ご迷惑をおかけしました。なんて言葉はいらないーY君の脱走ー<評価分析のうち前編>
これまで3回にわたって、年末に起こったY君脱走事件について、事件のあら
ましと何故、事件が起こったの考察を二編に分けて書かせていただきました。
「ご迷惑をおかけしました。なんて言葉はいらないーY君の脱走ー<発端編>」
「ご迷惑をおかけしました。なんて言葉はいらないーY君の脱走ー<原因探求編>」
昨年末、カスタマーサービス担当のY君が依頼事項への対応をしてくれないと、
かかってきたクレームの電話を発端に、突然、会社を辞めると言い出すY君。
しかし実は別のお客様で、社内ルールに従わず未承認の見積書を提出し、それ
が発注にされたがために、発覚を恐れ受注を揉み消し。しかし自分では対応し
きれないため、納期が近づくと上長名で納期延長依頼の文章をでっちあげ提出。
それを二回も繰り返し、逃れなくなってきたことが判明。後始末に追われる中、
さらに噴出する問題の数々。
結局はすべてを放り出して辞めていったY君ですが、せっかくこの様な事件を
起こしてくれたので、後始末に奔走したメンバーの苦労が無駄にならないよう、
事件の原因を探して知見を抽出し、今後の改善につなげてゆきたいと思います。
前回の<原因探求編>にて、今回の事件の原因を以下に整理してみました。
①Y君の仕事に対するモチベーションやインセンティブの見誤り
②コロナ禍での業務形態の変更への甘さ
両方とも主語は「我々」としています。これは主語をY君にしてしまうと、す
べてがY君の責任になってしまって「我々の」将来に向けた知見にはならない
からです。Y君こそいろいろと考えてももらわないと彼の将来に不安を感じま
すが、それは、もうどうでもよい話です。
さて、①のY君の仕事に対するモチベーションやインセンティブについての考
察ですが、今回の事件を経験し、あらためて「我々は何のために働いているの
か?」という問いが思い浮かびました。そのプリミティブな回答は「生活やお
金のため」でしょう。しかし一方で人には「承認欲求」や「自己実現欲求」も
あり、それら達成に向けて仕事をしている人もいます。特に技術者はその傾向
がつよく、言われたものだけを作ればOKではなく、お客様に喜んでもらいた
い、難しい問題を解決したい、すごいものを作りたい、というモチベーション
で仕事をしているのではないでしょうか。
我々も開発メンバーとは、コードの先にはお客様がいて作ったものはお客様の
問題を解決するものでなければならない、という考えを共有していました。
幸いにも開発メンバーもそのこと理解してくれており、お客様の問題解決に向
けて(しんどいけど)開発の仕事をやってくれています。Y君も挫折したとは
いえ開発出身で、そのあとはカスタマーサービスという最前線でお客様と対峙
する役割を担い、最初は前向きに仕事に取り組んでいたので思いは同じだろう
と思っておりました。
しかし、親しいと思っていたお客様からの、彼は問題を解決してくれようとし
てくれない、という意見を聞いた時、もしかしたらY君の思いは別のところに
あるのではないかと思えてきました。いままで、彼が起こしてきた問題は単純
なミスであったりプライベートの問題で仕事に身が入っていないのだ、と思っ
ていたのですが、実はそうではなく、彼はお客様の問題を解決しようという意
識がなく、それどころかお客様に迷惑をかけてはいけない、ということすら希
薄であるため同じ間違を何度も繰り返すのではないかと。
図らずともその仮説は今回の事件で実証されます。Y君はお客様に喜んでんで
もらいたいとか、お客様の問題を解決したいとか、お客様に迷惑をかけたくな
いとか、そんな考えはありません。カスタマーサービスとして、お客様から言
われたことを、そのままこなすだけです。だから質や量において、自分キャパ
を超えてしまうと処理しきれなくなります。かと言って、自分の処理能力をあ
