元底辺エンジニアが語る、エンジニアとしての生き様、そしてこれからの生き方

生き様161. 技術と法律の話

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祝!3周年

本日9月1日にて、白柳のフリーランス生活が3周年を迎えました。
フリーランス生活の開始と同時に始めた本コラム。
記念すべき第1回目は2019年9月5日の公開です。
まぁ、大まかに「3周年」と言い張って良いでしょう!

3年の間、1日程度の遅れはあれども、休みは無しで続けてこられました。
1回だけ……「休み」というネタで書いたことはありますが……。
実際書いてるから休みじゃないヨッ!!

それもこれもひとえに読者の皆様のお陰……
と言いたいのですが、正直な所、読者の反響がそんなにないので……。
8割意地です。自分との戦いの成果です。
残りの2割がたまにくるコメントだったり、記事紹介のツイートです。

さて、無事に4年目を迎えて、大きく変わったことがあります。

白柳、引っ越しました

新年の抱負で高らかに宣言していた件です。
そして、その宣言を忘れてGW中に公開のコラム冒頭で匂わせていた件です。
前回、前々回の公開が金曜日になった理由の1つでもあります。

そしてその新居から、このコラムを書いています。
正確には、「新居に運び込まれたダンボールの隙間」で書いています。
かろうじて寝る所兼仕事スペースは確保しました。
風呂場まで荷物で埋まっているので、銭湯通いです。
キッチンはありますが、料理もできません。
そしてなにより、ダンボールが全く片付きませんっっ!!

物件探しや、引っ越しに関するアレコレは、次週以降にお話します。
今回は月初ですので、技術のお話をしましょう。


絵を描くAIサービス

最近、イラストを作成するAIサービスが2つ話題になりました。

1つは、OSSで「文字からイラストを作成するサービス」という『Midjourney』です。
使い方については、NoteやQiitaに記事があるので、探してみて下さい。
学習済みデータを含むOSSですから、当然ローカルで実行することもできます。
今回の本題ではないので、深掘りはしません。

もう1つは、「サンプルのイラストから、同系統のイラストを作るサービス」という『mimic』です。
ベータ版が公開され、炎上し、あっという間に非公開になったサービスです。
専門家ではないのですが、情報収集した範囲で、法律的な問題はなかったそうです。
それ以上に道義的な、「不正利用を懸念して」の声が影響していたと感じています。

mimicは、イラストレーターの支援を目的としたサービスでしょう。
ですから、サービスのメインターゲットであるイラストレーターの心情に寄り添った。
mimicの運営がこの様に動いたのは、すごく自然なことでしょう。


法律運用の仕組み

日本の法律は、基本的に「固い」法律です。
国家の理念である憲法が70年以上も変わっていない、と言うのは有名な話です。
それ以外にも、度々ニュースで見かける「決闘罪」は明治に制定された法律です。
なんと、刑法よりも古いのだとか!
一方、その刑法は、明治40年に制定されたものを、改定しながら使っているのです。
老舗の店の秘伝のタレみたいですね。

その法律ですが、書いてあることは結構曖昧です。
刑法は「○○したら罰金もしくは禁固刑」ぐらいのシンプルさです。
しかし、著作権法となると「著作権ってこういうものです」とか、「著作権はこんな感じで使えます/使えません」ぐらいのざっくり感です。

ですが、現実的にはもっと柔軟に法律が運用されています。
その秘密は、省庁の「省令」、裁判の「判例」や地方自治体の「条例」等です。
これらにより、実運用の想定例や事例を集めて、法律が運用されています。

その分かりやすい例は、ふるさと納税の返礼品でしょう。
ふるさと納税の根拠となる地方税法や所得税法には、返礼品の記載はありません。
返礼品の基準などは、現在は総務省からの通達等で運用されているようです。


デジタル化の遅れる法律

パソコン&インターネットが一般に普及しもう30年。
スマホ等のデジタルデバイスが1人1台の時代になって既に10年。
デジタル分野、無線分野に関する法律の整備は遅れています。

ドローンや自動運転については、かなり整った印象があります。
ビックデータに関する法律はありますが、個人情報を伴わない情報はまだまだです。
ですから、mimicのようなサービスが生まれ悪用された時に、どのようにして元のデータの著作者の権利を守るのか。
国内のサービスだけではなく、国外のサービスを利用した場合、国外からサービスを利用された場合等の対応など、対処・検討が足りていないと感じられる部分があります。

だからといって「法律で規定がないから全部NGにしよう」は乱暴です。
日本が規制で止まっている間に、諸外国では実証実験が行われます。
いずれ日本のサービスが開始される頃には、圧倒的なシェアを持っているでしょう。
かつてのWinny事件のように「包丁は人を殺せる、包丁を廃止しよう」ではいけません。
ただでさえガラパゴス化し遅れている日本のデジタル分野。
このままでは、益々化石化していくでしょう。

現行の法律は、悪用を防ぐ為に強固に作られています。
1900年代において、無線は国の重要なインフラでありました。
一部では、軍事・国防と結びつくものでもあります。
法律で強く規制がされているのは、当然と言えるでしょう。

しかし、現代においてWi-FiやBluetoothなど、個人利用するシーンが増えました。
IoT、すべての物がインターネットと繋がる時代に無線技術は根幹技術となります。
そのすべてを規制するのではなく、家庭利用・個人利用の範囲を広げる方向の法整備が必要ではないか。
そう考えています。


最後に

「汗をかく」ことを是とし、「手数を減らす」ことを悪とする。
「古く枯れた技術」が安心安全で、「最新技術」はセキュリティに問題がある。
「前例踏襲」していれば、問題が起きないから安心安全。
フロッピーディスクバンザイ!FAXバンザイ!
……日本の中央である省庁がこの対応です。
今更「デジタル庁」も20年遅い。

20年遅いのですが、これ以上手遅れにならないうちに……。
日本のデジタル&無線両分野の法整備が進むことを祈っています。

これから生まれてくる新しい技術やサービスを妨げないように。

以上!

Comment(4)

コメント

ちゃとらん

3周年おめでとうございます。


> 反響がそんなにない
というか、少なくとも私は楽しみに読ませていただいています。


> 日本のデジタル&無線両分野の法整備が進むことを祈っています。
本当にそう思います。法整備の遅れで、新しい技術が進まず、諸外国にますます後れを取ってしまうのは、人災ですから。


さて、そんな中、例の、誤字・脱字コーナーです。

>まだまだ検討・対処語りていない
 ⇒ まだまだ検討・対処が足りていない


> 20年襲いのですが、
 ⇒ 20年遅いのですが、

熱烈読者

3周年おめでとうございます。


私も楽しみに読ませていただいています。記事によっては何度も読み返したりしています。
ページアクセス以外には反響が分かるような反応はしていませんがーoー


>20年遅いのですが、これ以上手遅れにならないうちに……。
AIによる立法支援が進むと追いつけますかね。


引き続き、恒例!?の誤字・脱字コーナーです。
>法律が運用されています。b
 ⇒ 「b」は衍字(えんじ)?


>ビックデータ
 ⇒ ビッグデータ


>個人情報を伴わない情報はまだまです。
 ⇒ 個人情報を伴わない情報はまだまだです。


あるいはガラパゴス諸島のように魅力的で貴重な存在になるのもいいですねぇ。

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