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周回遅れはチャンスである

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以前、ある中堅企業の社長さんから「うちのシステム化は周回遅れ、
いや二週遅れで...」という話を聞いたことがある。

その会社は遅れを取り戻そうとしてかシステム部署を新設し、2年
間で兼務担当2名の体制から専任10名程度の体制に強化していた。
その部署から基幹システム開発 ー基幹システム開発と言っていわ
ゆるERPではなく、その会社特有の発注手配システム。過去に手作
りしたシステムの焼き直し案件― のRFPをいただいた。珍しい業務
だ、がたまたま同業他社で同じような案件を取り扱った経験があっ
たので、そこで導入したパッケージと一部カスタマイズ+クラウド
活用で提案したが、あえなく不採択。風のうわさで、ローコード開
発ツールを使ったスクラッチ開発で、こちらの提案の工期3倍、予
算4倍の提案が採択されたと耳にした。
確かに思い当たる節はある。提案書を提出したのち質疑応答の場に
臨んだが、その際に出てきた質問が、W/F開発の経験がどれ位ある
か、ソースコードの提示は可能か、RFPに記載されているデータモ
デルを踏襲できるのか等々、スクラッチ開発を前提とした質問ばか
り。RFPにはパッケージやクラウドの活用は可能な旨記載はあった
のだが、彼らは最初からスクラッチ開発したかったのであろう。

ふと、アフリカのキャッシュレス決済事情を思い出した。
アフリカでは電気などのインフラがも整っておらず固定電話や銀行
口座すらもっていない人が多い中、最近ではモバイル端末でのキャ
ッシュレス決済が普及している。銀行口座をもっていないので、こ
れまで出稼ぎ先で得た金を家族に送金することができなかったが、
これが電子マネーで扱いが容易になりアフリカ全体の経済発展を促
している、というものだ。モバイルならばアンテナを立てればよい
のでインフラ整備も安易であり、太陽光発電を使ってモバイルを充
電する簡易な電気インフラもできつつあるという。
先進国は長い年月と膨大なコストをかけてインフラを整備してきた。
技術開発に投資し、イノベーションが起こったためにこれまで当た
り前だとおもっていたインフラが一夜にして引っくり返ることも多
々ある。そう、先進国でのモバイル端末でのキャッシュレス決済は
膨大な投資と技術的屍の上になりたっている。

言い換えるならば、周回遅れはチャンスである。
トップランナーの走ってきた同じ道をたどる必要はないし、自分が
トップランナーになる必要もない。トップランナーが残してきたも
のを低コストで使えばよいだけなのだから。トップランナーは、新
技術の導入には既存技術のしがらみに躊躇がでる。周回遅れはその
しがらみはない。
だからもう一度いう。周回遅れはチャンスである。

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