「技術バカ」といわれないために必要な「多神教」的思考
本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。
ここでは、編集部がおすすめするコラムを紹介しよう。「八百万の神」がいる国で働く技術者が持っておきたい心得、クラウドがIT業界にもたらす危機、インド式の実践術の3本を取り上げる。
- 八百万の神の国の技術者として
- 今そこにある危機~クラウドによって破壊されるもの
- インド式、学ぶ姿勢について(2)
お金の神さま vs 技術の神さま? 多様な考えを認める「多神教」的な考え方
ITエンジニア兼ITコンサルタントの林浩一氏による『ITコンサルタント宣言! ~MALTな日々』。コラム名をリニューアルして、「経営者と技術者の考え方」について考察している。
経営者は、利益追求を第一の目的とする。「過剰品質でコストを高くしても意味がない」「高い技術力よりも、それを組み合わせる企画力の方が大切」と考える人もいる。一方、エンジニアの多くは必ずしも利益を重視していない。「自分の技術を高いレベルに磨きたい。新しい技術に取り組みたい」「仕事のやりがいが重要で、お金をもらうために仕事をしているわけではない」と考えているエンジニアは少なくないだろう。
当然のことながら、両者の意見はなかなか相いれない。「さながら一神教と多神教の衝突のようだ」と、林氏は解説する。経営者や営業、コンサルタントなどの職種は、「利益追求」を絶対軸としている。彼らに「技術志向」で話をしたところで、勝ち目はない。では、どうすればいいのか。
「われわれは八百万の神を持つ、多神教の国だ。『お金の神 vs 技術の神』と対立をするのではなく、いろいろな神さまを広い心で認めていこう」と、林氏は呼びかける。DBチューニングの神、オブジェクト指向の神、SQLの神……いろいろな神がいるのだ。その中の1人として「お金の神」も認めよう。そうすれば、経営者やコンサルタントたちと渡り合えるエンジニアになれるかもしれない。
雲がもたらすのは、恵みの雨か破壊の雨か
粕谷大輔による『雲(クラウド)の隙間から青空が見えた』。クラウドコンピューティングが、IT業界にもたらすものについて考察する。
クラウド市場は年々規模が大きくなっている。一見、これは「雲がもたらした恵みの雨」だ、と粕谷氏は指摘する。
だが、クラウドは雇用環境を大幅に変化させた。少数のエンジニアによって複数のコンピュータを管理できるようになるということは、つまりは「これまで必要だったエンジニアがいらなくなる」ことを意味する。雲は、恵みの雨だけではなく、「雇用喪失」という破壊の雨をももたらしつつあるのであると、粕谷氏は主張する。
「練習⇒本番」ではなく「いつも本番」。インド式の実践術
ゾーホーで働くZohoチームが運営する『日印エンジニアによるSaaS型サービス「Zoho」の開発現場から』。インド式「学び」の思考とは、どんなものなのか?
現在インドで新人研修を受けている筆者は、インド人は「学びへの態度」が日本人とはまったく違う、ということに気が付いた。「まず練習があり、それから本番がある」という考えではなく、「目標達成のためにいま本番が進行している」という考えなのである。
初心者だからと気後れすることなく、とにかく実行してみる。「学んでから実践」ではなく「実践こそ学び」なのだ。彼らが持つ実践力とスピードに、学ぶものは多いかもしれない。
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