げる努力もしないし、効率のよいやり方に改善することもありません。お客様
や他のメンバーに迷惑がかかっても平気ですし、その場を取り繕えばよいので
す。
そうなるとY君にとって追加機能の依頼は、ただの面倒臭い依頼でしかありま
せん。開発メンバーと相談し工数を出して見積の作成とレビュー。社内承認を
とって客先に説明し、発注されれば受注手続き、対応内容の確認、リリース、
納品手続き。ただただ余計な作業が増えるだけ。
特に嫌だったのが見積レビューだったようで、社長面談時に辞職理由にあげて
いました。曰く何度もやり直しさせられたと。レビューアーにしてみると、お
客様から不備の指摘をされないようにチェックしているだけなので、指摘した
点を直してもらえれば何回もやり直し必要もないのですが、Y君にしてみれば
お客様からの指摘は真剣にとらえることではないですし、あまい見積をだして
お客様が発注しない方が余計な作業が減るわけですから、見積レビュー自体、
自分の得することが何もない嫌な作業だったのでしょう。なので学習すること
もないので、何度もやり直しが発生する悪循環です。
今回の教訓としては、例えばクレドを共有し最大限に従業員に裁量権を渡すリッ
ツ・カールトンのように、メンバーとビジネスにおける理念や信条、目標など
を共有しメンバーを信じて仕事をやってもらうことは大切ですが、実はこのレ
ベルまで達するには教育や選抜などかなりの努力が必要で簡単にはいかない。
過信してもいけない。スタートアップ時には自ずと思いを同じくするメンバー
が集まりますが、時間がたち人の出入りが多くなると、かならずしも信条を共
有し裁量権を増やす仕事のやり方に向かない人もでてくるので、それら踏まえ
仕事のやり方を変えてゆかないといけない、ということです。
また、Y君は別に悪意があったり我々と違う信条を持っていた、というわけで
はいと思います。どちらかというと、自分は何のために働いているか?などと
いう疑問すら持っていないでしょう。だから顧客満足などというモチベーショ
ンもないし、自分にとって面倒くさい作業が発生したさいにはインセンティブ
がマイナスに働きます。その場しのぎで取り繕った結果、どうしようもなくれ
ば、周りの迷惑を顧みずそこから逃げ出すことに躊躇はない。本人は逃げ出し
たという意識すらないのでしょう。
そしてそんなY君は特殊ではなく、同じような人は普通にいる、と考えなけれ
ばいけない。
改めて。
今回の原因の一つを、Y君の仕事に対するモチベーションやインセンティブの
見誤り、としました。どう見誤ったのかに言及し今回のまとめにしたいと思い
ます。
顧客満足を信条として仕事をしてきましたが、Y君には信条というものが特に
ありませんでした。Y君が違った信条をもっていれば、その違いに気づけたか
もしれないのですが、「もってない」がために我々と同じ信条だと信じてしま
った。これが第一の見誤り。
仕事に対するモチベーションやインセンティブが何か、ということはその人の
持つ信条によって決まってきます。その信条をもっていないため、彼のモチベ
ーションは「相手」ではなく「自分」にあった。そこに気づかず任せた仕事が
マイナスのインセンティブに働き事件を引き起した。これが第二の見誤り。
自分の仕事に対する信条やモチベーション、インセンティブなどをしっかりと
認識している人は少ないのかもしれません。しかし、無意識かもしれませんが、
その人が何を信条、行動規範として仕事をしているかは、きちんと見ればわか
ると思います。そこを見極めず仕事を割り振り、ミスマッチな役割を与えてし
まうと、みんなが不幸になる結果にしかならないのです。
~後編へ続く~
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コメント
ちゃとらん
まず、仕事をモチベーションやインセンティブに期待すること自体が間違ってませんか?
