第735回 前提構造理論(OST)のススメ14・補足3 上昇/同位/下降CARスパイラルと構造エネルギー
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
OSTのススメも14回めになりました。今回の補足はCARスパイラルに関連するお話として、上昇/同位/下降CARスパイラルと、それを方向づける構造エネルギーのお話です。
■CARスパイラルの方向性
OSTにおいてCARスパイラルというのは原理部に属する根本概念です。過去のコラムを引用しますね。
これは何となくイメージしやすいかなと思うのですが、例えば、何かしらの事象・事柄があります。私たちはその事象・事柄に対して何かしらの認知、つまり考えや感情などを持ちます。それが行動となって表れ、その行動が結果を生み出すってことですね。そして、行動はまた認知をアップデートしていく。このCARが循環することを「CARスパイラル(CAR Spiral)」と呼びます。
このCARスパイラルというのはいついかなる時でも循環しています。その循環の仕方がによって「持続型OS」になったり「更新型OS」になったりします。
「持続型OS」や「更新型OS」についてはこちらで説明させてもらいましたが、この「持続型OS」というのはCARが更新されず、同じ情報でCARが回り続けている状態、「更新型OS」はCARが更新され、新しい情報でCARが回り続けている状態のことでした。
このようにCARスパイラルは常に回り続けているものの、その回り方というのはその時々によって違います。それをあたかも外側から俯瞰してみると、スパイラルに向きがあるように見えます。この時、
- 上昇しているように上側に向かって循環している(ように見える)CARスパイラルを「上昇CARスパイラル」
- 同じ高さで循環している(ように見える)CARスパイラルを「同位CARスパイラル」
- 下降しているように下に向かって循環している(ように見える)CARスパイラルを「下降CARスパイラル」
と定義しています。
■上昇/同位/下降CARスパイラルと持続型/更新型OSの関係性
そうすると、上昇/同位/下降CARスパイラルと持続型/更新型OSにはこのような関係性が見られます。
ここで注意したいこととして、持続型/更新型OSはCARスパイラルを内側から見た状態で、前提構造が固定化されている状態、更新されている状態のことを表しています。
一方で、CARスパイラルはそれを外側から見た状態でどのような方向性でCARが回っているかを示しています。
つまり、持続型/更新型OSというOS類型は原因を表し、その結果として上昇/同位/下降CARスパイラルが表現されているということですね。
■結果指向マップ
ただ、この話をする上で一つ問題になるのが、
持続型/更新型OS、上昇/同位/下降CARスパイラルの考えは分かったけど、実際に今どの状態にいるのかよくわからない
ということが起こります。
これはもっともな話で、理論としての定義は良いんですけど、
「今、私は持続型OSなの?更新型OSなの?」
「私のCARスパイラルは上昇?同位?下降?どの方向を向いているの?」
ってことが実際には起こり得ますよね。
OSTではこれを視認化する方法として「結果指向マップ(Result Orientation Map)」というツールを用意しています。
この結果指向マップは本来、R介入であるREPのStepC「OA点検」で使われるツールです。
結果指向マップではOAの4つの要素(主体、指向、起因、範囲)を3つのレベルに分け、それをプロットしていきます。
この3つのレベルとは、以下のように定義づけられています。
LV1:未認識(Non-recognized)
結果が当該領域の条件として認識されておらず、更新材料として成立していない状態。 結果は出来事・感情・評価として消費されやすく、次の認知(C)へ渡る材料になりにくい。LV2:認識(Recognized)
結果が当該領域の条件として認識されている状態。ただし、認識されていても更新材料として成立しているとは限らない。結果は「そういう観点がある」として言語化されるが、次の判断前提(C3)の再選択に接続されずに終わることがある。LV3:成立(Established)
結果が当該領域の条件として認識されており、かつ更新材料として成立している状態。結果が次の認知へ引き渡され、判断前提の更新(または再選択)へ接続されうる。
このように定義して、結果指向マップのOA4条件を一つずつプロットしていくと何かしらの四角形ができますよね。この四角形のことを構造四角形と呼ぶのですが、この形を見ると欠けている角が明確になり、ここが欠損しているOA条件となります。
■構造エネルギーと上昇/同位/下降CARスパイラル
そして、ここからが今回の本題になるのですが、この構造四角形はもう一つ見方がありまして、四角形の面積の大きさを構造エネルギーとして表すことで、CARの方向性を定義づけることができるようになるんですね。
考え方としては、構造四角形の面積が極大(すべての角がレベル3に近い場所にある)状態というのはCARが更新される状態、つまり、上昇CARスパイラルを意味しています。
一方でレベルが1に近い極小の構造四角形というのはOA更新が成されない下降CARスパイラルになります。
そして、その中間である構造四角形がレベル2の中程度に収まっている四角形は同位CARスパイラルになります。
これらをまとめますと、
上昇CARスパイラル:面積が十分な大きさを持つ(LV3に近い)状態。 結果は更新材料として十分に回収されており、循環は拡張方向へ駆動される。
同位CARスパイラル:面積が中程度に留まる(LV2に近い)状態。 結果は認識されているものの更新には至らず、循環は同位に留まる。
下降CARスパイラル:面積が不十分な(LV1に近い)状態。 結果回収の経路が遮断され結果が消費されているため、循環は縮退方向へ進行する。
このようになり、結果指向マップで表される構造エネルギーの大きさ(=構造四角形の面積)によって、CARスパイラルの向きが分かるようになっています。
■OSTの深淵部
OSTではC、A、Rの各介入(CUP、TVD、REP)には前提構造を可視化するツールを用意しています。これまでA介入であるTVDで行動の前提構造(AS)を可視化するツールとして「行動ポジションマップ」を紹介させてもらいましたが、今回はR介入であるREPで結果の前提構造(OA)を可視化するツールとして「結果指向マップ」を紹介させてもらいました。
実は結果指向マップや構造四角形あたりのお話は結構OSTの中ではかなり深い部類かなと思っています。
本来、R介入において結果指向マップはとても重要な位置づけではあるものの、その概念の理解はOSTの考え方を理解していないと分かりにくいので、普段はあまり説明しないことが多く、このススメの中でR介入でREPをご紹介した時も結果指向マップについては触れませんでした。
ただ、今回お話ししたように、OSTの重要概念である持続型/更新型OSやCARスパイラルの方向性を可視化する有用なツールでもあるかなと思っていますので、今回補足という形でご紹介させてもらいました。
次回はC介入であるCUPで使われるツールとして「認知前提マップ」がありますので、そちらのお話をさせてもらいますね。