053.ドツボにハマる人は管理が下手
初回:2019/11/20
1.勘違いする人がいるかも
Horusさんの『ドツボにハマる人ほど管理したがる』で、管理する事が悪の様に感じる人がいては困るので、フォローしておきたいと思います。
P子「小説や憲法問題や桜を見る会や沢尻逮捕よりも優先順位が高い問題なの?」(※1)
そもそも下手な管理方法を取り上げて「出来ない理由」にしても意味はありません。プロジェクトなんて、プログラムが出来ない、営業が悪い、顧客が悪いなど失敗するパターンは色々ありますから、ドツボにハマる人は管理だけではなく、それなりに失敗する理由があるものです。
・管理というのは、できるようになった人が次のステップとしてやることです。
できるようにって「何が」が抜けているので批判しようがありませんが、大きい、小さい、重要などの要素はありますが、誰でも自分のやるべき範囲内で管理することが必要です。
・手段が無い人にはできません。
管理の意味をネットで調べて「必要な手段を(組織的に)使って」とあるように、自分が手段を持っていなければ、持っている人に借りればいいのです。
・状況が把握できなければ気の配りようもありません。
管理とは、状況を把握して適切な手を打ちその効果を確認しつつ(状況の把握)さらに手を打つ...を繰り返すことです。「PDCA」は何も改善活動に限った手法ではありません。
P子「でも、状況を把握も適切な手を打つことも難しいんでしょ」
そうです。後でノウハウを伝授いたしましょう。
P子「ちょっと上から目線が入ってない?」
・そもそも何も進まない進捗など管理しようがありません。
進まない進捗を進めるために状況把握する意味で管理が必要なんです。
・無茶な納期で計画が破綻している場合
どう見ても破綻しているケースは確かにあるかも知れませんし、そこに下手な管理を入れるとさらに破綻することもあります。逆にきちんとした管理を入れれば、破綻を最小限に留める事も可能です。
・美術品などを管理してみると分かりますが、どんなに厳重に管理しても、美術品の価値自体は上がりません。
その通りですが管理しなければ美術品の価値が下がります。ゴッホやピカソの絵画を管理せずに野ざらしにしておけば、価値が下がります。価値が上がらないのと管理が不要なのは別物です。
2.管理のノウハウは、目的と手段の明確化です。
P子「それが上から目線の正体ね」
管理とは「目的」と「手段」を明確化して実践する事です。
・自分が買い物をしたときのレシートを全て管理してみましょう。
例えば、交通旅費精算に必要なレシートや接待(交際費)のレシートはきちんと管理されていることでしょう。つまり『目的=旅費精算で使ったお金を戻してもらう』事で、『手段=レシートを残す』でしょう。
例えば、『目的=ひと月の使用金額を知りたい』のであれば、『手段=月初に財布に1万円を入れて月末にいくら残っているかを調べる』でいいでしょう。
P子「あなたの小遣いは、月1万円なの?」
あ、あくまで例です。
P子「カード払いはどうするの?」
カードの場合は端数が出るので、メモっておく必要がありますが、残高の把握は出来るでしょう。
つまり、すべてのレシートを残す事の目的が何か?という事です。目的が不明で手段があいまいなら、成果は出ないでしょう。
・これが進捗やら品質などになると、更に難易度が上がります。それなりのスキルが無いとこなせないものだと思います。
つまり、スキルが無くても進捗管理や品質管理ができる「手段」を明確化すればよいのです。
進捗なら画面やプログラムに標準工数(検索系なら1、登録系なら3、グラフィカル系なら5とか)を設定しておき、それを残数と予定納期でざっくり計算するという手もあります。良くやる失敗は、事前に不完全な工数見積もりを行って、プログラム一本づつの納期管理をするなどです。そもそも予定の順番通りに進めることが出来なくなると、予定そのものを全面見直しなんてことになると、予定の見直しだけで無駄な工数が発生します。
品質に関しては、担当者毎に数本抜き取りチェックを行い、担当者の技量や理解度を把握しておき重点的にチェックすべき箇所を絞り込むという事も可能です。
