みんな裸で生きている
コロナで遊びに出かける機会が激減して早3年目。すっかりサウナ―になってしまっ
た。
「免疫力をあげて感染予防」という名目のもと、毎週末に近所の温浴施設に通って
いたのだが、通い続けていると様々な不思議人たちと出会うことができる。
エンジニアライフとはあまり関係ないが、今回は温浴施設に出没する不思議な人た
ちを紹介したい。
1.テブラ―
浴場内の所持品はロッカーのカギとタオルいっちょだと思っていた。最近気づ
いたのだが、若い人たちは意外とタオルを持っていない。どうやって体を洗う
かのか不思議に思うが、手にボディーソープをつけて洗っているようだ。
ガビガビのタオルでゴシゴシ体をこすらないと洗った気がしないおじさんとし
ては、そんな生易しい洗い方で大丈夫かと思いはするが、カミさんによると最
近のボディーソープは性能が良いので、優しく洗えばよいのだそうな。
そんな中、最強のテブラ―を見かけた。
手には何も持っていないが、前をタオルで隠している巨漢。腰にタオルを巻い
ている人たちは見かけるが、どう見てもそいつはタオルが一周しない。でも前
を隠している。タオルを横に前半分。腹の肉だ!腹の肉でタオルを挟んでいる。
脂肪にこんな有効活用方法があったとは。
2.アスリート
浴場内のおっさんたちは、とにかくストイックだ。風呂とジムを取り違えてい
るのではないか。湯内で腕立て、浴槽の縁で腹筋、サウナ内でストレッチ、
ベンチで足上げ。いずれも迷惑だ。お湯は高濃度炭酸泉なので静かにお入りく
ださいって書いてある。浴槽の縁で寝そべられると邪魔なんだけど。サウナで
激しく動く汗が飛び散るし、お湯にまったりと浸かっていると、視線の先のベ
ンチでおっさんがこちらにケツを向けて足上げ...。
3.けが人
ある時、浴場内で店員があわただしく店員が集まって来た。ベンチに座ってい
るおっさんが、のぼせて何処かで転倒したらしい。頭から少し出血しているよ
うだ。店員が大丈夫ですか?と声をかけるが返事が曖昧。救急車呼びますね、
などという声も聞こえる。偶々横を通りかかっただけなので、そのまま洗い場
に行って体を洗っていた。ちょうどシャンプーをしていたところ、後ろから
「大丈夫ですか?立てますか?」と声がする。ん?と思い後ろを向くと、救急
隊員が二人立っている。ベンチに座っていたはずのおっさんが、いつの間にか
隣で体を洗い始めていたのだ。何故、ベンチで待っていない?おっさん、あぁ、
と返事して体に泡をつけたまま救急隊員に連れられて出て行ってしまった。
どうするんだろ、あのまま救急車に乗り込むのか、一応服を着るのか?でも泡
だらけだし。すごい気になったのだが、こちらも泡だらけなので如何ともし難
く。
4.死体
ある時、サウナに入るとおにーさんが顔にタオルを載せて寝ていた。ベンチで
横になっているひとはたまに見かけるが、最下段を枕にストーブに向けて足を
を延ばしている。一見すると川沿いの土手で、帽子を目隠しに昼寝を楽しんで
いる昭和のマンガの主人公のような佇まいだ。マッパだけど。もう長いこと微
動だにしていないらしく、隣のおっさんたちが大丈夫か?と、こそこそ話して
いる。確かに長い。こちらが10分耐えて、クールダウンして戻った時も、まだ
同じ状態でいた。流石にサウナ内がざわざわし始めたころ、そのおにーさんは
がばっと起き上がり、目隠しのタオルを肩にかけ、さっそうとサウナを後にし
たのだった。なんだか、カッコイイ。
5.お子ちゃま
サウナに入っていて困るのは、お子ちゃまだ。彼らはサウナを冷やしてしまう。
おとーちゃんに連れらた彼らは、ドアを開けたとたんテンションがあがる。ド
アを開けたまま入る、入らないでひとしきり。何とか入っても、我慢できずに
