サイバー判断力のお稽古①

先日、ISSJ学会の秋講演会で岩崎氏の講演を拝聴しました。
その中で、まだ仮説の段階とのことでしたが、私は「業務知見の部分的喪失によるベンダーロック」という話にとても興味をひかれました。
なるほど、と思いました。
私は長く海外で働いてきました。
もちろん、ベンダーとはずっと一緒に仕事をしてきました。
そして、ベンダー管理についてもかなり厳しく叩き込まれてきました。
ベンダーは大切な仲間である。
しかし同時に、外部の存在でもある。
お互いの目的や利益が、常に完全に一致するわけではありません。
だからこそ、相手の専門性や利益を尊重しながらも、自分たち自身が状況を理解し、判断し、関係を管理できなければならない。
私はそう教わり、そう実践してきました。
ところが日本に帰り、外資系ではあるものの、かなり日本企業的な環境で働くようになって、不思議に感じる現象に何度も出会いました。
その一つが、
「ベンダー丸投げ」です。
まずベンダーありき。
ベンダーがいなければ状況が分からない。
なぜそうなっているのかも、自分たちでは説明できない。
自分たちの仕事なのに、自分たちだけでは俯瞰できない。
私はこれを、勝手に「日本企業七不思議」の一つだと思っています。
岩崎氏の講演を聞きながら、この現象が少し腹落ちしました。
業務の知見が、依頼する側ではなく、ベンダー側にだけ残っている。
つまり、仕事を任せ続けるうちに、自分たちの中から知見が少しずつ失われているのではないか。
文書化は、一つの解決策でしょう。
しかし、文書は更新しなければ古くなります。
そして、知識は持っているだけでは十分ではありません。
使わなければ、失われます。
岩崎氏は、これは手書きをしなくなると漢字が書けなくなることに少し似ているとおっしょいました。まさにその通りだなと思いました。
そして、ここでもう一つ思いました。
AIです。
AIの導入によって、この問題はさらに深刻になるのではないか。
これまでは、少なくとも知見はどこかの「人」にありました。
しかし、AIに任せる範囲が広がっていけば、
知識だけではなく、
「どう考えたのか」
「なぜそう判断したのか」
「どこで違和感を持ったのか」
「なぜそこで止まったのか」
という判断のプロセスそのものが、人間の中から失われていく可能性があります。
私はAIを否定しているわけではありません。
むしろ、かなり使っています。
ただ、私の使い方は、
まず自分で考える。
自分で書く。
自分でやってみる。
そのうえで、AIを壁打ちや修正のために使う。
というものです。
つまり、
私から始まり、私で終わる。
では、
AIから始まり、
AIに考えさせ、
AIに判断させ、
AIで終わる。
そんな使い方を続けたら、どうなるのでしょう。
判断力を身につける前からAIを使い始めたら。
判断力を鍛えることなく、AIを使い続けたら。
私は、ここにとても大きな問いがあると思っています。
そして、今まさに私が注目しているのが、
「サイバー判断力」
です。
私は、AI時代には、サイバー判断力を意識的に鍛える場が必要になると思っています。
そして、そのために私が考えているのが、
「サイバー判断力のお稽古」
です。
これは、従来のセキュリティ研修とは少し違います。
正解を教えることが中心ではありません。
まず、自分自身の判断に気づくこと。
そして、判断する前に止まり、間をつくること。
そこから始めます。
なぜなら、
気づかなければ、止まることもできない。
止まらなければ、考え直すこともできない。
そして考え直すことができなければ、よりよい行動を選ぶこともできないからです。
これは、従来のセキュリティ研修とは少し違います。
正解を教えることが中心ではありません。
まず、自分自身の判断に気づくこと。
そして、判断する前に止まり、間をつくること。
そこから始めます。
なぜなら、
気づかなければ、止まることもできない。
止まらなければ、考え直すこともできない。
そして考え直すことができなければ、よりよい行動を選ぶこともできないからです。
これから数回に分けて、
私が考える「サイバー判断力のお稽古」について書いていきたいと思います。
まず次回は、
「従来のセキュリティ研修やワークショップと、何が違うのか」
から始めます。
AI時代に、人間が判断する力をどう残し、どう鍛えていくのか。
私は、そこを考えていきたいと思っています。
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