052.憲法改正の何が問題なのか(1)
初回:2019/11/13
1.憲法問題を取り上げる必要性
P子「エンジニアライフで、憲法問題を取り上げる必要性ってある?」(※1)
ここで言いたいのは、憲法問題と言うより物事を論理的に考える力の重要性です。デマの話でもそうですが、意図的に騙そうとする話を見抜く力が重要です。憲法は法律に影響を与え、法律は契約に影響を与え、契約は私達労働者に影響を与えます。普段は気にしなくて構いませんが、いざと言うときのために時々は気に留めておいた方が良いと思います。
P子「でも、論理的にって言うと必ず反発する人が出てくるわよ」
100%すべての人に受け入れられる意見なんてないと思いますし、少なくとも私は論理的思考は重要だと思っていますから、これからもガンガン使っていこうと思っています。
P子「その態度に反感が出てるんじゃない?」
2.<あべこべ憲法カルタ・第1回>
今回取り上げたいのは、<あべこべ憲法カルタ・第1回>(※2)です。
まずは日本国憲法24条の婚姻を定めた条文です。
【日本国憲法第24条1項】
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
【自民党改憲草案24条2項】
婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
憲法とは、国家権力の暴挙から国民を守るための法律であり、憲法に書かれている範囲でしか法律は作れません。上の条文では「のみ」という不要な文字をなくしてスッキリさせた...という解釈も出来るのですが、「両性の合意のみ」とは、家族や親族その他いかなる妨害や強制も排除しています。この「のみ」が無いという事は両親の同意がないと結婚できないという『法律』を作ることが出来るかもしれません。また年老いた自分が再婚する時に子供の同意がないと再婚できないとか、夫がDVで浮気性でどうしようもないが、世間体を気にした家族が認めないと離婚も出来ないとか、そういう世界が待っている...かもしれません。
P子「心配し過ぎじゃない?」
ですが「出来ない」と「やらない」は別の話です。いつでもできるが今はやらないという事はいくつもあります。と言うより、最近心配事が増えてきた気がするからです。(※3)
この自民党草案では「個人」よりも「家」を優先させようという思想が見え隠れしています。例えば現行憲法になかった「家族」の項を新設されています。条文は以下の通り。
【自民党改憲草案第24条1項】
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
なるほど、いい事が書いてありますが、個人より家族、ひいては国家を優先する思想に繋がっている気がします。家族で助け合いましょう...というのは判りますが、そうできないケースもあり得ます。それを法律で縛られるというのも有難迷惑と言うべきかもしれません。
憲法は法律を作るうえでの制限事項を定めた法律なわけで、逆に憲法の思想に準じた法律を作る必要も出てきます。例えば、生活保護を受ける前に家族や親族が援助しなければならないとか、介護や医療費などもまずは家族ができる事を行うべきとか、本来の国の義務を家族に負わせる法律を『積極的に』作ることが可能になります。この辺りは、法律の専門家である中部弁護士会連合会も「憲法改正によって親族による扶養義務を生活保護に優先させる憲法上の根拠が与えられることになる」との懸念を示しているそうです。
3.最後に...
P子「...」
あれ?『最後にって、好きよね』って言わないんですか?
P子「そんな簡単な策略には乗りません」
タイトルである『憲法改正の何が問題なのか(1)』について、(1)というのは、あべこべ憲法カルタが第3回まであるので順番に取り上げようと思っている為です。
それに、先々週ディベートの課題として取り上げた
https://news.infoseek.co.jp/article/20191020jcastkaisha201910370440/
「産休中に会社の福利厚生制度で旅行したら非常識?」女性の投稿が大炎上 専門家に聞いた
J-CAST会社ウォッチ / 2019年10月20日 10時0分
について
> この投稿に対しては、7割近くの人が「非常識だ」と反発した。
とのことで、私的には7割近くの人が『論理的思考が出来ない』(※4)と感じました。こんな状態では自民党案の憲法改正案に騙されて賛成しかねないと思ったためです。
P子「今、無自覚に7割近くの人を敵に廻したわよ」
『論理的思考が出来ない』人を何人敵に廻しても平気です。
P子「今のでさらに2割近くの人を敵に廻したわよ」
じゃ、1割近い人は私の味方じゃないですか?
P子「残りの1割は、あなたの話に興味のない人達よ」
...
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「エンジニアライフで、憲法問題を取り上げる必要性ってある?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
※2 <あべこべ憲法カルタ・第1回>
https://hbol.jp/199297
2012年の自民改憲草案だと、「親の同意」がないと結婚できなくなる!?
2019.08.15
※3 最近心配事が増えてきた
https://news.infoseek.co.jp/article/harborbusinessonline_20191029_00205129/
選挙協力、ヤジの排除......政治との結びつきを強める、公安と内閣情報調査室<日本の情報機関の政治化1>
HARBOR BUSINESS Online / 2019年10月29日 8時32分
https://news.infoseek.co.jp/article/knuckles_13950/
参院選激化 「安倍やめろ」とヤジると警察に取り押さえられる! でも山本太郎氏には言いたい放題オッケーの線引きが気持ち悪い
TABLO / 2019年7月18日 13時5分
※4 『論理的思考が出来ない』
https://www.afpbb.com/articles/-/3242831?cx_part=outbrain
図書館から「ハリー・ポッター」排除へ 悪魔払い師の助言受け 米
2019年9月3日 20:48 発信地:ワシントンD.C./米国 [ 米国 北米 ]
日本人だけじゃなく、米国人も相当『論理的思考が出来ない』のではないかと思います。
P子「米国人も敵に廻す気?」
コメント
無糖紅茶
既に民法において婚姻障害(重婚や近親婚の禁止や年齢規定など)が定められている以上、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し・・・」は正しくないので、
現行に合った憲法に改正しましょうということではないでしょうか?
一般常識に照らせば、この点に関しての憲法改正は正しいと考えます。
ちゃとらん
> 婚姻障害(重婚や近親婚の禁止や年齢規定など)
なるほど!
全く意識から抜けていました。
常識と思い込んでいましたが、『両性の合意のみ』という事からすると、重婚や近親婚の禁止は、憲法違反という考えもできなくはないという事ですね。同性婚も憲法的には可能であるという議論はありますし、近親婚も遺伝子異常が発生する可能性があるという事から、逆に考えれば、子供を作る気がなければ、問題はないとも言えますし・・・
勉強になります。