それらは、本人が上に昇るためには必要ですが、通常業務をこなす分には不要だと思います。
不要というのは、なくても通常業務が回る仕組みが必要で、それを作るのは経営の責任だという事です。
> 社内ルールに従わず未承認の見積書を提出し、それが発注にされた…
そりゃ、社内の受発注ルールがずさんなだけでしょう。
そんなことが出来るなら、私なら勝手に受注してシステムを仕上げて、自分の口座に振り込んでもらいますよ。自社物件で副業ですね。
経理担当者が持ち逃げしたとかと同じで、組織のチェックが機能していなかっただけです。
> 今回の原因の一つを、Y君の仕事に対するモチベーションやインセンティブの見誤り…
根本的に、これではないと思います。これを原因と考えて対策を打っても、また、同じような事を繰り返すと思います。
… ただし、Y君までひどくありませんが、顧客の改善要望を握りつぶしていた人を知っていますし、勤務態度が悪く、そうそうにお引き取り頂いた方も知っていますので、担当者、関係者のご苦労は、お察しいたします。
山無駄
どうも ちゃとらん さん
手厳しいですね。仰っていることはその通りなのですが、きちんとしたルールがあり、仕組みがあった
としても、故意に不正を行おうとする社員がいたら完璧に防ぐことは難しいと考えています。だから企
業は現金の取り扱いをなくそうとしたり、金融機関では現金取り扱いの窓口にカメラを設置したり、監
査の仕組みを設けたりしています。ルールがずさんなのではなく、きちんとしたルールがあったとして
も不正は起こる。だから監視や監査の仕組みが必要となるのですが、監査はだから起こった不正を見つ
ける抗体検査みたいなもんだから、現在進行形の不正を見つけるわけではない。現在進行形の不正を見
つけるにはPCR検査に相当する監視の仕組みを入れないといけないが、それにはコストがかかるし、100
%の見つけられわけでもないし、誤検出もある。しかも我々は中小企業なので、そのような監視、監査
の仕組みを充実させる体力もないし、未成熟なので、どうしても人を信じるしかない。
しかも人は悪意だけで不正を働くわけではなく、例えば何らかの理由にお金に困窮していた社員が、た
またまお客様からお金を預かると、ついつい使い込んでしまうこともあるわけで、例え監視や監査の仕
組みがあってそのような不正をしてもすぐにばれることがわかっていても、つい不正を行う人もいます。
本稿では、こういった動機に相当するものを、モチベーションやインセンティブといってます。
こういう前提を踏まえて、ルールなど人に依存するものではなく、仕組みとして不正がでない業務形態
を構築しつつ、抑止力としての監視や監査の仕組みを作らないといけないとしつつも、体力がない我々
がそれら構築するためには金も時間もかかるため、ますは人がもつモチベーションやインセンティブを
見極めて、例えばお金に困窮している社員については、お金を扱う仕事をさせない、ということから始
めないといけない、と考えています。
本シリーズのネタバレになってしまいましたが。
ゆう
難しいですね。。。
ルーチンワークをこなすことはモチベーションの問題じゃないは同意見です。
ただきっと、
「給料分の分ガマンして働くのは当然でしょ!」が通じない人にはどうするか?
の話なんでしょうね
自分はどんな企業の性悪説ルールも、
やっていいこと悪い事が分かる、
いつかバレて自分のデメリットになる、
などなどの最低限の常識・判断力を社員がもっているのを
実は前提としていると思っています。
ルールを作っても守る気がなければ,
チェックを潜り抜けて注文や見積もりなど証票類の偽造して送ることは、その気になればできます。
誰かがそばで見張っていれば別として社外とのやり取りを完全チェックは難しいですしね。
すぐばれるのが分かるから普通はやらないんですが。
常時監視・チェック体制があればYの不正は防げたんでしょうが、
そのために人件費を余分に欠ける羽目になります。
それだけの価値を生む人材と思えませんから、企業としてはなかなか難しいですね。
自分ならどすうるか考えたのですが、
外部と接触させず、財務諸表の数字に影響ある業務にはつけさせないことでしょうか。
そんな業務探すほうが難しいですが。。。
山無駄
どうも ゆう さん
仰る通りです。
我々の業界はシステム開発をしていますが、サービス業です。サービス業というのは
リッツ・カールトンやTESSEIの事例にあるように、お客様に感動を与えることが大き
な命題となります。お客様に感動してもらうためには、ルールでアレもダメ、これも
ダメとがちがちの縛りを設けるのではなく、クレドのようなものを拠り所に、一人一
