421.「静かな退職者」への対応
初回:2025/6/11
「静かな退職者」が、色々な所で話題になっているようです。会社からすれば、やる気を出してもらわないと困る...みたいな感じですが、そういうモチベーションを活性化させるという方向性には無理がありそうです。
P子「あなたはどうなの?」※1
私は、定年退職・再雇用の身で、すでに査定対象者でもなく昇給もなく、当然現役時代より給料は下がっているので「静かな退職者」です。というか、現役時代と同じような感じで仕事をすると『老害』になってしまうので、会社のためにも「静かな退職者」になるのがベストだと思っています。
P子「判ったような判らないような理屈ね」
1.「静かな退職者」
今までの一般論で言うと、社員の競争意識をあおって、やる気・モチベーションを出させて、全社員にパフォーマンスを発揮してもらうのがベストと考えられてきたと思います。ところが昔から、あまり働かない社員とかやる気を出さない社員は一定数存在していました。よくたとえ話で『働きアリの法則』が述べられます。
P子「2:6:2 の割合で、2割は働かないアリがいて、働くアリだけ集めても、やはり2割の働かないアリが現れるって話ね」
ただ、この「静かな退職者」の割合が、2割ではなく、大体 4割以上も存在しているというアンケートもあります。
≪参考資料1≫
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250422_95153/
正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
公開日:2025.04.22
株式会社マイナビ
『正社員の4割以上が「静かな退職」をしていると回答。20代が最多で46.7%』
さらにこれらの傾向は若者文化かと思われがちですが、どの年代でも大体同じくらいの割合で存在しているそうです。また「静かな退職者」になるきっかけも色々ある様で、単に給料アップや待遇アップだけで解決するようなものでもなさそうです。
このような「静かな退職者」は実際に退職するのではなく、ある意味給料や待遇に応じた仕事はきちんとこなしているわけで、問題があるとすれば、やる気のある社員とか能力のある社員が、給料や待遇に不満を持って転職してしまうことでしょう。「静かな退職者」はある意味交代要員がいますが、有能な社員は交代要員もおらず、新たに補充(採用)するのが非常に難しいと思います。
2.「静かな退職者」をどうするか?
では「静かな退職者」をどうするかより、「静かな退職者」がいる職場で能力のある社員の待遇をどうするかが、重要な話になってくると思います。
≪参考資料2≫
https://logmi.jp/main/management/331803
"やる気に頼らない組織"をどう作るか
ハイパフォーマーと「静かな退職者」の共存の鍵は"業務の細分化"
2025.05.30
これでイイのか⁈『社員の退職リスク』(全3記事)
非常に面白いのは「静かな退職者」は時代の流れであり、これをどうするかというより、存在自体を受け入れ、どのように『活用』するのかを考えるべきで、さらに重要なのは、ハイパフォーマーとの共存を組織としてうまく構築していく必要があるということだそうです。
P子「コロナや働き方改革などの影響もあって、個人毎に働く意味が違ってきているのよね」
会社に来れば、がむしゃらに働くのが当たり前という常識から、個人個人の能力や状況、価値観に応じた働き方が選べる時代になってきたといえなくもありません。
P子「経済が右肩上がりで、給料も待遇も自動的に上がっていく時代から、平坦、または下降していく時代の働き方なのかも知れないわね」
10人で走って、2人しか報われないとすれば、入賞の可能性のある上位の4,5人までは頑張っても、残りの人達は頑張るモチベーションなんて起きません。それでも、残りの人達が走らなくなると、入賞者を、1人にしないと経営が成り立たなくなるとすれば、それこそ上位の2,3人だけ頑張って、やはり、残りの半分のモチベーションは下がってくるでしょう。
P子「悪循環ね」
先の≪参考資料2≫では「静かな退職者」のメリットを色々と上げています。働かないわけではなく、逆に管理工数を削減できる可能性があるわけで、しかもモチベーションのあるなし関係なく、企業経営していくうえで必要となる仕事は必ず存在するわけで、うまく共存できる組織を作ることができる会社が、これからもの伸びていくのかもしれません。
3.まとめ
「静かな退職者」は増えることはあっても減ることはないでしょう。これは、単なる仕事をしない社員ではなく、与えられた仕事を給料や待遇以上にこなさないだけなので、逆に管理工数を押さえることができます。
一番重要なのは、やる気のある社員やモチベーションを自ら高めていく社員の待遇や職場環境をきちんと整えることでしょう。
P子「それこそ、そういう社員に辞められると困ったことになるものね」
この全く異なる考えを持った人たちをうまく共存させられるかが、それこそ企業の存亡を左右することになると思います。
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「あなたはどうなの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。