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第734回 前提構造理論(OST)のススメ13・補足2 個人OSと組織OSの統合

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 今回でOSTのススメは13回めですね。前回から全体の補足というパートに入っており、今回はその2回めです。今回は個人OSと組織OSの統合についてのお話です。

■個人OSと組織OS

 OSTはその原理、構造を変えずに個人、組織の両方に適合させることができます。その辺のお話は過去にこちらのコラムでお話していますので、一部引用します。

この識別核は2種類存在します。それはコア・パーパスとコア・フィロソフィーです。

  • コア・パーパス...個人における識別核
  • コア・フィロソフィー...組織における識別核

OSTは原理理論ですが、これを個人、組織といった相反する状態を同一の構造で説明しています。個人であれ、組織であればどちらも同じようにCARが回りますし、その前には同じように前提構造があります。これ自体は何ら変わりません。
しかし、その中の認知の仕方、行動の立ち上げ方、結果の回収方法、これが個人と組織では明確に違います。その理由は識別核が違うからです。

 このように識別核はそれぞれ専用のCAR(個人用、組織用)で回り続けます。この個人で回るCARのことを個人OS、組織で回るCARのことを組織OSと呼びます。

 CARや前提構造という構造自体は同じでも、その識別核によって、それが個人、組織いずれにも適合させられるという考え方です。

■個人OSと組織OSの統合

 この個人OSと組織OSという考え方があると、こんな疑問が浮かびます。

組織と個人の識別核が違う時はどうすればいいの?

 これ、実際によく質問されることなんですが、個人OSというのはコア・パーパスを元にしてその人自身の三前提構造が立ち上がります。一方、組織もコア・フィロソフィーを元にその組織の三前提構造が立ち上がります。これら識別核は理想でも目標でもなく、その人や組織そのものの姿を表しています。だからこそ、組織の掲げるコア・フィロソフィーと個人の持つコア・パーパスが噛み合わないということは現実的に起こります。

 OSTはこの問題について明確な答えを持っています。

 前提として、OSTでは、個人OSと組織OSが直接つながる(統合される)ことはありません。また、組織の考えに個人を同化(屈服)させたり、逆に個人の考えに組織が合わせたりすることもありません。両者が接合されるのは、お互いのOSから出力された「認知(状況の捉え方)」の水準においてのみです。

 少しわかりづらいかもしれないので例でお話ししますね。

 ここでは、組織に新しいマニュアルを導入したいと考えています。この時、担当者Aさんのコア・パーパスはこうでした。

「目の前の顧客の悩みに、とことん寄り添うことを大切にする」

 一方、Aさんの所属する組織のコア・フィロソフィーはこうなっています。

「効率的で均質なサービスで、より多くの顧客を救うことを大切にする」

 組織は「業務効率化のため、一律の対応マニュアル」を導入しようとします。これは組織のOSから生成された「認知(判断)」です。

 しかし、Aさんは個人のOS(顧客に寄り添う)を通して判断するため、「マニュアル通りの一律対応では、顧客に寄り添えない」という認知(反発)が生まれてしまいました。この状態は双方がそれぞれの識別核に照らして整合を取ろうとしているため、このままではお互い譲らず「平行線」になります

 この平行線を解決して実務を進めるためには、双方は相手の主張をまず「外的事柄」として切り出します。

 まずAさん側から考えてみます。Aさんは組織の「マニュアル導入」という外的事柄を受け取り、自らのコア・パーパスを絶対的な参照点として保持したまま、自らのC3(認知前提構造)をCUPを使って点検します。

Aさん:「マニュアル化(外的事柄)によって基礎的な対応スピードが上がれば、浮いた時間で『本当に困っている顧客により深く寄り添う時間』が作れるのではないか?」

このようにC3のContext(全体)Cause(因果)を自律的に調整し、新たな認知を立ち上げ直し(再選択)します。

 次に、組織側からも考えてみます。組織側も「Aさんの反発」を外的事柄として受け取り、CUPを使って自らのコア・フィロソフィーをベースにC3を点検します。

組織:「均質なサービス(効率化)の本来の目的は『顧客を救うこと』である。マニュアルで救えない例外的な顧客への寄り添い(Aさんの意見)を切り捨てることは、組織のコア・フィロソフィーとズレている」

このように、マニュアルの運用基準(Criteria)を自律的に調整し、新たな認知として立ち上げ直し(再選択)します。

その結果、

「基本はマニュアルで効率的に対応し、浮いた時間で例外的な顧客には個別対応をする」

という着地点に至ります。
これは、お互いが相手に無理やり合わせたのではなく、それぞれ独立した別々の識別核から自律的にC3を調整し、相手の外的事柄を矛盾なく処理できる形で新たな認知を立ち上げた結果、行動が一致した状態です。

これこそが、OSTにおける個人OSと組織OSの統合です。

■個人と組織の統合をOSTの視点で考える

 一般的に個人OSと組織OSがぶつかると、その力関係によって力の強い方が力の弱い方を飲み込むような動きになります。

 しかし、OSTでは個人OSと組織OSは同格であると考え、「片方の論理を、もう片方に同化・屈服させる強要する」ことを防ぐようにします。

 OSTは、この個人や組織の「らしさ(コア・パーパスやコア・フィロソフィー)」を守り抜いたまま、自律的な再選択によって個人と組織と同じ方向を向けるという、現実的で倫理的な接続の構造を提供しようとしています。

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