人が広い裁量権をもってお客様に向き合わなければなりません。
また我々は中小でまだ多くのシェアを持っていません。大手企業がパイの殆どもってい
るなかで戦っていくには大手が真似できない質の高いサービスを提供する必要があるの
ですが、では今の段階でそのサービスに見合った給与を支払えるかは、また別問題です。
ただ、一方で給与は他と比べて高くないかもしれないけれど、お客様に質の高いサービス
を提供しようと頑張ってくれているメンバーもいます。というかそういうメンバーがいる
から今のサービスをやってこれた、という事情もあります。こういう人、一人一人の特質
を信条やモチベーション、インセンティブという言葉で説明しようとしています。
TESSEIの事例でもあるように、最初はパートで給与も安く、従業員のモチベーションも低く
サービス品質もイマイチ。というところから、あるメンバーの提案でお客様に感動を与える
サービスにパラダイムシフトを起こす。きれいごとかもしれませんが、お金と仕事の品質は
最初からバランスが取れているわけではなく、どちらかがきっかけでスパイラルアップして
行くものだと考えています。
ではY君の場合は何だったのかというと、今まで少数精鋭でやってきていたので、その中に
異質の人間が紛れていたことに気づかなかった、という反省だと思います。ただ、この先の
事を考えると、幸いもビジネスは拡大しているので、リソースは増やしていかないといけま
せん。その際に、今の精鋭レベルのリソースを確保しようとすると、なかなかそういう人を
外部から探すのも大変ですし、育てるのも時間がかかります。ビジネスのスピードに追い付
かないのです。だから裁量権をもって感動を作っていく業務と、ルーチンワーク化、マニュ
アル化し、バイトでもできる業務をわけたビジネスモデルに転化しないといけないと考えて
おります。
おっと。また、シリーズのネタバレ
ちゃとらん
お気持ちは判りますし、中小企業の事情も判りますが、『逃げ恥』でガッキーが言っていた「スキの搾取」を言い変えると「モチベーションの搾取」だと思います。給料はそれこそいくら払っても、それが普通になると抑止力にはなりません。
もちろん、人を信用することも大切ですが、家族でも親友でも裏切るときは裏切ります。監視とか、信用できる人とかではなく、なんとなく不正が出来ない感じを漂わせておくという感じでも構いません。
例えば、1人で1顧客の担当を、2人で2顧客にする(クロス担当制度)とか、システム会社なら、簡易な受発注Webシステムや問合せシステムを構築して運用するとか、注文や改善のご依頼はグループメール(メーリングリストとか代表メールアドレス)で複数人でシェアするとか、今後の対応策として検討すべきではないかな~という感じです。
勝ち逃げ先生
ここまで、非常に有意義なコラムでした。ネタバレも読めたので、ここら辺で足跡を残します。
チェック機能云々に関しては答えが出ないの知ってるので、これには言及しません。ぼくが一番気になったのは、複数回問題を起こしているY君をカスタマーサービスに配置し続けた点がどうしても腑に落ちてません。中小企業のリソース問題もあるので四の五の言うつもりではありませんが、カスタマー部門は企業の顔でありブランドです。よりにもよって超重要部門に、何度も危険なシグナルを放ち続けているこの問題児を配属し続けた理由が全く分からんのです。。。
コラムに記載されている事以上の情報は知らず適当にガヤを入れてるだけですので、あまりお気になさらずに。
匿名
>そりゃ、社内の受発注ルールがずさんなだけでしょう。
社内に報告なく勝手に捏造して発注を進める人間をどう管理するの?
寝言は自分のコラムだけで書けばいいのに。
勉強になるシリーズなのに毎回上から目線の勘違いコメントがあって不愉快。
ゆんろん
システムに関わる仕事ですが、どちらかというと統制やリスク管理の観点からの仕事をしている者です。興味深く拝読してきましたが、今回、SOXが騒がれるようになった頃からの議論の流れを思い出してしまいました。
私自身はある程度の大きさのある企業で働いた経験しかないので、外しているかも知れないのですが、乱暴にまとめると、日本企業はどちらかというと性善説、ちゃんとした人がやれば、チームの一体感があれば、変なことにはならない、という前提でやってきたというところが傾向として大きいのだろうと思います。ですが、SOXでは、いや、ちゃんとやっていることが外から確認できるようにちゃんと仕組みを作ってくれよ、ということになりました。外に対してきちんとしていることを事実に依拠して説明する、という習慣をもっていなかった企業(ちゃんとやっているから信頼してください、実績もあるでしょ)は、結構な授業料を払うことになりました。(もともとそれなりにちゃんとしていれば、見えるようにするとか、細かく記録を残すとかでよいわけでしたが。)
