第736回 前提構造理論(OST)のススメ15・補足4 認知前提マップと構造三円交差
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
OSTのススメも15回めですね。今回のお話は前回からの続きで認知前提マップに関するお話です。
■認知前提マップとは
認知前提マップ(Cognitive Premise Map)とはCUPにおける認知の前提構造(C3)を可視化するためのツールです。CUPについては過去のコラムで紹介していますので一部抜粋します。
C介入は認知更新プロセス(Cognitive Update Process:CUP)と呼びます。CUPは基本的に統合型CAR介入プロセスを踏襲するのですが、これをC介入に当てはめると以下のようになります。
StepA:C3の特定
StepB:一点特定
StepC:一点更新
StepD:再選択この流れで進みます。
本来、認知前提マップはこのStepAのC3の特定で使われるツールなんです。ただ、認知前提マップは少し扱いが難しいので、この時は紹介せず、別の方法でC3の特定を行う方法をご紹介していました。
そんな認知前提マップは以下のようなツールです。
特徴的なのはC3の各要素(Context、Cause、Criteria)がそれぞれ同心円状に表示され、等間隔に配置されています。この同心円の大きさは3段階になっており、大きくなればなるほど、その要素は他の要素と統合しやすくなります。この3つのレベルは以下のように定義されています。
Stage1(Isolated:孤立):
当該要素の円がもっとも小さい状態。他要素から浸食されない発生源(核)として独立しているが、他要素と重なっていないため、認知の基盤として孤立し、結びついていない状態。
当該C構造要素が表出している状態であり、状況に応じて変動しうる状態である。この状態にある要素は認知生成に関与するが、その関与は不安定であり、他の構造要素の影響を受けやすい。
Stage2(Structured:構造化):
円が中程度に広がり、他要素と接し始めている状態。論理的なつながり(構造)は見え始めているが、まだ強固な結びつきには至っていない状態。
当該C構造要素が構造化され、一定の安定性を持って認知生成に関与している状態である。この状態にある要素は認知生成の一部として安定的に機能するが、再構築可能性を保持している。
Stage3(Integrated:統合):
円がもっとも大きく拡張した状態。3つの要素が中央で深く重なり合い、不可分にガッチリと組み合わさった強固な認知基盤として「統合」されて安定している状態。
当該C構造要素が基盤状態として確立されている状態であり、認知生成の基礎条件として持続的に機能している。この状態にある要素は高い安定性を持ち、認知生成構造の基盤条件として作用する。
つまり、認知が立ち上がるというのは、C3それぞれの要素がレベル3で互いに統合し合い一つの認知になっている状態を指します。
下の図では青色のCauseのレベルが一番高くなっており、次に緑色のCriteriaが大きくなっており、一部重なっています。そして、赤色のContextはレベルが一番低く、他の要素と統合されていない状態になっていることが分かります。
このように、各要素の大きさを円で表示することによって、お互いにどの程度影響を及ぼし合っているか、認知がどのように立ち上がっているのかが分かります。この同心円の位置関係のことを構造三円交差と呼びます。
構造三円交差を見ることで、C3のどの要素が立ち上がっているのか、どの要素に欠損があるのかが一目で分かるので、CUPにおける認知の立ち上がり方を視覚化する際に使われます。
■3つのマップの意味
OSTはCAR、そして前提構造が中心となる理論です。そのため、OSTには前提構造を視覚化するためのツールとして、認知前提マップ、行動ポジションマップ、結果指向マップがあります。
それぞれ使い方は全く違いますが、これらはすべて目に見えない前提構造という存在をマップ上に配置することで視覚化することが狙いです。
私たちは常にCARが回っています。そのCARには前提構造が影響しています。この前提構造という存在を可視化することで、私たちは自分のCARをコントロールすることができます。
それは「変わりたいのに変われない」という現状を打破するために必須となるツールなのです。3つのマップはそのために存在しています。