「思考は行動から生まれる」説。20年コードを書いて悟った、建設現場へ行くことの価値
「エンジニアの仕事は、快適なオフィスでエアコンに当たりながら画面に向かうことである」
もし昔の私がそう言っていたら、今の私(20年超のロートル)は当時の自分のキーボードを叩き割ってでも建設現場へ連れ出したいですね。今回は、ベテランと呼ばれる域に達したエンジニアが、あえてヘルメットを被り建設現場へ足を運ぶことで生まれる「圧倒的な希少価値」についてお話しします。
1. 「動くから、思考が生まれる」人間の本質
「しっかり考えてから行動しなさい」と言われて育った人は多いと思います。システム開発でも「完璧に要件定義をしてからコードを書け」と教わりますよね。
しかし、20年以上この業界にいて確信したのは「人間は思考するから行動するのではなく、行動するから思考が生まれる」ということです。
認知心理学で「身体性認知」と呼ばれる現象ですが、デスクで腕組みをして唸っても、脳内の既存データの「並べ替え」しかできません。しかし、実際にヘルメットを被り、土埃と重機の音に包まれる建設現場へ足を踏み入れる(行動する)と、脳がバグを起こしたように「あ、こここうすれば良くね!?」という新しい思考(閃き)が溢れ出すのです。
オフィスで「建設現場のペーパーレス化はどうすべきか...」と頭を抱えるのは、未定義変数を無限ループで回すようなもの。泥臭い現場へ「移動する」という物理行動を起こして初めて、思考の関数が実行されます。
2. 建設現場を体験したベテランが手に入れる「3つの超希少スキル」
IT業界で20年揉まれたエンジニアが「建設現場の実情」を肌で知ると、市場で圧倒的な差別化(希少価値)が生まれます。
分厚い作業手袋、直射日光で画面が見えないタブレット、電波が遮断される地下や鉄骨の陰。「画面の中しか知らないエンジニア」には絶対に見えない物理的な制約を最初から考慮した、真に使えるシステムを設計できるようになります。
「ITの理屈」を押し付けるのではなく、「現場の安全や大変さを分かってくれているITの人」という信頼関係(リスペクト)が生まれるため、導入時の現場からの反発が劇的に減り、愛されるツールになります。
職人さんたちが「いつものことだから」と諦めている潜在的な無駄(図面確認のための移動や紙の往復)を見つけ出し、感謝されるイノベーションを起こせます。
3. 現場で意識すべき「2つの観察ポイント」
エンジニアが建設現場へ見学に行く際、最初は以下の2つだけ見れば十分です。
- 「手」と「視線」を見る(身体的制約): 作業員の方々の両手は塞がっていないか? 「手が塞がっているならハンズフリーや音声入力か?」と一瞬で発想が飛躍します。
- 「ため息と往復」を見る(無駄の発見): 紙の図面を持ってプレハブ事務所と作業現場を何度も往復していたり、作業の手を止めてため息をつく瞬間。そこに最高のカイゼンネタが眠っています。
4. 「ベテランのIT技術」×「建設現場の泥臭さ」=無敵
若い頃は最新のフレームワークやAI技術を使いたがりがちです。しかし、ベテランが建設現場のリアル(ドメイン知識)を知ると、「これ、大掛かりなAIなんていらないな。QRコード1つで解決できるわ」と、最安・最短・最強の答えを一瞬で見抜けるようになります。
指示通りのコードを書くだけならAIが代行する時代です。しかし、「建設現場へ足を運び、汗と埃の中で物理的制約を感じ取り、現場で働く人の役に立つシステムを閃く」という芸当は、人にしかできません。
5. おわりに:キーボードから手を離して外へ出よう
もし「建設現場の見学に行ってみないか?」と言われたら、業務が押していても絶対に手を挙げて参加してください。
デスクの前で唸っていてもアイデアの神様は降りてきません。自分の足で現地に行き、職人さんの苦労を目の当たりにする「行動」を起こしたとき、あなたの脳内で最高の設計が組み上がります。
今回のまとめ
- 行動が先: 人間は動くから閃く。建設現場に行く行動そのものが最高のデバッグ。
- 希少価値の創出: 高いITスキル×建設現場のドメイン知識=他者には真似できない無敵のエンジニア。
- 結論: 画面の前の天才より、建設現場を歩くエンジニアになろう。
どこかで、エンジニアの価値を少しでもベースアップする手助けが出来てれば幸いです。