これで安心、と思っていたら、制度だけちゃんとしていてもダメだ、統制環境というのが大事なんだ、とUSで言われるようになりました。そのときに、なんだそれ、と思ったことをよく覚えています。それまで日本がやってきたことは、統制環境をきちんと維持することで制度に頼らずに統制の実をあげていたことだと言うことになるわけでしょうからね。
私自身は、制度でできることはある程度整えた方がよいという、ちゃとらんさんに近い立場なんだろうと思います。あまりにも重装備の統制を仕込むのはよくないでしょうけど、2人で2顧客を担当する、とか、顧客満足度を高める上でも有益だと思うんですよね。
あと、あえて言うと、私は、カールトンのやり方にはちょっと違和感を持っています。誰もが同じように動けるのでなければ、品質管理上不味いのではと言う気もしますし、特定のお客様にかかりきりになってしまっては、オペレーション全体が回らなくなってしまう可能性もあるのに、個人だけの裁量で大きく動いてしまってよいのか、とも思います。卓越しているという例が紹介されることで「モチベーションの搾取」に類する(そこまでやらなければやる気があるとは認められない)問題が起こりやすくなるようにも思います。
山無駄
どうも ちゃとらん さん
逃げ恥は見てないので、今回の件が「スキの搾取」で「モチベーションの搾取」になるのか
ちょっと理解していませんが、言いたいことは同じなのかな?。
人がもつメンバーのモチベーションやインセンティブを変えるとか当てにするとかではなく、
人は無意識にそういうもので行動が決まるので、その人がもつモチベーションやインセンティ
ブがなんであるか、ということを踏まえて役割をきめないとと痛い目を見る、ということだと
だと思います。高いスキルをもつハイパフォーマな人のモチベーションがお金にあるのなら、
高いお金を払わないと何処かに引き抜かれて出ていってしま。そのため、その人にビジネスの
死活問題を左右する役割を持たすのはリスクでしかありません。もしその人が満足できるお金
を支払えないのなら、能力があったとしても重要な役割にはしない。
特にサービス業がお客様に感動を与えることが目指すところであるならば、サービスを提供す
るスタッフの心も豊かでなければなりません。その場合、監視や監査など抑止力だけではマイ
ナス効果です。お客様に喜んでもらうことが、スタッフにとっての喜びになってもらわなけれ
ばなりません。そのためにはクレドや成功体験を供したり、もしかしたらスタッフの選抜も必
ようとなってくるでしょう。しかしそうやって、高いモチベーションを共有した組織は強く、
高品質なサービスを提供できます。できることなら、抑止に投資しして組織を委縮させるので
はなく、人材育成に投資し感動のサービスを提供できるようになりたい、と思うですが。当然
人のモチベーションは複合的なので、見合った給与を払うのは当然な話ではありますが。
加えてY君の場合、早い段階から危なさは把握していたので、クロス担当や、受注管理システム、
進捗報告、問合せ管理システムでの情報共有とチェック等はやっていましたよ。
ただコロナ時の業務運営の変更指示等があって、目が届かないことが出てきた。
この辺りについては次編のネタバレになります。
山無駄
どうも 勝逃げ先生 さん
そうですね。Y君をカスタマーサービスから外せなかったのは悔やまれるところです。
どこかでも書きましたが、彼を外すことは検討していたのです。でも間に合わなかっ
た。理由はいろいろあるのですが、以下のような感じです。
1.最初は彼の問題は未熟さから起こるミスだと考えていた。だから責めたりはせず、
管理表を作る、メモを取るなど、教育指導にとどめていた
2.そうではなく彼が危ないから外したいと考えたが、彼が受け持っている2社は関係
も深く付き合いも長かったため引継が大変で、またリソース的に変わりになるメンバ
もアサインでいなかった
3.彼はもともと別部署から来て、開発に挫折して今の担当になっているので、もしそ
こから外れるとなると、行き先がなかった
4.対策が打てる前に、コロナ禍で一気にカタストロフした
こんな感じかな。
山無駄
どうも 匿名 さん
そうかもしれませんが、いろいろとコメントいただければ、本文で言い足りていなことや
伝わりにくかった表現がわかり、またコメントに返信させてもらうことで、本文の補完に
もなりますので助かっています。
山無駄
どうも ゆんろん さん
難しい問題ですね。私はビジネス活動には2つの視点が必要と考えています。ひとつは全員を