・進捗を管理しても、できない人はできないです。品質を管理しても、品質をクリアできない人はできません。
まあ、その通りです。
・管理をするだけで何かが可能になるということはありません。
管理で何かを成し遂げるなんてことは出来ませんが「よい状態であるように...」することが出来ます。出来ない人が誰かが把握できれば出来る人に手伝ってもらうとか担当を変える(出来るレベルの仕事を与える)事が可能です。品質をクリアできない人も同様です。リソースの再配置です。場合によっては、人を増やしたり優秀な人材(経験者など)に短期サポートを依頼するなども考えられます。「必要な手段を(組織的に)使ってとりさばく」必要があるでしょう。
・できない人が管理という重荷を背負い込むと、炎上の勢いが増すだけです。
(できない人が管理という重荷を背負い込ま)ないように管理するんです。
・形だけでも管理をしていれば言い訳はしやすくなります。管理というものを、そいういう保険みたいな扱いをしているからドツボにハマるのではないでしょうか。
同意します。
「目的」と「手段」を明確化して実践すると言いました。この明確化とは、メンバー全員に対して明確化するという事です。なので意味のない管理を言い訳に出来ません。管理者が管理するというより、メンバー1人1人が自分の担当分を管理します。管理は事実だけを元に状況を把握すべきです。なので、その事実で個人を責めないことも明確にしておくべきです。そうでないと、事実が捻じ曲げられるからです。個人を責めるのが管理の目的ではなくプロジェクトをきちんと完成させるのが目的なら、個人攻撃に意味はありません。
管理なんて、すべての人が日常的に行っている行為ですから、管理が出来ないのではなく管理手法が間違っているか知らないだけです。「目的」と「手段」を明確化すれば、より素晴らしい手段を知っている人もいるかもしれませんし、改善できる余地も生まれます。
3.管理のノウハウのまとめ
P子「まとめなんて珍しいわね」
・管理とは「目的」と「手段」を明確化(みんなで共有)して実践する。
・管理者が管理するのではなく個人個人が自分の持ち分を管理する。
・事実を元に状況を把握するには、事実を個人攻撃の材料に使わない。
これであなたも「管理博士です」
P子「漢字博士のダジャレ?」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「...優先順位が高い問題?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
ちなみに「安倍晋三首相は、首相在任期間が11月20日に2886日となり、戦前の桂太郎を抜いて歴代最長となる」とのことです。「桜を見る会」問題で、この記録を持って勇退するのではないのかとの憶測も飛び交っています。
どうなる事やら...
コメント
Horus
私の書いたコラムのタイトルが『管理してるからドツボにハマる』なら主張は正しいと思います。ただ、私のコラムでの主題は、「身の丈に合わない仕事をしている人では管理はできませんよ」という指摘です。管理することが悪とは主張していません。
「管理する事が悪の様に感じる人がいては困るので、フォローしておきたいと思います。」と打ち出されると、むしろ誤読を招くかと思われますがいかがでしょうか?
ちゃとらん
> 管理することが悪とは主張していません。
については、私もそういう認識を持ちました。で、フォローしておきたいの意味は、先のタイトルだと、ドツボにはまる人は管理したがる⇒管理しなければ、ドツボにはまらない…に読み取れてしまわないかなと言う事です。
おっしゃる通り、「身の丈に合わない仕事をしている人では管理はできませんよ」というのは正しいと思いますが、身の丈に合わない仕事をさせられている人は、管理出来ない・・・というのも困るので、管理の仕方(手抜きでも管理すべきという例)を挙げてみました。
つまり、ダメな人が何をやってもダメ、というのではなく、ダメな人でもそれなりに何とかなる方法はないか、と言う事を探し求めているとお考え下さい。