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心の檻

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メタボ気味なので、健康診断の度に保健師の個別面談に行かされる。

さんざん肥満は怖いよ、と脅されて改善の意思はあるかと迫られる。
少し頑張ってみます、などと適当な言葉でそそくさと逃げ出すが、3か月後、
6か月後に、お変わりありませんか?と報告を強制される。本当にお変わりは
ないのでこの数年、毎年これの繰り返し。面談の際にプレゼントされる、おな
か回りを測るメジャーだけが増えてゆく。

ちょっと心苦しくなってきたので、昨年は病院を変えてみた。保健師の指導は
前の病院だけのサービスではないかとう淡い期待をもちつつ。しかしその考え
は甘く一通り検査を終えると、じゃあ後は保健師からの説明があります、と無
情なアナウンス。仕方ない。お変わりはないのだから。
ただ、この病院の保健師はちょっと違った。検査結果を見ながら、
「あれー、この血液の数値、めちゃくちゃいいですね。何かされてるんですか?」
褒めから入ってくる。その数値が何で、どう良いのかはよくわからないが、褒
められると悪い気はしない。基本的に指導内容は前の保健師とあまり変わらな
いのだが、脅しは少めでちょいちょい褒めてくれるので、不覚にもおじちゃん、
気をよくしちゃった。

実は正月にお年玉で任天堂スイッチを購入して、リングフィットアドベンチャー
を始めた。ゲーム感覚で継続できて効果が高い、とのネット評価を目にしたか
らだ。少なからず褒めの保健師の影響もあったと思う。
出勤前の短い時間だが、3ヶ月ほど毎日汗をかいている。画面の中でお兄さん
の「よく頑張ったね!」「完璧!」「すごいね!」などという相の手は、それ
が機械であったとしても悪い気はしない。やはり継続に褒めは大切なのだ。た
だ「シックスパックを目指そう!」とまで言われてしまうと、いや~そこまで
は、と萎えてしまう。機械に比べて人間は少し複雑だ。

おかげで体重は変わらないが、おなか周りが少しすっきりした。測ってはいな
い。それは次回健診の楽しみにしているから。でも明らかにズボンの隙間は大
きくなっている。先日、そのことを後輩に自慢したら、
「え?肉が別の場所に移動したの?」
と頓珍漢な返事をしやがった。そんなわけ、あるか!

もう一人の後輩は体重3桁越えの巨漢。仕事中の居眠りとイビキがひどく、病
院に行かせたところ、医者が一目見て睡眠時無呼吸症候群ですね。痩せない限
りは治らないらしく、顔を見るたびにライザップ行ったら?とサジェスチョン
してるんだが、
「ライザップはリバウンドするからダメらしいです」
と、近くのスポーツジムで自転車こいでるらしい。何故、そのスポーツジムに
したのかは、ジャグジーバスがあるから、と熱く語っている。当然、痩せる気
配はこれっぽちもない。そもそもリバウンドする、ということは一度は痩せて
るわけだから、今のジムよりライザップの方がマシなのではないか。リバウン
ドの心配は痩せてからでも遅くはない。

知り合いの知り合いが、迷惑防止条例違反で捕まった。こいつもライザップ後
輩と同規模の巨漢らしく、糖尿病を抱えている。医者からこのままでは長く生
きられないと言われたらしく、生い先短いのだったらと、会社の気になる子に
猛アタック。一線を越えてストーカーになってしまった。頑張るところが違っ
ている。医者もそんなつもりで言ったわけではないだろうに。

ウチの母親は、不安症でもう何十年も入退院を繰り返している。なにか心配な
ことがおこると夜寝れなくなり入院する。いつもは半年位で退院するのだが、
基本的には性格の問題なので病気が治っているわけではない。薬での症状が改
善しただけだ。ところが今回、入院した後にコロナが発生してしまい、出れな
くなってしまった。外出、外泊はもちろんのこと、面会もできないしリハビリ
も制限がかかっている。2年も入院生活を続けると足腰が弱ってきて、最近で
は杖がないと歩けないとのこと。以前は入院しても治らないと不満ばかり言っ
ていたが、最近ようやく入院していても性格は変わらないし、足腰が弱ってゆ
くだけだと分かってき、退院を考えるようになってきた。しかしである。退院
することを考えると、今度は自宅での生活に不安が出てくる。その不安が増幅
して症状が悪化。堂々巡りだ。

人の心には檻がある。
その鍵は内側にあり、自分にしか開けることができない。檻に囚われてしまう
と、自分で鍵をかけて外に出ることを諦める。最近、その鍵を空けさせるのは
北風ではなく太陽なのかもしれないと思えるようになってた。

例えば無呼吸の後輩。やみくもに痩せろ、ライザップに行け!というのではな
く、あと10Kg痩せた君の姿が見てみたい、などというのであろうか。
うーん。想像しただけで気持ち悪い。

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