第26回 四方山話(9) ピンチのつきあい方
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
前回、筆者がITエンジニア時代に役に立ったことをご紹介しました。今回はITエンジニア時代、ピンチに遭遇したときにどう過ごしてきたかを思い返し、今現在に至るまでに有効だと思う考え方をご紹介したいと思います。
■ピンチってどんなとき?
一言で「ピンチ」といっても、いろいろな状況があります。例えば、こんな状況もピンチといえるのではないでしょうか。
- 成果物の納期が間に絶対に合わない
- 誤って環境を破壊してしまった
- レビューを受ける際、ユーザーからキツい駄目出しをもらった
- 一向に終わらない仕事をやっている
- 作業が終わってから、手順を違っていることに気が付いた
その原因がどこにあるかは別として、こういった出来事をピンチととらえる方は多いのではないでしょうか。実際に筆者もITエンジニア時代に似たような経験をしたことがありましたが、正直「ヤバっ! 」と思えることもありました。それは、今思い出しても、かなり神経をすり減らされるようなピンチだったのを覚えています。
■ピンチのとき、どうする?
それでは、ピンチに遭遇したらどうするか? 当然、そのピンチを何とかしようとします。一般的には、現状をありのままに上司やリーダーに報告し指示を仰ぐのではないでしょうか。また、責任範疇が自分自身にあるのであれば、自分の責任において対策を検討し実施することもあるでしょう。
しかし、人によってはピンチを乗り越えられないと感じることもあります。そんなときはピンチから離れるという選択肢を取ることもあるでしょう。例えば、ピンチの状況を他の人に委ねることもあれば、ピンチの状況自体を放棄することもあります。そこで重要になって来るのは、ピンチの状況を人に委ねるなり、放棄するに足る理由があるかどうかです。もし、その人をピンチの状況に置き続けることで人命、病気を侵したり、けがを負うことがあれば、それは真っ先に対策を取らなければなりません。要するに、何を優先順位とするか。第一に優先されるべきは人命、病気、けがのような人に関わることが来るでしょう。そこは誰しも異論はないと思います。
それでは、その次に優先されるものは何か? これは、その時の状況によって大きく変わります。例えば、会社間の契約などの理由があるかもしれません。ひょっとしたら、人間関係の問題があるかもしれません。
結局のところ、ピンチな状況に陥ったとき、ITエンジニアは何かしらの選択をしなければなりません。それは、
ピンチから離れるか? それとも、ピンチを乗り越えようとするか?
です。これらの選択肢はどちらが正しいということはありません。その時々の状況や精神状態で判断せざるを得ないでしょう。
もし、筆者がピンチから離れる選択肢を取るならば、
- 一刻も早く現場を離れるために、今何ができるか?
- 極力周囲に迷惑を掛けずに現場を離れるには、どうすればいいか?
こういったことを考えるでしょう。ただし、これら2つの考え方は互いに相反していますので、互いにバランスを取ることが必要になってきます。
もし、筆者がピンチを乗り越えようとする選択肢を取るならば、
- 今、この瞬間にやらなければならないことを粛々と実行する
- ピンチな状態が過ぎることを信じて、今の状態を耐え続ける
こういったことを考えるでしょう。ピンチを一足飛びに飛び越える方法なんてものは、どこにもありません。それならば、その時にやるべきことを粛々と実行し、その積み重ねによってピンチを乗り越えるしかありません。ピンチを乗り越えるまではつらい想いもするでしょうが、必ず乗り越えられると信じ、ピンチの状況を耐え続けるでしょう。
■ピンチのつきあい方
ここまで、ピンチのやり過ごし方を、ピンチから離れる、ピンチを乗り越えようとするという2つの見方で考えてきました。しかし、筆者の場合、実際にはどちらの方法もあまり使っておらず、別の方法を使っています。それは、
ピンチと考えること自体を止めてしまう
のです。つまり、ピンチをピンチと捉えないような意識に切り替えるのです。しかし、これだけだとただ単に感じ方を変えているだけなので、ここに1つアクセントを入れ、ピンチをクリアする過程で、必ず自分のプラスになる何かを実現させようとするのです。よく、「ピンチをチャンスに変えることが重要だ! 」などと言われることがありますが、これを具体的に考えてみたと思ってください。例えば、筆者の場合、ピンチだと感じたら、必ず以下のような考え方をするようにしています。
《ピンチの時の考え方》
- このピンチによって、自分の身に降りかかるマイナスな出来事を具体的に想定する(マイナスのイメージ)
- ピンチをクリアする過程で、自分がプラスになる出来事を具体的に想定する(プラスのイメージ)
- プラスになる出来事とマイナスになる出来事を比較し、プラスが勝るようになるまでプラスの出来事を考える
- ピンチによって自分の身に降りかかるマイナスの出来事を受け入れるように、何度も気持ちのシュミレーションする
- 気持ちのシミュレーションができ、マイナスの出来事を受け入れられたら、プラスの出来事を実現できるように行動を開始する
この考え方はピンチを受け入れる前提で話を進めています。そのため、全てのケースで当てはまるということはありません。しかし、この考え方をするようになってから、ピンチに対する感覚が鈍くなったような気がします。
結局のところ、ピンチというものは自分自身の主観でしかなく、主観という枠を取っ払ってしまえば、それはピンチでも何でもなく、ただの事象に過ぎませんん。
それであれば、あえてピンチという事象を自分のために有効活用してみようとすることは、考え方としてはアリだと思いますし、筆者はこの考え方でピンチを捉えるようにしています。こう考えれば、ピンチは嫌な想いもするけれど、きっとうまく付き合っていける存在になるのではないかと思っています。
コメント
バーバリー ブラックレーベル様、
コメント、ありがとうございます!
もし、この記事がバーバリー ブラックレーベル様のほんの僅かな、微々たることでもお役に立つことができれば、この上なく嬉しいです。
コラムを書かせてもらって良かったなぁ! と心から思います。
これからもお役に立てるコラムを書けるよう頑張りますので、またよろしければお立ち寄りくださいね!