対象とした規則やルールで縛られる「やってはいけない」ライン。会社組織には独自のルール
があって、その組織に属する者はそのルールに従わないと罰則の対象になります。これは会社
の最低限の品質を担保するもので、これは規則を守ることがマストなので、監視や監査機能を
設けて逸脱しないよう、していないかをチェックする必要があります。
もう一つは、付加価値の視点。組織に所属しているものは、規則を守ったうえで自分なりに創
意工夫を行って、付加価値を上げるミッションを持っています。誰かが付加価値をあげる良い
方法を発見すれば、それを制度化し他のスタッフにも徹底させ、組織全体の付加価値を上げる
必要があります。またビジネスは常に成長と変化を求められます。規則に従っているだけでは
イノベーションは起こりませんので企業は研究開発や人材育成、改善活動など通常業務に加え
て行いますが、このイノベーションを起こすという作業は極めて属人的な行いであるため、そ
れを担う者には裁量権をあたえ、いろいろと失敗の経験を積上げながら試行錯誤を繰り返して
もらう必要があります。
何が言いたいかというと、規則や制度をきっちり整備して、これらを逸脱しないように統制す
る仕組も作るということも、裁量権を渡してイノベーションを起こすということも、企業にとっ
て必要な行為であるということ。それが企業の規模や、業種、業態、ビジネスモデル、フェー
ズ(成長期か成熟期か)、戦略によって、その重みが変わってくるということです。
例えば銀行など、絶対に不正を起こさないように統制の仕組みを作るのも莫大な投資が必要で
すし、リッツ・カールトンの裁量権を持たせて最高のおもてなしを実現する。その品質を維持
する仕組を作るにも莫大な投資が必要です。双方、やってること目指していることが違うので
当然投資の割合は異なるでしょうけど、どちらかしかやっていない、ということはないと思い
ます。
勝ち逃げ先生
わざわざ時系列に体系立てて頂いてありがとうございます。だいぶ理解ができました。第三者が気楽にコラムを一気に読み上げるのと、忙殺される日常の中、長い月日をかけて当事者同士が向き合うのとでは捉え方も変わってきますよね。個人的には傑作シリーズだと思います。後編も楽しみにしております。
山無駄
どうも 勝逃げ先生 さま
傑作シリーズと言葉いただき、恐縮です。
日々仕事の合間に行き当たりばったりで書いてますので、なかなか
伝わる文章ではなく申し訳なく思っております。
そこを皆様から頂くコメントを読み、または返事させていただくこ
とで自分の頭を整理し、加えて至らない箇所の補完をさせていただ
いていると考えておりますので、皆様のコメントに感謝しております。
もう少し続く予定ですので、しばらくのお付き合いを。
といいつつ、また仕事モードで次編がいつ書けるかわからない・・・
侘助
前に勤めていたITベンチャー時の感想。山無駄さんの会社と同じかどうかはわかりませんが、下っ端はこんな風に思っているかもしれません。
■採用
3割くらいの確率で地雷持ちを採用してた気がする。なぜこんなやべー奴を採用したのか、面接した人間を小一時間問い詰めたくなる。
傍からトラブルを見ている分には面白いけど、同じ部署に配属された日にはぶちぎれる。
■カスタマーサクセス
大手企業でバリバリ活躍していたという人材を採用したが、使い物にならず1年で辞めてしまった。
営業もサポートもどっちも中途半端。結局元通りの分業に戻ってしまった。
■クレド研修
なんかまた社長が訳の分からない研修を始めたな・・。業務で忙しいんだから勘弁してほしんだけど。
リッツ・カールトンは一日2000ドルの決裁権をくれるらしいけど、会社は備品一つ買うだけで文句言われるんだよね・・
山無駄
ども 侘助 さん
当方実態は、こんな感じかな。
■採用
個人:異能の採用。新しいことをやるには異能が欲しい。また、サービスを実現するには、
まずリソースの確保
実態:怖いのでまず案件。案件が決まって人探し→間に合わない
ベンチャーを標榜しつつ異能は怖いので不合格
■カスタマーサクセス
個人:まず顧客満足度。大手会社からの転職者は、知識はもっているものの自分で作りあげる
ことは難しい
実態:基本的に下請体質。ムラ社会の既得権益死守ビジネス
■クレド
個人:理念を共有し、自立、協調、分散
実態:管理、官僚主義。マネージメント至上主義
ま、いろいろとあります・・・。
主婦
このコラム、Y君を叩いているだけ、、、?
山無駄
どうも 主婦 さま
別にY君を叩いているだけではありませんよ。
というか、Y君を叩いているわけでもありません。
Y君の起こした問題から、何が学べるかを考察しています。