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生き様014. 『傾聴』は危険ってホント?

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勘違いする人がいるかも

ちゃとらんさんの『054.ビジネスにコミュニケーション能力は不要!?』で、傾聴する事が悪の様に感じる人がいては困るので、フォローしておきたいと思います。

…と、ちゃとらんさんの少し前の記事の真似(Notパクリ!!)から始めてみました。
今回のお話は、上記の通りちゃとらんさんの記事の一部に対する考察です。

基本的には、該当記事のコメントに書いている事です。
そして、元の記事で「一理あるな」と感じた箇所もありますので、その辺りにも触れていこうと思います。


白栁は傾聴推進派です

初回から傾聴を推していた様に、僕は傾聴推進派です。
その理由については、1回では語り尽くせなかった為、何度かに分けて語っています。
最近「問題解決能力」という観点でも傾聴の力を感じている所です。

コミュニケーションの基本は『聴く』だと考えています。
その『聴く』為の技術で『傾聴』以上のものに、未だ出会ってない、という訳なのですが。
しっかりと成果の出せる技術として、習得可能であると考えているから、オススメしているわけです。


本当に『傾聴』は危険なのか?

今回、ちゃとらんさんが挙げている例を要約します。

技術者が顧客から直接『傾聴』で話を聴くと、顧客は「深く理解、共感してくれた」と感じる
→ 顧客は、話した内容を全て実現してくれると期待してしまう
 → 機能が実現できないと、顧客は裏切られたと感じてしまう
  → 顧客との信頼関係が失われてしまう

ちゃとらんさんがコメントで書かれていますが、この内容は『傾聴』自体を否定するものではなく、
「安易に傾聴をすると危険なケースがあるよ」という警鐘だそうです。


これを読んで僕が気になった点を挙げていきます。

1. 「技術者=直接的な決定権を持つ人物」ではない

過去に、営業の補助をするエンジニアとして、幾つかのお客様との打ち合わせに参加した経験があります。
その場では、顧客は当然、営業の方を中心に話を進めます。
技術的なアドバイスが必要となった場合に、初めてエンジニアにも話が振られました。

また、担当者として直接顧客と調整を行うこともありました。
ただし、というかやはり、というか。
決定の裁量は僕にはありませんでしたし、顧客にもそれを伝え、即答は避けるように心掛けていました。

僕の実感としては「技術者=直接的な決定権を持つ人物」となるケースはほぼ有りません。
そんな事言えるの、プロジェクトの決済権限持ってる人だけではないでしょうか?
あとCTOとか凄くエラい人!※1


2. これは『傾聴』の問題ではなく『マネジメント』の問題

そもそも論として、このケースは『傾聴』という技術の問題ではない、と感じています。
傾聴は、目的通りに顧客の要求を深く突き詰め、顧客の共感、信頼を形成することができました。

その後、状況により顧客の期待に応える事ができなかった場合、せっかく形成した共感、信頼は崩壊します。
崩壊するだけなら良いですが、往々にして憎悪に変わってしまいます。
そうすると…

というストーリーがあった場合、問題は「顧客の期待に応えることができなかった」事と「応えられない事を調整していない」事ではないでしょうか?
他にも色々と問題となるポイントはありそうな感じがしますが…

そうすると、これは『コミュニケーション』の問題ではありますが、『マネジメント:危機管理』の問題だと考えます。
『傾聴』の問題ではありません。
なので、この例だけをもって「共感し、信頼関係を形成し過ぎることが問題だ」とはならない、と言えます。

そもそも「『言ったことを否定してなかったから実現すると思った』とおっしゃる顧客」と出会ったら、それは信頼関係の形成に失敗しています。
『傾聴』の問題ではないですよね。


『傾聴』≒『よく切れる包丁』

ここまでのお話で「『傾聴』は危険なものではない」とご理解頂けたかと思います。

少し、たとえ話をしましょう。

プロ用の包丁は、良く切れます。
ですが、正しく使わないと全然切れなかったり、刃が欠けたり、怪我をしたりします。
この場合の「正しく使う」とは、前後のメンテナンスだったり、使用状況だったりします。

傾聴も同じです。
正しく使わないと、効果は得られません。
「無制限に理解してくれる、共感してくれる」と誤ったメッセージを与えてしまう可能性もあるでしょう。
逆に「全然理解してくれてない!」となるパターンもあるでしょう。
しかしながら、そういう危険は傾聴に限りません。
技術って、そういうモノだと考えています。

ある一面だけを切り取って「危険だ!」と騒ぎ立てるのは、とても馬鹿らしいことです。
今回のちゃとらんさんの意見は「危険かも?なら、もっと良い方法があるよ!」という提案ですから、これには類しませんが。


なるほどと思った話

本文中で『良い警官と悪い警官』という例示がされています。
なるほど、コレは結構有効な手かもしれません。

そもそも、2人で臨む交渉としては、基本的なテクニックです。
僕の頭の中が、技術者1人で立ち向かう事に偏りすぎていて、営業と連携する、という事を考えていませんでした。
そこは素直に反省したいと思います。

他にも、2人で交渉に臨む利点はあります。

  • お互い違う立場、視点から状況を分析することができる
  • 一方的な勘違いを防ぐことができる
営業とエンジニアは仲が悪い、というのは定説ですが、そこを越えて協力し合えると、より素敵なモノが生まれそうですね。

おまけ:「詐欺師の親戚みたいなもん」

プログラマ、という仕事に就いて、僕が嘯いてた言葉です。※2 その心は
  • コンピュータシステムには明確な形がなく、価値を計りづらい
  • 顧客が抱える目に見える問題だけでなく、潜在的な問題に対するアプローチも必要になる
  • これらの価値や問題の提示を、主に口八丁手八丁で行う

この一連の流れは、詐欺師のやり口(の一つ)に近い、と僕は感じています。
唯一違うのは、詐欺師が提示するものは実現しません。
でも、プログラマが提示するのは、実現可能な未来です。

ところで、カウンセラーってとても「占い師」っぽいですよね?
そして僕自身、ある意味で「キャリアと言う新興宗教の教祖」の様な感じがします。

ということは…???




※1:この場合の「エラい人」というのは、社会的地位の高さではなく【仕事の大変さ=しんどさ=えらさ】を現します。

※2:僕は意図的に「エンジニア(ITエンジニア)」と「プログラマ」という言葉を使い分けています。
今回のコラムではそれを書くには狭すぎる。

Comment(4)

コメント

ちゃとらん

フォローありがとうございます。


元記事で、ちょこっとだけ取り上げてしまったので、誤解も生まれやすくなっていたかもしれません。また、『傾聴』問題は、じっくり取り上げてみます。


私の中でも、まだ未解決の課題として、『傾聴』テクニックで信頼関係を築く…のか、信頼関係を築いた相手に対して『傾聴』テクニックを使うのか? です。
今回の危険のシチュエーションが、初めての操作説明会とか利用者質問会などの、まだ、信頼関係を築いていない段階で完璧な『傾聴』を行うと、誤解される…のではないか?という話でした。マネジメント問題、リスク回避問題と言われると、その通りで、初対面の人に傾聴テクニックはリスクマネジメント上、危険では? というニュアンスも含まれています。
⇒ という考え方自体が、まだ未解決の課題です。

匿名

いかにもたこにもっていう内容でした。
たくさんのいかとたことたまにえびとか混ざっているのを傾注して
おちているいかを代わりにまとめてたこ焼きを作って見せるのが仕事って感じです。

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