第644回 理論や技法のつくり方
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私は自分なりのキャリア論や技法を幾つか考案し、それを実践で使ったり、研修や講座で提供させてもらっています。そうすると、たまにどうやって理論や技法をつくっているのかを訊かれたりします。そこで、今回は私が実際にやってきた理論や技法をつくり方をご紹介したいと思います。
■これまで開発してきた理論や技法
私はこれまでキャリア論を中心とした理論や技法を幾つか考案していますが、まずはどのようなモノがあるか、過去のコラムなどから簡単にご紹介します。
4Sコーチングは私がITエンジニア時代に開発したコーチング技法です。元々はある団体でコーチングを学んでいたのですが、それらを人に教える上で版権の問題などがありそのままでは教えることができなかったことと、私自身がコーチングを実践している中で自分なりに使いやすい方法に作り替えていった結果、全く原型がなくなってしまったので独自のコーチング技法として体系化したモノです。開発自体は今から20年以上も前になりますが、この4Sコーチングの開発が私の理論や技法開発のスタートになりました。現在は対話技法(ダイアログ・メソッド)にその考え方や理論を発展、吸収させています。
私が初めての商業出版を実現させたときのキャリア技法で、それまでのキャリコンの経験から1人でキャリコンができるような方法として構築しました。この内容を発展させたコンテンツを現在、厚生労働省認定国家資格キャリアコンサルタント更新対象講座として提供させてもらっています。興味のある方は以下から検索してみてください。
ひとりでできる!ITエンジニアのキャリアデザイン術 ~望みをかなえる「壁」の越え方(Amazon)
オンラインファシリテーション技法は私が会議やミーティングのファシリテーターを務める中でまとめた技法です。開発のきっかけは私がファシリテーターを多くやっていた時期にあるクライアントさんからそれらを技法としてまとめて講座として提供してもらえないかとご相談いただいたことがきっかけでした。今でも講座として提供させてもらっています。
現在、私のキャリア論の主軸となっている理論、技法です。ベースは4Sコーチングから来ていますが、その考え方を発展、昇華された内容になっており、4Sコーチングにはなかったキャリア論やコミュニケーション論の考え方やキャリコンを実践する中で得た経験などを多分に含み統合した内容になっています。
元は対話技法(ダイアログ・メソッド)の一部でしたが、汎用性を考慮しこれだけを切り出して独立した理論にしています。ベースは論理療法から来ており、私がキャリコンで論理療法を実践する中で独自に構造化した内容になっており、厚生労働省認定国家資格キャリアコンサルタント更新対象講座にもなっています。今、一番力を入れている理論でもあります。
私が講師系のオーディンションや商業出版にチャレンジした経験を元につくった理論で、自分のことを選んでもらうために必要なことをまとめています。今の内容になるまでに幾つかの変遷があるのですが、最終的な形態はシンプルな形になっており、私自身は今でも実践しています。
他にも細かなモノを含めるともう少しつくっているのですが、大体これらが私がこれまでに開発、考案してきた理論、技法です。
■理論や技法のつくり方
それでは、こうした理論や技法を私はどうやってつくっているのかをご紹介します。
1.理論や技法を学ぶ
ベースとなる理論や技法を書籍やネットの情報などで学びます。このとき、できる限りその理論や技法の考案者の文献を調べるようにしています。
2.実践のイメージトレーニングをする
次はその理論や技法をイメージで実践してみます。いろんなケースを想定しイメージトレーニングを行います。自分の中でこの作業は大体は1カ月程度は繰り返すようにしています。その理由は2つあり、1つは自分の中で理論や技法を使えるようにすること、もう1つは理論や技法の意図を自分なりに理解することです。
3.実践で使ってみる
イメージトレーニングで理論や技法を自分の手足のように使えるようなったら、それを実践の場で試します。そして実践後は自分なりの反省やフィードバックを必ず行います。この反省やフィードバックが問題点、気づきを生み出してくれます。
4.改善方法を考える
先ほどの反省やフィードバックで得た情報を踏まえ、もう一度理論や技法を読み返し、そこに答えがあるかを調べます。もしなければ、どうすれば問題が解決するのかを自分なりに考え、答えを出します。そうして、再びイメージトレーニングを行い、問題点が解決できているかどうかを判断します。もし解決できていなかったら再度考え直し、自分が納得いく答えが出るまで続けます。私の場合、この段階は紙に書いて行うことが多く、こうすることでアイデアが生まれやすくなったりしています。そして、納得の行く答えが出たら再度実践で使い、その結果を確かめます。これを結果が納得いくまでなども繰り返します。
■自分がやってきたことを形として残そう
私がこのように理論や技法をつくってきたのは、自分を表現する場をつくりたいからかもしれません。それは自分がやってきたことを形として残したいという想いからです。それが誰かの役に立つことができたとしたら、私にとってそれは最高に嬉しいです。
ひょっとしたらですが、現在あるたくさんの理論や技法は誰かの役に立ちたいと考えた数多くの理論家や実践家の結果なのかもしれません。
もし、私と同じように自分がやってきたことを何かの形として残したいと考えている方がおられましたら、ぜひ自分なりの理論や技法の作成にチャレンジしてみてくださいね!