第51回 四方山話(33) 選ばれる力
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
テレビや雑誌などをみていると、最近ブレイクした人を目にすることがあります。今回は、このようなブレイクした人からキャリアを考えてみます。
■ブレイクする人に共通するモノ
芸人さんしかり、アイドルしかり、スポーツインストラクターしかり、ブレイクしている人には何かしらのキッカケがあります。それは、M-1のようなコンテストで上位入賞することもあれば、誰かに才能を見いだされることもあります。口コミで広がる噂かもしれません。また、ブレイクしている人の話を聞いてみると、売れずに誰も見向きもされなかったときの苦労話をよく聞きます。
このようにブレイクしている人にはある共通するモノを持っていると筆者は考えています。それは、選ばれる力です。誰しも決して自分ひとりの力でブレイクすることはできません。その人の才能を認めてくれる人、その人の才能を他の人に広めようとしてくれている人がいるからこそ、それがブレイクという形となって表れてくるのです。このような選ばれる力ですが、筆者は3つの要素から成り立っていると考えています。
《選ばれるための3要素》
- 実力をつける
- 認められるための場に出る
- 辛抱強く続ける
実力をつけるとは、その人が売りにしている芸や技術となる力を身につけることです。実力がない状態でブレイクすることもありますが、大抵は一過性の流行りで終わってしまいます。そうならないためにも、実力をつけるということは、認められることにおいて一番必要な要素だと考えます。
認められるための場に出るとは、その人の存在を他の人に認めてもらうための場所に出ることです。どれだけ力を持っていても、それを他の人が目にすることがなければ、決してその人が陽の目を見ることはないでしょう。選ばれるためには選ばれる場所に出ること、これも必要な要素だと考えます。
辛抱強く続けるとは、実力をつけることや、認められるための場に出ることを続けることです。どれだけ実力をつけても、どれだけ認められる場に出ても、選ぶのが他の人である以上、選ばれる保証はどこにもありません。だからこそ、選ばれるまで辛抱強く続けることも必要な要素だと考えます。
■選ばれる力をITエンジニアの視点で考える
このような選ばれる力をITエンジニアに置き換えてみるとどうなるでしょうか。ちょっとやってみます。
《選ばれるための3要素をITエンジニアに置き換えてみる》
- 実力をつける ⇒ 業務遂行能力(設計スキル、技術スキル、業務知識など)
- 認められるための場に出る ⇒ 転職活動、査定考課、プレゼンテーションなどによるアピール、独自の活動(ブログや勉強会など)による情報発信など
- 認められるまで辛抱強く続ける ⇒ 実力をつける、認められるための場に出ることを続けること
こうやってみると、ITエンジニアが(何かしらのことで)選ばれるために必要なことは、他の職業とさほど変わりがないように感じます。しかし、ITエンジニアに対するキャリア・コンサルティングを行っていると、実力をつけることに終始しているITエンジニアを多くみかけます。自分自身の技術スキルを高め、よりレベルの高い仕事をしたいとの想いから実力をつようと考えることは間違っていないと思います。しかし、本来実力をつけることはよりレベルの高い仕事に就くというキャリアを実現する目的があります。その目的を達成するために、どうやって身につけた実力をアピールするか、そしてそのための努力を継続すること※も併せて考えなければならないと思います。
※努力を継続すること:実際には、結果が出るまで無期限で努力をするのではなく、ある一定の期間を決めて行い、その結果によって次の行動を決めた方が効果的な場合もあります。
■しかし、それでも選ばれないこともある。その場合は?
先ほども書きましたが、どれだけ努力し、がんばったとしても選ばれる保証はどこにもありません。それでも選ばれるためには、選ばれるための3要素を持ち続けるしかないのです。そのためには、その人の中に強力なモチベーションが必要になるでしょう。それでは、そのモチベーションの源はどこからくるのか? 筆者は、
- 目標となるキャリアで仕事したい
- 自分はそのキャリアに到達できる
この2つの想いから来ていると考えます。要するに、その人自身が「目標となるキャリアで仕事をしたい! 」「自分はそのキャリアに到達できる! 」をどれだけ信じられるかどうかだと思います。その想いが強ければ強い程、その人のモチベーションは高く保たれ、選ばれる力の3要素を持ち続けることができるでしょう。筆者も一キャリア・コンサルタントとして選ばれる力を得るために、これらの想いはずっと持ち続けたいと考えています!