンボだろ?」敢えて... 2017/03/07 Comment(4) 【小説 愛しのマリナ】第十四話 漫画家志望 「何言ってるんですか!?ちゃんと仕事してるし揉め事も起こしてませんよ」電話越しに社長の怒鳴り声を聞いた慶太は、ウンザリした。大方、荒川のやつがクレームを入れたのだろう。荒川は自分のやり方を無視して、開... 2017/03/03 Comment(4) 【小説 愛しのマリナ】第十三話 勇者はHPが3回復した! 開発会議の席で、荒川リーダーが全体のスケジュールについて話した。「皆さんのプログラミングと単体テストのスケジュールが遅れています。来週の結合テスト開始に向けて土日を潰して頑張っていただきます」これで土... 2017/02/28 Comment(2) 【小説 愛しのマリナ】第十二話 五月雨の変更依頼 「何?この長い髪の毛?」響子は真里菜のものと思われる長い一本の黒髪を、右手の人差し指と親指でつまみ、慶太の顔の前に持っていった。「誰の?」押し殺したような声で問い詰める響子に、慶太は自分でも驚くほど落... 2017/02/24 Comment(0) 【小説 愛しのマリナ】第十一話 もしも、奥さんがエンジニアだったら もともと、慶太の妻である響子は、勝ち気で男勝りのところがあった。デートの場所も、結婚式場も、住む家も、慶太の意見を訊かず、全部自分で決めてしまった。慶太は、なんでも決めてくれる響子と一緒に居て始めは楽... 2017/02/21 Comment(2) 【小説 愛しのマリナ】第十話 プロジェクトはみんなでやるもの!? 「おい、森本は何で帰って行ったんだ?」荒川は慶太に問い掛けた。進捗率が80%になった進捗管理システムの画面を見せた。「すごいじゃないか、80%って」そう言うと、まだ疑うのかsvnにチェックインされた森... 2017/02/17 Comment(2) 【小説 愛しのマリナ】第九話 「え!? もう帰るの!?」 「えっ!?そうなんですか!?そういえば、昔は大人しい人だったんですよね」「まあ、私が外から見た感想だよ。実際話したことがあるわけじゃないけどさ。毎日見掛けてると、様子を見ただけで今日はどんな感じか分か... 2017/02/14 Comment(0) 【小説 愛しのマリナ】第八話 進捗率ほぼほぼ0% 早速開発が始まった。二人に割り振られた仕事は、前任者が作りかけていたプログラムとそのテストだった。慶太は逃亡者の分を。森本は急病で離脱した者の分を。それぞれがどれだけ進捗していたかで、慶太たちの負担が... 2017/02/10 Comment(0) 【小説 愛しのマリナ】第七話 将来の夢 「美味しい!」慶太は思わず声を上げた。妻はそれを微笑んで見ている。「今日ね、友達と会うの」響子は突然言った。「前の職場の人なんだけど、仕事のこととか話すの」そう言うと、味噌汁を啜った。慶太はやはりこの... 2017/02/07 Comment(2) 【小説 愛しのマリナ】第六話 勤続二十年 ビルの外まで追いかけようと思ったが、街の雑踏に紛れた土田を探す暇は無いと思った慶太は、開発室に戻ることにした。不意に尿意を覚えた慶太は、エレベータホールの横にあるトイレに寄ることにした。トイレに入ろう... 2017/02/03 Comment(0) 【小説 愛しのマリナ】第五話 逃亡者 エレベータを降りた慶太は、実際の作業場所がどこにあるのか訊かされていないことに気付いた。そう言えば、面談を担当した荒川は作業場所がどこかということを具体的に慶太に伝えていなかった。どこに行くべきか迷っ... 2017/01/31 Comment(0) 前のページへ 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次のページへ
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【小説 愛しのマリナ】第十五話 挑発からの挑戦状 意表を突かれた森本は、目が点になっている。「明日、お前の漫画を見せてみろ」それを聞いた森本は、一瞬迷ったような顔をした。「何だ?俺に評価されるのが怖いのか?漫画ってのは皆に読まれてナンボだろ?」敢えて... 2017/03/07 Comment(4)
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