第741回 話がちゃんと聞けてないなぁと思ったとき
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
仕事をしていると、相手の話に正しく反応できていないときってないですか。相手の求めている答えと違うことを返しちゃうみたいなことって誰しもあると思います。
そういうとき、相手から「いや訊きたいことはそうではなくて...」のように言ってくれればまだいいのですが、そうでない場合はどこまでも話が噛み合わなくなってしまったりします。
今回は相手の話をちゃんと聞くために必要なことは何かを考えてみます。
■自叙伝的反応
まず私がパッと思い浮かぶのは自叙伝的反応ですね。これは過去コラムでも何度かお話ししている内容ですが、7つの習慣に出てくる考え方です。以下、過去のコラムを引用します。
自叙伝的反応というのは、自分の過去の経験、つまり「自叙伝」を相手の話に重ねてしまう反応のことで、
- 評価する(相手に同意するか反対する)
- 探る(自分の視点から質問する)
- 助言する(自分の経験から助言する)
- 解釈する(自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する)
という行動を指します。これらは私たちが普段から行うごく一般的な反応で、特段悪い訳でもありません。だから、誰もが普通に行っていますし、勿論私もやっています。
しかし、この自叙伝的反応をすると「まず理解に徹し」という相手の話を理解することができなくなるのです。だから、第5の習慣を実践する時には徹底的に自叙伝的反応を抑えて会話をしなければなりません。しかし、そこを明確に意識しておかないと自叙伝的反応はついつい顔をもたげてしまいます。
簡単に言うと、自叙伝的反応というのは相手の話を自分の見たいように捉えるということですね。
間違っていただきたくないのは、別に自叙伝的反応は悪い訳でも何でもないです。ごくごく一般的な反応です。しかし、あくまで自分視点の物の見方なので自分にとって都合の良い反応してしまうという特徴があります。これが物事を正しく捉えられなくなるということに繋がっていきます。
■OST的に見ると
OST的に見ると、これは認知の前提構造(C3)で説明ができます。C3についても過去のコラムがありますので、そちらを一部引用します。
同じ出来事が起きても、人によって捉え方、つまり認知は違いますよね。例えば、仕事の締め切りまで残り一時間という状況で、
「もう1時間しかない」
と焦る人もいれば、
「まだ1時間もある」
と余裕にしている人もいます。
この捉え方の違いってどこから来るのでしょうか?
この捉え方の違いは、性格や能力などの差ではありません。せっかちな性格の人であっても「まだ1時間もある」と捉えることもありますし、能力が高い人であっても「もう1時間しかない」と捉えることがあります。
この捉え方の違いは出来事(=事柄)をどのように捉えるのかという頭の中で無意識に動いているフィルターがあるからです。このフィルターこそが前提構造で、認知に働く前提構造ということで認知の前提構造(C3)と呼びます。
(中略)
認知の前提構造は3つの要素が組み合わさってできています。
Context:全体
Cause:因果
Criteria:基準Contextとは、事柄を「どこまでの範囲で捉えているか」という全体像を示す要素です。
例えると、これはスマホの地図アプリのズーム機能のようなモノです。目の前の作業(=現在地)だけを拡大してみているのか、それともプロジェクト全体(=大きな地図)まで引いてみているのかの違いです。この全体像がズレていると、今本当に何を優先すべきかが正しく把握できず、局所的な対応になってしまいますね。
Causeとは、事柄が「なぜ起きたのか?」「この先どのようなことが起こるのか?」という原因と結果の繋がりを示す要素です。
これも例えるなら、お客さんから突然、「納期を1週間早めてほしい」と依頼されたといった事柄が起こったとしましょう。これに対して、単なるお客さんのワガママなんだと捉えるのか、それとも、お客さんも厳しい状況に追い込まれているからなんだと捉えるのかの違いです。この例は原因の方に向けていますが、当然ここから繋がる結果もあります。こうした因果関係の捉え方がズレていると、どれだけ努力しても的外れな対処(場当たり的な行動)を繰り返してしまいます。
Criteriaとは、事柄が「何をもって正しいと判断するか」その基準を示す要素です。
これも例えてみると、今行っている仕事について、「ミスをしないこと」が正しいのか、「納期を守ること」が正しいのか、「相手に喜んでもらうこと」が正しいのか、その人なりの正しさを表す要素です。この価値基準が設定されていないと、いつまでも手直しを続けたり、人によって判断がブレたりして、判断が迷走してしまいます。
OST的に考えると、相手の話した言葉がありますよね。それ自体はただの言葉なので、それ自体には何の意味もありません。上の例で言えば「1時間」という情報です。これをOSTでは外的事柄と呼びます。
この外的事柄を私たちがどのように捉えるかがContext(全体)、Cause(因果)、Criteria(基準)という3つの要素(C3)です。
このC3を1つずつ見ていくと、その人なりの捉え方が見えてきます。例えば、さっきの「1時間」という外的事柄に対して、仕事が失敗できないというCriteria(基準)、仕事が遅れているというCause(因果)があったとします。こういう前提があると、この人は「もう1時間しかない」と考えてしまいますよね。つまり、話が聞けていないなぁというときは必ずそうならざるを得ないC3の状態があるはずです。だから、話が聞けていないと感じたとき、自分のC3がどうなっているかを紐解いていくと、なぜそのような捉え方をしてしまっているのかがわかってきます。
■捉え方を可視化しよう
こうしたC3は認知前提マップというツールを使うことで可視化することができます。
自分の捉え方が可視化できると、自分の考えを客観視したり、自分の考え方のクセのようなものが見えてきます。そうすることで、偏った捉え方をしていることが分かってきますので、興味のある方はぜひ使ってみてくださいね。