Human Hardeningの最初の稽古―「間」をつくる
昨日、私は「人間にパッチを当てることはできない」と書きました。
Human Hardeningとは、人間の弱さを取り除き、決して間違えない人をつくることではありません。自分の状態に気づき、立ち止まり、判断し、必要であれば助けを求め、失敗しても再び戻ってこられる力を育てることです。
では、何から始めればよいのでしょうか。
私は、その最初の一歩は「間」をつくることだと考えています。
間とは、何もしない空白ではありません。起きたことに即座に反応するのではなく、自分と出来事のあいだに、判断のための小さな空間をつくることです。
それは、わずか3秒かもしれません。
急ぎのメッセージを受け取ってから、リンクを押すまでの3秒。
警告を見てから、閉じるまでの3秒。
送金や情報提供を求められてから、応じるまでの3秒。
自分の間違いに気づいてから、隠すか伝えるかを決めるまでの3秒。
ときには、5秒、10分、1日、あるいはそれ以上の時間が必要なこともあるでしょう。大切なのは、その長さではありません。
刺激から行動へ、一気に進まないことです。
急ぎの依頼が届く。
焦る。
すぐに行動する。
攻撃者は、この流れを利用します。
急がせて、考える時間を奪う。
権威を示して、疑いにくくする。
恐怖、好奇心、善意、役に立ちたいという気持ちを刺激する。
しかし、そこで間をつくると、流れは変わります。
急ぎの依頼が届く。
焦りを感じる。
「今、自分は焦っている」と気づく。
一度止まる。
それから、どうするかを決める。
間をつくったからといって、必ず正しい判断ができるわけではありません。
それでも、判断しようとしている自分自身の状態に気づく機会が生まれます。
今、疲れていないだろうか。
急かされていないだろうか。
相手を失望させることを恐れていないだろうか。
役に立ちたい一心で、確認を飛ばそうとしていないだろうか。
知らないと思われるのが恥ずかしくて、質問を避けていないだろうか。
状況を判断する前に、まず「判断しようとしている自分」を見る。
落ち着いているときなら気づける違和感も、疲れや焦り、恐怖のなかでは見落としてしまうことがあります。同じ人であっても、その日の状態によって判断は変わります。
それは欠陥ではありません。
人間であるということです。
だからこそ、「止まって考えましょう」と伝えるだけでは十分ではありません。混乱のなかでも戻ってこられるように、間をつくること自体を練習する必要があります。
クリックする前に、一度だけ呼吸する。
急ぎの依頼に応じる前に、今の感情を言葉にしてみる。
取り消せない行動の前に、画面から手を離す。
違和感があれば、声に出してみる。
行動する理由を説明できなければ、誰かに確かめる。
どれも小さな行動です。
けれども、それを繰り返すことで、判断が揺らいだときに戻る場所になります。
Human Hardeningの最初の一歩は、攻撃の手口をさらに覚えることではないのかもしれません。
まず、自分に気づくこと。
体が緊張し、視野が狭くなり、考えることよりも先に行動することを優先し始めた、その瞬間に気づくことです。
間は、ためらいではありません。
弱さでもありません。
それは、人間が自分の判断を取り戻すための、意識的な空間です。
では、なぜこの練習が必要なのでしょうか。
攻撃者は、人間のどこを狙っているのでしょうか。
そして私たちは、攻撃の手口だけではなく、「攻撃によって動かされようとしている自分自身」に気づくことができるのでしょうか。
明日は、人間の弱さがどこで、どのように攻撃されるのかを考えます。
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