すぐさまドアを開ける。おとーちゃんが中に残っていると、何度も出入りを繰
り返す。その度にドア開閉する。中に入らずドアを開けたまま、おとーちゃん
に、まだー?って聞いてくる。親子連れだけではない。ほとんどの中高生は仲
良しグループでやってくる。やつらはサウナのドアを開けて盛り上がる。中に
入ってもすぐに出てしまう。一人がでると皆出ていく。その間ドアは開けっぱ
なし。男はいくつになってもお子ちゃまだ。サウナを冷やす。
6.観戦者
プロ野球シーズンのサウナは熱気を帯びている。特に地元球団の攻めの回など
誰もサウナから出てゆこうとしない。これが大量得点のチャンス回などは、選
手以上にサウナ―達は自分との戦いに突入する。回が終わるのが先か、がまん
の限界が先か。我慢しきれず回の途中で退席する者がでると、残った者たちは
一様に勝った!という雰囲気を醸し出す(あくまでも主観だが)。回が無事終
わると一試合終えた選手の様に皆、水風呂に向かうのだ。
正直、健康のことを考えると、サウナで野球の放送は止めた方が良いのではな
いだろうか。
7.タトゥー
基本的に温浴施設ではタトゥーは禁止なのだが、たまに見かける。ファッショ
ンタトゥー位なら気にはならないのが、ヘビーなものを見かけると少し緊張す
る。所謂、モンモン。流石にあからさまな人はいないが、洗い場に座ろうとし
たら、隣の人の背中に、色の入っていない観音様がいらっしゃって別の席に変
えた。先日も体を洗っていると後ろからおにーさん方の話し声が聞こえる。ど
うも組織の上限関係を先輩が後輩に話しているようだ。何気に鏡を見ると、洗
いながらしゃべっているかと思ったら、膝詰めだ。こちらの列も後ろの列も他
に誰もいないので、なざわざわざ真後ろに来てしゃべっているのかね、と思っ
ていたら、先輩らしき方の肩には龍がいた。色付きで。シャワーが後ろに飛び
散らないよう、緊張のおももちで石鹸を洗い流し、そそくさとにその場を後に
したことは言うまでもない。
8.ドライヤー
混雑時には化粧台が順番待ちになる。女湯に比べて男湯の化粧台回転率は高い
と思われるが、中には長時間専有する人たちもいる。おしゃれを気にするおに
ーさんはずっと前髪をいじっている。しかし、平均して長く専有するのは、実
は頭の毛が寂しくなったおっさんたち。もう手遅れではないかと思うのだけど、
丁寧にドライヤーをあてている。その量だったら乾いているだろ、と思うのだ
が、まだあてている。もしかしたら温風ではなく冷風で乾かしているのかもし
れない。後に持参した養毛剤や育毛剤を振りかけている。最後に、また丁寧に
髪型を整える。長い。
おっさんたちにとってドライヤーは髪だけのものではない。足の指を乾かす者、
全身を乾かす強者もいる。でも一番迷惑なのは、髪を乾かしている自分の隣で、
マッパで立ったまま髪を乾かし始めるおっさん。ちょうど見ている鏡の視界に
おっさんの股間が...。
(番外編)
長湯温泉は大分にある日本屈指の炭酸泉である。そこにラムネの湯という施設
があり、夜になると露天風呂が浴槽内からライトアップされて、照らされた炭
酸の気泡が幻想的な雰囲気を醸し出す。炭酸泉は温度が低いので、壁に寄りか
かり長時間つかるのが入り方である。空を見上げれば星空。視線を落とせば、
きらきらとした泡。社員旅行で訪れたとき、浸かっている自分の斜め対面に後
輩が入って来た。何を思ったか股を開いて、股間をライトアップさせながら。
邪魔だよっ!!
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コメント
匿名
面白そうなこと書いてんのに改行がめちゃくちゃ過ぎて途中で断念しました
山無駄
どうも匿名さん
おや、そうですか?windowを広げてないとかありません?