けど戦記
勝手にコロナの影響だと考えているけど、最近のチームメンバーの言動にかなりの
苛立ちを感じている。
何かにつけて「誰それが言ったから」という発言が増えているからだ。
「ここの処理おかしくない?」
「先輩が、そうしろと言いました」
「なぜ勝手にスケジュールを変更したの?」
「部長から、このタスクをしろと言われたので」
「なぜ、この仕様にになっているの?」
「客から、そうしてくれと言われました」
処理がおかしいのではないか、と問うているのだから答えは、お前がおかしいと考
えるか、正しいと考えるか、だ。
勝手にスケジュールを変更した理由を問うているのだから答えは、お前が部長から
割込タスクをスケジュールより優先した、その理由だ。
仕様の決定理由を問うているのだから答えは、お前が仕様を検討した、その内容だ。
お前にとって「誰それが言ったから」は、確かに理由かもしれないが、それはただ
「私は何も考えていません」ということを言ってるに過ぎない。思考停止は罪だ。
その後の議論が進まない。
このような思考停止に陥っているメンバーが増えてきたことに憤る。そしてこれを
コロナの影響と考えるには理由がある。最近は緩和傾向にあるが、やはりこの3年
間、分散勤務、リモートワーク、会議・打合せの縮小、大人数での集まり禁止と、
コミュケーションの機会は明らかに減少した。それに伴って減ったのが思考力トレー
ニングの量だ。思考力も訓練が必要で、それを怠ると筋肉同様衰えてゆく。では思
考力の訓練とはなにかというと、それはもう、ひたすらウンウン考え続けるしかな
い。考えに考えてひねり出した結論を、実践してみて評価をフィードバックし、次
の問題をまたウンウン考え続ける。この繰り返しだ。問題は考えるネタ(問題)、
このネタを提供してくれるのはやはり人である。コロナで人との関係が疎になり、
だから考えるネタが少なくなった。このためチームメンバーの訓練ができず、思考
力が低下したのではないか、これが見立てだ。
証拠としてはチームメンバーの中には担当している案件によりコロナの影響を受け
なかった者もいた。彼らは会社の指示に従わず、というか従えず、コロナ禍依然と
変わらず客先を訪問し、打合せを行い、仕事量をこなしていた。彼らに思考停止の
兆候は見られない。そういう状況をみていると、やはりコロナ禍は人間関係を疎に
し思考力訓練の機会を減らしていると思う。目には見えないが、そういった劣化が
やがてはボディーブローのように効いてくるだろう。
そろそろコロナ禍も一段落し、これまでの日常が戻りつつある。
まずは、なまった思考力を回復するための、思考力リハビリが必要だ。
「誰それが言ったから」ではなく、「誰それが言ったけど」自分はこう考える、と
チームメンバー全員が言えるようになるまでの戦いである。