ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第52回 四方山話(33) まだ本気を出してない人が本気を出すには

»

 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 最近、「いつやるの? 今でしょ! 」のフレーズが流行っていますね。筆者も過去のコラムで使わせてもらったこともありましたし、エンジニアライフでも話題になりました。ところが、ここの所、「俺はまだ本気出してないだけ」というフレーズもよく耳にするようになりました。そこで今回は、このフレーズについて感じたことを書いてみます。

過去のコラム:『第38回 四方山話(20) 水平思考のススメ2』をご参照ください。

エンジニアライフ:『月間エンジニアライフ(55)「いつやるの? 今でしょ!」が流行ったワケ』をご参照ください。

■「いつやるの? 今でしょ! 」の反語?

 筆者はよく知らなかったのですのですが、「俺はまだ本気を出していないだけ」というのは青野春秋さん原作の漫画のタイトルだそうです。それが、俳優の堤真一さん主演で映画化されることになり、徐々に(? )火が着いているようです。

 実は、最初にこのフレーズを聞いたとき、「いつやるの? 今でしょ! 」の反語だと思いました。目の前にやらなければならないことがあり、それとやるのはいつなのか? その問いかけに対して、今この瞬間にやろうとするのが「いつやるの? 今でしょ! 」であるならば、やろうとする時期を後伸ばしにするのが「俺はまだ本気を出していないだけ」だと思ったのです。その時は「うまいことをいう人もいるものだなぁ」としみじみ感心しました。ところが、この二つのフレーズには全く関連性がなく、たまたま同じタイミングで世に出てきたことを後から知り、何だか妙な偶然を感じていました。

■本気を出していない人が本気を出せない理由

 それでは、せっかくなので今本気を出していない人がどうやったら本気を出すのか? を考えてみようと思います。このような話をすると、「今本気を出せない人はいつまで経っても本気を出せないだろうに」といわれる人がいるかもしれません。その考えはもっともだと思います。ただ、それをいってしまうとコラムが進まないので、ここでは本気を出せない人の視点で考えてみることにします。本気を出していない人からすると、ひょっとしたら本当はこのような気持ちをもっているのではないでしょうか?

《本気を出せない人の気持ち》

  • 失敗したくない
  • 辛い想いをしなければならない
  • 面倒くさい
  • やり方が分からない
  • できないことを隠したい など…

 これを書いた筆者自身の気持ちが後ろ向きになるくらいネガティブな意見が出てきました。このような気持ちをもっている人が本気を出すには、このネガティブな気持ちを上回るほどの気持ちや動機が必要になってくるでしょう。しかし、それは人生感が180度ひっくり返るくらい相当な出来事でしょうし、そのような出来事がそうそう身の周りに振ってくるとは思えません。

 また、「小さくてもよいから最初の一歩を踏み出すことが大事だ! 」という考え方もあります。しかし、今本気を出せない人がどうやって最初の一歩を踏み出すことができるのか? 筆者は、その一歩にはその人が今まで生きてきた中での記憶や経験が凝縮されているように思います。ネガティブで固められた気持ちからその一歩を踏み出すということは、これまでの自分を越えることを意味します。そう考えると、その一歩を踏み出すことも相当難しいように感じてしまいます。

■まだ本気を出していない人が本気を出すには

 実はこの問題、問題の構造自体はそれほど難しいものではありません。

 人が行動を起こすためには、恐怖興味という二つの動機があります。恐怖とはある対象から遠ざかろうと行動すること、嫌なことから離れようとすることを表しています。その反対に興味とは、ある対象に近づこうと行動すること、やりたいことに近づこうとすることを表しています。まだ本気を出せない人の気持ちには、いくつかのネガティブな想いがあります。それらはすべて恐怖の対象となっていたため、本気を出すという行動から遠ざかったり、離れようとしてしまいます。

 それならば、何に興味を示せばこの人は本気を出すのか、どうすればこの人は自分から対象に近づこうとするのかを考えてみた方がよいと思います。例えば…、

  • ヒト(異性や憧れの人)
  • モノ(欲しがっている物)
  • カネ(お金)

などで釣ってみるのもアリかもしれません。「今度彼女を紹介するから! 」のような口車に乗せられて行動を始めるというのは、どこにでもある話です。しかし、それ以上に筆者は、

  • 本当に心の底からやりたいと思えること

 つまり、その人が本当に目指したいと思えるキャリアを探すことを勧めたいです。それは、自分の一生をかけてでもやろうと思える何かを探し出すことでもありますから、そう簡単には見つからないでしょう。だとすると、その人はいつまで経っても本気を出さないかもしれません。例えそうだとしても、筆者はその人に自分が本当に心の底からやりたいと思えることを探して欲しいと考えます。なぜなら、それこそがその人の本気を引き出す最善の方法だと思えるからです。

 今度、「俺はまだ本気を出していないだけ」を読んでみようと思います♪

Comment(4)

コメント

sh4rk3rs

> 今度、「俺はまだ本気を出していないだけ」を読んでみようと思います♪
>
「今度」と「おばけ」は出たことがない(笑)
いつやるの?今でしょ!

キャリア・コンサルタント 高橋

sh4rk3rsさま、

コメントありがとうございます!

ドキッ! 鋭いですねっ(汗

でも、実はこのコラムをアップした後、偶然以下のサイトを見つけて1話だけ読んじゃいました。

http://www.ikki-para.com/tameshi/oreha/index.html

このテイスト、かなり好きです♪

DEEP ACID

「本気出せ!」とか今の時代に根性論ですか?体罰肯定並みの時代遅れとしか思えません。こうしてうつ病患者が量産されていくのですね、やれやれ。

キャリア・コンサルタント 高橋

DEEP ACIDさま、

コメントありがとうございます。

コラムの記事は「俺はまだ本気を出していないだけ」と考える人が、どうすれば本気を出せるのかを考察したものです。
話の展開として本気を出す手段として興味を持つことからキャリアを考えることに勧めていますが、それは「本気を出せ!」と強制する内容ではありません。
ましてや、体罰を肯定するとか、うつ病患者を量産することを助長するつもりもありません。

もし、DEEP ACIDさまがそのような取り方をされたのであれば、それは筆者の文書力の問題だろうと思います。失礼いたしました。
よろしければ、上記の点を加味してお読みいただけると幸いです。

コメントを投稿する