インド式、学ぶ姿勢について(2)
こんにちは、ゾーホージャパン新入社員の本田です。今回で2回目の投稿となります。前回の記事「インド式、学ぶ姿勢について(1)」の中でわたしは、「インド人エンジニアたちは質問者に対してとても寛容だ」と紹介しました。実はこれには、学ぶ姿勢の違いそのものがかかわっていると思うのです。
チェンナイオフィスで研修を受け始めてから3カ月。わたしが最も印象深く感じたのは、どうやらここでは「学び=実践」らしい、ということです。そうはいうものの、「実践の中で学ぶ」といったフレーズは、日本にいるころから幾度となく接してきたはずでした。もうとっくに使い古されたと思っていた言葉が、インドに来て研修を受けはじめた途端に生き生きと新鮮さを発揮し出したのです!
「一体なぜだろう?」
と考えたところ、自分の中には「まずは学んで、それから実行に移す」というパターンが根付いていることに気付きました。つまり、「実践で学ぶ」と言っても、細かく見ると
「学び→実践、学び→実践……」
の繰り返しという認識をごく自然に持っていたのです。ですから、自分が受けている研修についても「研修中はあくまで学んでいるだけ。本格的に仕事を始めるのは日本に帰ってから」という区切りを漠然とつけていました。
ところが、チェンナイオフィスではこの認識が通用しなかったのです……。
例えば、前回の記事で登場したインド人チームリーダー。彼はわたしが所属するマーケティングチームきっての実践主義者です。
「実践してこそ学びがあるのだから、考え過ぎずにとにかく動け!」
とは彼がいつもわたしにさとすところ。とはいっても、わたしはまったくの初心者なのだから、仕事に間違いがないよう最低限のことは知っておかないと、と説明すると、
「そういう時は、専門家の誰それがいるんだから、彼に頼って、お前は心配なんかしなくていい」とあっさり返されます。
こういうわけなので、「この仕事がやりたい」となれば、まったくの初心者にもかかわらず、驚くほどのスピードで物事が実行に移されるのです。研修社員なのだから、ここまでの権限しかない……などの枠は設けられていません。理由は、
「日本に帰ったらお前がマーケティングをマネジメントするんだろう? その練習を今やっているんだから!」
とのこと。練習の先に本番があるのではなくて、目標達成までの「本番」が「今」進行している、という考え方なのです。
最後にもう1つ例を。わたしが現在研修で担当しているのは、Zoho CRM(※)という製品です。チームに配属されたころはCRMについて右も左も分からなかったわたしですが、CRMに親しむにつれ、その設計過程がどうなっているのかに関心を抱きました。
CRMがビジネスをより良くするための手法であるからには、その設計過程でいろいろなビジネスモデルが想定され、綿密な設計が練られたに違いない、と思ったのです。そして、何を隠そう、Zoho CRMのシステムを設計したのは、われらがチームリーダー。わたしははじめ彼のことを、根っからのビジネスマンだと思っていたのですが、そんな彼から返ってきたのは意外な答えでした……。
「いや、自分は今でこそマーケティングチームにいるけど、もともとはエンジニアだ。当時は営業・マーケティングなんてやったことなかったし、そこまで深く考えたわけじゃないよ」
と。じゃあ、そもそも何で作ろうと思ったんだ!? と聞くと、
「他社のCRMシステムを見て、もっといいものが作れると思ったからだよ。チェンナイの開発オフィスでは、アイデアが出たらまず作ってみる。最初から完ぺきな設計なんかできないだろう。その代わり問題が出たらすぐに直すし、どんどん改良も加える」
とのこと。結局、良いと思えば初心者だなんだと気後れせず、まずは実行に移してしまうという彼らの気質を再確認することになりました……。
きっと、ベテランになっても「学び=実践」という感覚は変わらないのでしょう。だからこそ、常に新しいことに挑戦しようとする彼らの勢いは止まらないのだと思います。そして、問題が出たり、分からないことがあったりしてもすぐ解決できる、という自信は、すぐに手を貸してくれる多くの人材に裏打ちされているのです。
つらつらと書き連ね、とりとめがなくなってしまいました……。まとめに入りたいのですが、長くなるので次回に譲ろうと思います。ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございましたm(_ _ )m
(※)ちなみに、文章中で紹介したZoho CRMについては、こちらのリンクからホームページにお越しいただけます。
また、「CRMって何だ」と思った方もいるかもしれません。そういう場合はこちら (「CRM入門」)のページを参考にしてみてください。
以上です。ありがとうございました!