ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第27回 四方山話(10) 選択するということ

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 ITエンジニアが自らが想い描くキャリアを実現していく上で、何かしらの選択をしています。今回はこの選択について考えてみたいと思います。

■選択するってどんなとき?

 ここにプロジェクト・マネージャを目指しているITエンジニアがいるとします。その人は、これまでの実績が認められ、次の開発案件からプロジェクト・マネージャになることを打診されました。このとき、このITエンジニアにはプロジェクト・マネージャを引き受けるかどうかの選択が待っています。そして、この場合はプロジェクト・マネージャを引き受けることを選択するでしょう。「プロジェクト・マネージャを目指す」という明確な目的があり、この選択によって目的が達成できるからです。

 それでは、このITエンジニアの上司から、プロジェクト・マネージャを含めたITエンジニアの経験が積めるからと、忙しいとうわさされている別の部署への異動を勧められました。このときは、どのような選択をすればいいでしょうか?

■最適の選択は成功を呼ぶか?

 この例では部署異動を受け入れる、受け入れない、どちらを選択することが正解になるのかは分かりません。部署異動したとしても、しなかったとしても、その選択がプロジェクト・マネージャにつながるかどうかは判断できないからです。このような時は、ディシジョンツリー分析を使い、選択肢を定量的に判断できるようにした上で選択することも一つの方法だと思います。

ディシジョンツリー分析:ある事象によって起こりうる結果をすべて明確にした上で、それらの結果一つ一つの確率を明確にする。その上で、最も価値のある選択肢を引き出す手法のこと。詳しくはこちらもご参照ください。

 しかし、ディシジョンツリー分析をもってしても判断がつかない場合、一体どう判断すればいいのか? その場合、選択する際の判断材料を増やして、何とか判断するしかありません。例えば、

  • 人に聞いてみる
    ⇒異動先の部署で働いている人に、異動先での仕事について聞いてみる
    ⇒現在の部署でプロジェクト・マネージャになれるかどうかを上司に聞いてみる
  • 情報を収集してみる
    ⇒異動先のプロジェクト案件や、開発メンバーについて調べてみる
    ⇒現在の部署でプロジェクト・マネージャを担当している人の傾向を調べてみる

 このように新たな判断材料を増やした上で、再度選択するという方法はあるでしょう。

 しかし、そうやって選んだ選択肢で本当に成功するかと言われれば、それはまた別問題です。どちらの選択肢を選んでも成功する可能性はありますし、失敗する可能性もあります。

■選択とその先にあるもの

 結局のところ、選択するということはその先の行動を決めて(選んで)いるだけで、それがどのような結果になるかは行動をしてみないと分からないのです。つまり、どれだけ最適な選択をしたとしても、その先の行動いかんによって、成功することもあれば、失敗することもあるということです。だとすれば、ものごとの成功と失敗を選択だけで語ることは少し片手落ちな気がします。もし、仮に選択に正解や不正解があるのであれば、その後の行動にも正解や不正解があるべきで、それらを合わせた上で成功か失敗かを論じるべきではないでしょうか。

 そうだとすれば、選択した後の行動をしっかり考えておくことは、最適な選択を選ぶことと同じくらい大切なことだと筆者は考えます。

《選択した後の行動》

  • その行動はいつまで続けるのか? (期限を決めて続けるのか? 期限を決めずに続けるのか? )
  • その行動のゴールは明確になっているのか? (何をもってゴールと判断できるのか? )
  • その行動の進ちょくを計ることはできるのか? (定量的に進ちょくを計れるのか? 誰か有識者に判断してもらうのか? )
  • その行動を遮る要因が出てきた場合はどうするのか? (何が何でも行動を続けるのか? 行動を一時中断、もしくは中止することはあるのか? )

■選択するということ

 なぜ、今回このような記事を書いたのか? 最近、筆者の周りで転職を決意される方がおられました。本当はこの方に直接会って贈りたい言葉があったのです。しかし、ここ最近の筆者は火消しをやっていたりでなかなかタイミングを作れず、結局、最後まで会うことも話すこともできませんでした。そのため、この場を借りて筆者の伝えたいことを書かせてもらいました。

 キャリア実現のために転職を選択した○○さん。

 あなたが選んだ選択肢が正しかったかどうかは、これから先、あなたの行動一つ一つにかかってきます。

 すでに、あなたが選んだ答えが正しかったかどうかを考える時間は終わりました。

 これから先はあなたが選んだ答えが正しいものとなるよう、精一杯行動することがあなたにできる唯一の行動であり、最善の行動です。

 あなたの未来が幸多きものになることを祈っています!

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