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第551回 プロマネを日常生活に

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先週、PMBOK第7版のコラムを書かせてもらいましたが、今週もプロマネネタで行きたいと思います。今週はプロマネの適用範囲について考えてみました。

■プロマネとは何する人ぞ

 そもそも、ITエンジニアにおけるプロジェクトマネージャ、プロマネの役割はシステム開発プロジェクトなどの完遂の責任を負うことです。そのためにはプロジェクトを立ち上げ、計画を立て、実行しながらその実行具合を監視・コントロールし終結まで持っていきます。これはPMBOK第6版の考え方ですが、概ねどのようなプロジェクトであっても、このようなやり方でプロマネはプロジェクトを推進してきました。

 そして、このようなプロマネ的な仕事の進め方はシステム開発プロジェクト以外の現場にも落とし込まれています。例えば、管理職が組織を運営する場合。課長が部下に対して何かしらの目標を掲げ、その目標に対して計画を立て、その計画に基づいて実行するよう指示します。そうして、課長は計画通りに業務が推敲されるかどうかを日々チェックし、計画と実績との間にズレが発生した場合はそのズレを解消しようと対応策を取ります。これってPMBOK第6版が提唱しているプロジェクトマネジメントのやり方そのものです。

 勿論、実際にはPMBOKほど事細かな取り組みはされていないケースが多いとは思いますが、このようなプロマネ的な振る舞いをしながら仕事をされる管理職の方は多くいらっしゃるのではないかと思います。

■非プロマネ業務に目を向けてみると...

 しかし、その一方でプロマネ的な振る舞いをされていない管理職の方もおられます。私が過去に所属していた組織もコレに近かったような気がするのですが、その組織では大行程的なスケジュールはあるものの綿密な計画は立てられておらず、ある程度仕事の裁量が個人の自主性に任されていました。そのため、対応する人によって進め方は違うものの、特に大きな問題を引き起こすことがなければ管理職も仕事に干渉しないようなやり方で組織運営されていました。

 実際、私も納期さえ守れば上長から何も言われることがなかったので好きなように仕事をしていました。その当時は既にITエンジニアを引退しており、プロマネでも何でもなかったので、特にプロジェクトマネジメントを意識することもなく、自分の思うままに好きなように仕事をやっていました。

 その当時の仕事のやり方は、短い期間でのゴールを決めておき、そこに向かって作業を行います。もしそこで問題が発生したら立ち止まって解決策を考え、対応していきます。そうして作業が完了したら、そこでレビューなりを行い、また次の作業を行います。PMBOK第6版のようにガリガリに計画を立ててやることもできたのですが、そもそも計画を立てることに時間を割くことまでする必要性がなかったですし、最終的な納期に間に合わせればOKだったので、このように少しずつ作業を進めながら考える方が私には合っていたように思います。

 ちょうど今、PMBOKの勉強を深くやっているのですが、そんな中で先ほどの仕事を振り返ってみるとアジャイル的な仕事のやり方をしていたなぁと思いました。仕事の単位を小さく分け、仕事を進めながら考えていく。何か問題が起こったらその時点で最適な答えを導き出せるように考え、また進めていく。多少考え方の違いはあるものの、この組織で私がずっとやってきた仕事の進め方というのはPMBOK第7版の中核的な考え方であるアジャイルを踏襲していたことに、今更ながら気づきました。

■プロマネを日常生活に

 プロジェクトマネジメントというと、ITシステム開発や建築業界などで用いられる難しい考え方のようなイメージがあるかもしれません。

 しかし、その考え方は普段私たちの仕事の中に溢れているんじゃないかと思うんです。

 仰々しい計画は立てないけど、まずはやってみて、何か問題が起こったらそこで立ち止まって考え解決する。そうしてまた前に進んでいく。その繰り返しで一つの大きな仕事を仕上げていく、これはもうアジャイルの考え方に外ならないように私は考えます。アジャイルという考え方は一見するとややこしく、難しそうなイメージを持ちますが、実は普段から私たちの身の回りにあるモノの考え方のような気がします。

 そのように考えると、実はプロジェクトマネジメントというモノはもっともっと私たちの身近にあるモノなのかもしれません。

 別にアジャイルやプロジェクトマネジメントという言葉なんか知らなくてもいいと思います。そんな言葉を知らなくたって、普段の私たちの仕事の仕方はプロジェクトマネジメントの考え方を踏襲しているモノがたくさんあります。そうしたことを理解し、誰でも気軽に使えるようなプロジェクトマネジメントというのが、これからの社会では必要になってくるのかもしれませんね。

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